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読者レビュー

銅

ひぐらしのなく頃に KEIYAスペシャルコラム

至高たるサブコンテンツ

レビュアー:横浜県 Adept

 スペシャルコラムの面白さって、どこにあるんだろう。ぶっちゃけ言うと疑問だった。「ひぐらし」の世界観や時代背景を、僕は確かに知りえたよ? でもさ、だから何なのかなぁ、と嘆息してしまったんだ。かなり見聞は広まるけれど、わざわざ公式サイトに掲載されるようなものなのかなって。
 結論を先に言うと、僕の考えは間違っていた。それに気がついたのは、レビューを書くために、「ひぐらし」の本編を読み直したときだ。最初は変わらずページを捲っていたんだけれど、これはどうやらおかしいなと、僕は次第に思い始めた。
 今までは気にもかけなかったセリフ・文章に注意をひかれたんだ。
 例えば「なるほど、この記述は昭和58年が舞台だからこそなのか」とかね。昭和を知らない僕のことだから、スペシャルコラムを読んでさえいなければ、きっとこんな感慨を抱くことはなかったろう。他にも、事件における矛盾した情報・怪しむべき概要など、初めて目を通したときには、なんとも思わなかったような箇所が、ことごとく網にかかっていくんだ。
 2度目の読了を終えた僕の頭には、初回とは比することもできない情報量、そしていっそう深く読み込んだが故に増幅された、物語への熱量が渦巻いていた。
 このコラムは、「ひぐらし」をもっと楽しむためのもの。だから、コラムの文章と睨めっこをしているだけでは、その秀逸さに気づけなかったんだ。新たにえた知識や視座を、「ひぐらし」本編の文章とリンクさせて初めて、僕らはコラムの意味を、役割を、そのサブコンテンツとしての本領を、まざまざと見せつけられるんだ。
 確かにこのスペシャルコラムは、公式サイトにないともったいないね。こんなにも作品の奥深さを増してくれるんだから。その価値を理解すらせずに、「いらないんじゃない?」とか思ってすみませんでした。
 「スペシャルコラムは読んでないや」とか、あるいは「読んでみたけどいまいち分かんないや」と嘆いているそこのあなた、今すぐ本棚から「ひぐらし」を引っ張り出して、コラムと一緒に読み直してくるといいよ。きっとそこには、以前よりもずっと鮮明に、「ひぐらし」の世界が拡がっているはずだから。

2011.06.01

のぞみ
作品を深く知ると、楽しめますよね!
さやわか
これは知識を持つことだけでなく、改めて作品を読み直すこと、つまり再読が新たな価値を発見させてくれるということも書いてあって、そこが面白いと思いました。
のぞみ
スペシャルコラムの存在意味を発見できた時の喜びや、「ひぐらし」の見落としていたものに気づけたこと、こちらまで嬉しくなってきますわね~。
さやわか
文体も気取ったところがなくてよいと思います。コラムのどの記述、原作のどの記述、という具体性があるともっと説得力があったかな? ともあれ「銅」を贈らせていただきます!

本文はここまでです。