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読者レビュー

鉄

エレGY

わたしとエレGY

レビュアー:ラム Adept

エレGYを初めて見たのはもう覚えていないけど店頭が先かファウストの広告だったか。え、パンドラに全文掲載してたって? あーあー、聞こえない。

あらすじはちんぷんかんぷんだが、目に入る丸いシール。
講談社BOXにおいて帯の代わりを果たすこのシールには編集長の手書きで「やっぱこの人天才だわ」とか、そのシール自体を欲しいなって思わせる何かがちょこっと書いてあるのですよ。
さてエレGYは?

「小説の進化する瞬間を見た。」by 乙一
「間違いなく天才。ページをめくればついつい最後まで読んでしまう。」by 滝本竜彦

むむ。二人とも好きな作家だし、そのオススメ作品も多少読んだけど全部面白かった。
でも、でもね、講談社BOXはちょっと高い。
好きな作家2人のオススメとはいえ学生にはすぐ手が出せなかった。
そうこうしているうちに「spica」、そして「ヘドロ宇宙モデル」まで出てた。
わたしは学生でなくなっていた。
3冊も出ているからやっぱり面白いのだろうと気になって、でも売ってなくて、シールが絶対に欲しかったので通販は不安で結局書店員の友人に取り寄せてもらって全部買って、2009年12月29日に読み終えた。

残してある感想が「定価で買う価値があった」
著者の自伝的小説って言われたら気になるじゃないですか。お金なさそうなことがいっぱい書いてあったから多分こんな感想なんだろう。あんまり内容の核心には触れないようにしてるし。
もうひとつの感想が「ジェバンニまじジェバンニ」
買い渋ってた間、何もしなかったわけではないのだ。
他の人の感想で、アンディーメンテを知っている方が面白く読めるって書いてあったからアンディーメンテってなんだろ? って調べたり、ジェバンニPっていう名前でボーカロイドの曲をニコニコ動画に投稿していることを知って「ジェバンニが一晩でやってくれました」の人か、と衝撃を受けたりしていた。
最前線HPで、エレGY冒頭を久しぶりに読み返して笑った。そうだ、こんな話だった。読んだ後にジェバンニPの「リン廃宣言」聞いてエレGYそのままやんって思ったのを思い出した。

しかし、だからこそ文庫帯の惹句に首をかしげた。
「この恋きっと応援したくなる」
・・・そうでもなかったよ?
常識で考えろって。パンツだぞ。「君のパンツ姿の写真、求む!」って。
変態、とは言わないけど、パンツから始まるラブストーリー、・・・応援できるか!
たくさんの人に読んでもらいたいからさ、Webで全文無料公開しちゃうのは理解できる。
文庫化も、絵もついてちょっと安くなるし嬉しい。
でも絵がなくても、高くても、十分に満足できる作品だったと思う。
だって星海社はフルカラーだから普通の文庫より高いしなー。
というところで思い至った。

「まさかパンツのカラーイラストがあるのか!?」

と思って文庫で確認したけど、なかった。と、言ってしまったら青少年の期待を裏切ってしまうかな? どうかな? まぁないんだけど。
しかし待て。
表紙に可愛い女の子がいるよね。
あの子のパンツだと思うとパンツ自体の絵がなくても妄想力でなんとかなるんじゃないか。
だってパンツから始まるストーリーだものな、表紙に可愛い女の子がいたらこの子のパンツ!! ってなるよね。知らないけど。
いやー、納得なっとく!!
つまり、文庫版なら応援してもいいってことだ。

2011.05.09

のぞみ
後半だいぶ笑っちゃいましたよ!
さやわか
なるほど、絵がない分は妄想でカバーすればいいわけですね!
のぞみ
「まさかパンツのカラーイラストがあるのか!?」これ、考えちゃうよね~って、こらこら!w
さやわか
『エレGY』に限らず、今のところ星海社文庫でパンツのイラストがある本はないと思いますが……!
のぞみ
砕けた言い回しが、すら~っと読みやすかったです。
さやわか
うむ、たしかに! ちょっとだけラフな、くだけた口調でパンツについて書いてあると、なんだか清々しいですな。ただ文体の軽快さとは裏腹に、中盤以降の内容はちょっとぼやっとしてます。結局、ラムさんはこの小説にどんな感想を持ったのか? という部分は、過去に書いた文章の引用が中心なのですね。だから少し遠い感情として扱われている感は否めません。もちろん引用でもいいのですが、その引用もどういう感情についてのものなのか、説明ははぐらかされています。そして、文庫版についても「ってなるよね。知らないけど」などの言葉に表れているように、どうも乗り切れない感じがある。「笑った」みたいな記述はあるけど、好悪の感情とは少し違う。もちろん、レビュアー騎士団としてはノリノリで文庫版を誉めなさいというわけではないのです。しかし結局、作品をどう思ったとか、あるいはジェバンニPとしての泉和良が好きだった、みたいな話もわかりづらい。あるいは乙一や滝本竜彦は好きだけど、そんなに面白くなかったのであればそう書くべきです。文庫版が好きになれないなら、そう書いてもいいです。ラムさんがこのレビューで読者に何を伝えたかったかが表に出てないのですよ。それが「愛情」ってことです。どうかすれば、この作品についてでなくたっていいから、自分は○○に対する思いを伝えたかった、という部分がほしい。ひょっとすると軽快な文体も、この書きあぐねた感じ故に選ばれたのかな、とちょっと思いました。ということで「鉄」とさせてください!

本文はここまでです。