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読者レビュー

鉄

虚淵玄『Fate/Zero』 あとがき

二人で時代を変えてみたい

レビュアー:yagi_pon Novice

Fate/Zeroをすべて読み終わり、あとがきを読む。
このあとがき、ラブレターみたいだな、なんて思う。
Fate/stay nightを書いた奈須きのこから、
Fate/Zeroを書いた虚淵玄へのラブレター。
いやでも、両方とも男だから、
ラブレターっていうのも変だけれど。
よくわからないなぁこの二人。

でも、一つだけわかっていることがある。
奈須きのこは虚淵玄という、
最強のサーヴァントを味方につけたのだということ。
彼は、未来の英雄だ。
もちろん過去にも彼を英雄視していた人もいただろう。
しかし彼は、このFate/Zeroをきっかけに、
まどかマギカという作品に携わって、
大きく羽ばたくことになった。
今ももちろん英雄だし、
過去だって、これからの未来だって彼は英雄になるだろう。

Fateはマスターとサーヴァントが織りなす物語だ。
彼らが欲する聖杯は、
マスターが強いだけでも、
サーヴァントが強いだけでも、
例え両方とも強かったとしても、
それだけでは手にすることができない。
二人が信頼し合わなければ、
聖杯を手にすることはできない。

一巻のあとがきでは、
虚淵玄の、奈須きのことFateに対するリスペクトが語られ、
六巻のあとがきでは、
奈須きのこの、虚淵玄に対するリスペクトが語られる。
二人の信頼が見える。
稀代のシナリオライター二人の信頼が。

Fateはマスターとサーヴァントが織りなす、二人の物語だ。
奈須きのこと虚淵玄、最強の二人が信頼し合うことができたからこそ
聖杯の力に匹敵するような最強の物語がここにある。

よくわかんないなって思ってたこの二人。
わかったことがもう一つある。
二人はまるで恋人みたいだってこと。
あー違う違う間違った。
この二人のコンビは最強だってこと。

最強の二人の、最強のコンビがつくった、最強の物語がここにある。

2011.07.14

さやわか
このレビューは「鉄」といたします。一応、なぜ「銅」以上の評価に値しないかを説明するために掲載しようと思いました。このレビューは、何かとても不思議なんです。タイトルが「二人で時代を変えてみたい」だけど、二人が時代を変えるという話ではない。「よくわからないなぁこの二人」と言うけれど、何がわからないのか、説明はないのですな。虚淵玄と奈須きのこをFateのマスターとサーヴァントになぞらえるのはよいでしょう。「聖杯の力に匹敵するような最強の物語がここにある」「最強の二人の、最強のコンビがつくった、最強の物語がここにある」という煽り文句があるのだけれど、ではこれは『Fate/Zero』についてのレビューなのか? というと、そうではなく「あとがき」のレビューとされているのですね。本の中からあとがきだけ取り出してレビューするというやり方は、レビュアー騎士団としては、別によいのです。しかしですね、そうなるとこのレビューが「あとがき」についても何を語りたいのかはっきりしないのです。語れる要素だけが揃っていて、語る内容が揃わなかった。そういうレビューのように感じました。なので「鉄」で!

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