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読者レビュー

銅

空の境界 the Garden of sinners

Don't Think. Feel!

レビュアー:ラム Adept

実は私、最初は 空の境界 を面白いと思わなかった。

でも好きなの。

小説を読む前に友情話や苦労話をインタビューで読んでまず作者に好感を持った。
そして、 空の境界 が読者をふるいにかける尖った作品だということを知った。
知っていて尚、読みにくくてイライラしたけれど。
言うなれば私は脱落者だった。奈須きのこに選ばれなかった。
それでも、私が奈須きのこを選んだの。
そもそも、新伝綺なんてゲームのシナリオライターばかり。ゲーム好きを活字に移行させるわかりやすい餌――に逆流したのは私。
頑張って最後まで読んだよ。

小説が取っつきにくいのは自分が一番よく知っている。
だから、漫画がWebで無料公開という敷居の低さがとても嬉しい。
映画や漫画で、 空の境界 を知る人が増えるのが嬉しい。好きになってくれる人がいたらもっと嬉しい。
私が 空の境界 という作品自体を好きになれたのも、映画を観たからだ。
文章で作者を感じ、スクリーンで世界観を体感できた。

漫画は、アニメとはまた違った色気があって、天空すふぃあさんの 空の境界 を楽しめる。
すふぃあさんの 空の境界 愛が伝わってきて私は好きだけど、この漫画にも馴染まない人、あるいは満足しちゃった人も原作を読まないかもしれない。
でも 空の境界 は、奈須きのこの始まりだ。ずっとずっと昔に書いた、ポエムのようなもの。
好きになれなかった人も、がっつりハマった人も、十何年分成長した今の奈須きのこ作品にも触れてみて、そして 空の境界 に還ってきてほしい。

そんで一緒にきのこは昔から変わってねーな、って笑おうよ。

2011.06.01

さやわか
これ、非常に愛にあふれたレビューで、僕は好きです。
のぞみ
途中、お喋り言葉になるのが、面白いなぁって思いました。
さやわか
緩急が付けてあるのがいいですな。「でも好きなの」とか、冒頭ですぐにクッションにしてあるのが心憎いと思います。「原作が読みにくいのは自分が一番よくわかってる。けど今回は漫画だから読みやすくなっててうれしい」っていうのはなるほどと思わせるし、同時にラムさんの奈須きのこへの気持ちがよく出ていて、そこから他の人も誘おうという気持ちもあって、よいですな~。「ゲーム好きを活字に移行させるわかりやすい餌」っていう部分だけ僕は引っかかって、そう思う理由がはっきりしないなと思わせたけど、よいレビューでした。「銅」とさせてください!

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