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読者レビュー

銅

空の境界 the Garden of sinners

「境界」とは

レビュアー:ひかけ Novice

近年「境界」というものが題材となる作品が生まれてきているような気がする。

やはり最近の流行というか「身体論」なる近代思想に影響を受けているのではないだろうか。

身体論に至るまでの経緯はそこまで詳しくないので今回は言うのを控えるが、身体論というものは体があるから心があり、心があるから体があるみたいな感じのものだ。簡単に言えばだが。自己というものを精神的なものと肉体的なものとに分けて考えると言ったら少しは伝わるだろうか?自分という存在を精神だけによって見たり認識するのではなく精神と肉体との関わり合いに目を向けるのだ。

まず簡単な質問をしてみたい。

人間のハートというものはどこに存在すると思う?心臓とかそういうものじゃなくて、純粋に愛情だの侮蔑だの後悔などの人の気持ちを司るようなそんなもの。

ある人は頭を指し感情は頭から来ているものとする。またある人は胸を指しそこにハートが存在し感情を生んでいると考える人もいるだろう。
私個人的には後者の考え方だ。そして今回は後者の考え方を使いたい。 何かに感動したり、何か欲しいものが得られなかったり、自分がキライと嫌悪したりした時は決まって胸が苦しくなる。葛藤し、渇望し、それでも苦悩し、自分というものが見えなくなったり、まぁいろんな場合があるが。そのまず精神的な、気持ちというものが体に影響を与えているとして以後考えてもらいたい。ストレスから病気になるとかの例も出したらわかりやすいかな?

そして体についても言及すべきだろう。まぁ一番わかりやすい例は「痛い」という感情を引き起こすような事象だと思う。注射とかしたときは体というものが「痛み」を受け、そして「痛い」という感情が生まれる。肉体的なものが精神的なものに影響を与えている。

つまり、精神と肉体が相互に密接に関係しあっているのだ。しかし精神と肉体は対立するもので、肉体にあって精神にないもの、精神にあって肉体にないものの線引きが行われている。この線が「境界」というものを示していると私は思うのだ。対立する事柄は前からいろいろあっただろうが、自分自身というか人間に置き替えて考えることで「境界」というものを感じやすくなったりしたんじゃないかなと思う。まぁ推論の域を出ないけれど。

そこでこの空の境界という作品にも目を向けたい。この作品もやっぱり「境界」というものが話に関わってくると思う。式という存在の中で。
式は特別だ。なぜなら1つの体に2つの人格を有している。つまり精神×2、肉体×1だ。そうなってくると「境界」というものを考えるのは少し難しくなってくる。だって普通なら精神×1に肉体×1だからね。精神×1に肉体×1でさえいろいろ考えて、行動し、四苦八苦するというのに式はどうなるんだ。とか考えてみたりする。

そして、そういう式という存在を「境界」という題材を取り扱いながら話を進めるので、文が複雑になったりしてまず読者を選んでしまうのだと思う。そしてわかりにくい、というより硬めで暗い文章にしてしまうもの
だから余計にそういった感じを受けてしまう。

私は昔、読者として失格だった。正味暗いし意味わからん。というのが少し読んだ感想だった。今では原作小説を愛する一個人となっているが。いきなり原作小説に行くのもいいけれど私は少し迂回しながら空の境界を楽しんでみては?と思う。劇場アニメ化もされているわけだし何より天空すふぃあ氏が描くマンガもある。私は原作小説に一発KOされたのでアニメから入りました。恥ずかしい限りですが(笑)

はっきり言って難しい。空の境界は。だからこそアニメ化、マンガ化して導入しやすくしているのだと思う。話自体がおもしろいのも理由にあるけれど。そして天空すふぃあ氏がマンガとして空の境界を「今」連載している。星海社の手によって。今がチャンスだと思ってマンガから入ってみましょう。そしてマンガの世界を堪能した後でもいいですから原作小説に入ったり発展的なことをしましょう。
そして語り合いましょう。私のような「身体論」という謎なものを取り上げても構いません。そして一緒に空の境界という作品を楽しみましょう。
それが私の願いです。それでは

2011.07.14

のぞみ
「読者として失格だった。」っていう表現があるんですけど、私は、そうは思わなかったです。だって、ひかけさんは、「空の境界」が好きなんだなって、すごく伝わってきましたもん!(*´ω`*)
さやわか
お! いいこと言いますな! ならばこのレビューは「銅」に値するということですか!
のぞみ
私は、そう感じました! まあ、私は文章的なことは詳しくわからないので、あとは団長が説明してくださると思いますがw
さやわか
丸投げされたー!? う、いや、たしかにこのレビュー、『空の境界』という作品の魅力を語りたくてしかたがないという感じがする。そして、この物語を多くの読者に知ってほしいと思っている。文章は正直な話、拙いものです。でも、だからこそ伝わるものがあって僕はいいと思いますな。しかし、レビュアー騎士団はその上でこの文章をよくする方法も書きましょう。僕ならそうですな、「人間のハートというものはどこに存在すると思う?」の部分以降から書き始めます。身体論うんぬんという部分は思い切って書かないことにしちゃうのです。もちろん、レビューを書く上で背景としてそういう概念を知っているのはいいことです。「境界」という言葉に迫りたかったのはわからないでもないです。しかしわざわざ説明しなくてもいい。試しに「人間のハートというものはどこに存在すると思う?」以降から読んでみてください。ほとんど破綻なく意味が通じるのですな。「うまく書けないことを、いかに書かないか」というのも、レビューを書く上ではテクニックの一つですぞ!

本文はここまでです。