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読者レビュー

銅

エレGY

痛々しさと清らかさ

レビュアー:希望星

泉和良氏のデビュー作「エレGY」ついに星海社よりの文庫版刊行、さらに星海社サイト上での本文公開、誠におめでとうございます。

しかし、泉氏ほどたくさんの名前を持つクリエイターもいないでしょう。
ある時はフリーゲームクリエイターとしての「ジスカルド」氏。
ある時はボーカロイドサウンドコンポーザーの「ジェバンニP」氏。
ある時は小説家の「泉和良」氏。

そしてどのジャンルにおいても才能を発揮し、多くの熱狂的なファンを産み出しているというのも、また驚くべき事実です。
泉氏の創るゲームや音楽に張り巡らされた、特徴的な感情の数々に魅了されてしまうのでしょう。

軽妙さ、恋、ピュアな狂気。
絶望、痛々しさ、そして清廉なカタルシス。

「エレGY」では、これらの魅力的な激情を、確かなテクニックでディスプレイしていることに驚きます。
鋭利で強烈、油断しているとすぐに心の柔らかいところをえぐってくる。
傷つきながらその傷ですぐまた次に出来る傷を癒すような刺激に、いつの間にか捉われてしまいます。

好きという言葉だけでは表現できない、切実な必要性に突き動かされ、私はまた泉氏の作品を手に取るのです。
彼の作品でしか届かない部分が、どうしてか、自分の中にあるから。

なお追伸になりますが、huke氏の少し距離感のある美しいイラストが更に泉氏の世界観を増幅しており本当に素晴らしいと思います。

2011.05.09

のぞみ
「エレGY」、そして泉和良さんについての紹介文みたいで、一通りの情報が、盛り込まれていますよね~
さやわか
うむうむ、作家と作品を一通り紹介しつつ、自分がそれに強い魅力を感じている、ということを伝えてくれてるところがいいレビューです! これだけ人の心を動かす作品ってどんなものだろう?と思わせてくれる。「銅」とさせていただきます! これでも十分なレビューなのですが、もっとよくしたいと思われるのであれば、「泉氏の創るゲームや音楽に張り巡らされた、特徴的な感情の数々」が具体的に作品の中でどのようなものなのか、そして「彼の作品でしか届かない部分が、どうしてか、自分の中にある」のはなぜなのかに、自分自身で向き合って言葉にしてみるのはどうかな? と思います!

本文はここまでです。