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読者レビュー

銅

Fate/Zero (5) 闇の胎動

苦しい決断をする人々

レビュアー:くまくま

 最近、テレビや新聞を前に、決断力の無さを嘆く機会が多い。おそらく同じようなことを思っている方も多いだろう。そんな方にオススメしたいのが、この本だ。痛快な、潔い、苦しみ抜いた。様々な形容詞に彩られる決断の数々が描かれている。

 決断とは、何もしない場合の結果を予測すること、それを防ぐために打てる手段をあらゆる角度から検討すること、その手段を取った場合に失うものと得るものを把握すること、そしてそれらの価値判断を行い、未来を選び取ることだと思う。
 この性質上、決断がもたらす未来は、必ずしも幸福なことばかりではない。それでも何もしないよりはましだ、という強い想いが、彼ら彼女らに決断をさせる。そして後悔することすら知りつつ決断する姿は、きっと読む者の感銘を呼ぶ。

 こうして決断する人々を心に焼き付けたあとには、また現実を見つめ直してみて欲しい。もしあの時こんな決断をしていたら。その言葉は、後悔としてではなく、よりよい未来を築く糧として、今後に生かしていきたい。

2011.06.17

のぞみ
決断力のなさを嘆いた方、「Fate/Zero」を買いましょう! くまくまさんも、影響を受けたのですかね~。
さやわか
くまくまさんは何度かレビューをいただいてますが、作品が一般社会においてどういう意味を持つかという視点に立っているものが多くて面白いです。簡潔だし、レビューとしてそつない書き方だという感じがします。そつないので鮮烈な印象は残しにくいかもしれないですが、僕は好きですよ。少なくとも伸ばしていける書き方だと思っています。わずかでも、作中の一節などが引用されているとさらに読み応えが増すんじゃないでしょうか。かなり「銀」に近いような気がしますが、今回は「銅」とさせていただきます!

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