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読者レビュー

銅

Fate/Zero(4)散りゆく者たち

理不尽で誠実な物語

レビュアー:ticheese Warrior

物語上の「転」に位置する『Fate/Zero(4)』では、多くの人物が転機を迎える。
セイバーと衛宮切嗣、言峰綺礼、間桐雁夜・・・
中でも大きな変わり目が2組の魔術師とサーヴァントの脱落である。
そして、その2組の脱落の仕方は非常に対照的だった。

かたや救いと安堵を感じながら。
かたや絶望と呪いを振りまきながら。

これを理不尽に感じる読者もいただろう。
あの2組の行いを鑑みるに、もっとふさわしい終わり方があったようにも思える。
しかし、この結末が読者にとって理不尽だったかというと、そうでもない。

著者「虚淵玄」氏は以前の巻からこの結末を臭わせる予兆を配していたのだ。
パートナーとの会話やライバル達の視点の中でそれらを見つけられれば、著者が綿密なストーリー作りをしていたことが解るだろう。その作りは理不尽な結末に至ったことを運命的な必然にし、幸運や悲運に美しさを与える。
美しい終わりならば、それがどんなものであれ受け入れることができるものである。

2つの視点において終わりを迎えた『Fate/Zero(4)』は『Fate/Zero』の「転」の巻でありながら2組の魔術師達の「結」の巻でもある。
1つの区切りを迎えた所で、一度物語を最初から読み返してみてはいかがだろうか。1度目には気づかなかったことに気づけ、あるいは『Fate/Zero』の「結」の予兆が見えてくるかもしれない。

そして読み返す中で著者の誠実な物語作りを知れば、さらに『Fate/Zero』を好きになることだろう。

2011.05.09

のぞみ
スタンダードな印象を受けました!
さやわか
レビューとしてってことですか? なるほど、何となくですが言いたいことはわかります。このレビューはかなりうまく書けていて、この巻の内容がどうなるのか、読んでみたくなる。しかしその半面、おそらくネタバレを回避しようとしたがゆえに、何もかもが曖昧になっている印象があります。ネタバレ回避が枷になった結果、文章に残るのが「決定的なことが起こる。しかし作者は実はそのすべてを事前に用意していた」という意味になるのは残念なことです。「詳しくは読んで判断してくれ」というだけになってしまう。形としてはとても美しいからこそ、非常に惜しい。レビュアー騎士団ではもちろん、「ネタバレであろうとも内容を細かに説明したからいい」または「新規読者に配慮してネタバレをせずに書いたからいい」というようなジャッジはしませんのでどのように書いてもいいのですが、それゆえに完成した文章を少し違った角度から眺めることをおすすめします。ここでは「銅」にします!

本文はここまでです。