エレGY
発売前やけど……。いや、発売前やからこそレビューや!
レビュアー:横浜県
あんたら4月7日は何の日か知ってる?
世界保健デー? いやまぁ、それも大事やけどな? もっと大切なことがあるやろ。
せやな! 「エレGY」の発売日やな!
まさか「買う予定はない」なんて言わへんよな?
……はぁ。ほんま呆れてまうで。
しゃあないなぁ。「エレGY」を知らん星海社ファンの皆さんが、思わーず買いたくなるように、これから紹介したるわ。
まずポイントその1や!
「エレGY」は、星海社文庫として発売される運命にあった!
……別にこんなん過言じゃないんやで。
星海社の掲げる理想の出版を知ってるか?
もちろん「人生のカーブを切らせる」出版のことやな。
でも太田克史さんは、以前にもこの言葉を使ってたことがあるんや。舞台は講談社BOX。小柳粒男、泉和良(エレGYの作者)、針谷卓史の3人を、「危険な新人」としてデビューさせるに伴い、彼が寄せた文章の一節を読んでみよう。
彼らのデビュー作には、読んだあなたの人生のカーブを激しく切らせる可能性があります。
ちなみに「人生のカーブを激しく切らせる」の部分には、ご丁寧にボールドまで施してあった。要するに「エレGY」は、星海社の作品となるに相応しい! ……ってことやな。
じゃあ「エレGY」が大好きなこの俺は、実際どのように、人生のカーブを切らされたんやろか。そこでポイントその2や!
鮮度に酔いしれろ!
そう、この作品は、何もかもがフレッシュなんや。簡単に粗筋を説明するで。
無料ゲームの作り手として、貧乏な生活をしていた主人公は、ネットで自傷癖のある少女、エレGYに出会う。主人公は彼女と恋に落ちながら、ネットにおけるゲーム作家としての自分と、落ちぶれたリアルの自分とを比較し、そのギャップに葛藤を抱え始める。
うーん、ぶっちゃけて言うと、ありふれてるやん? 外面と内面の、ネットとリアルの相違点を描いた作品は、他にもよく見かけるっちゃ見かけるやん?
でもこの作品は一味違うねん。「在り来たりな筋書き」と評してそれで終わりとちゃうねん。
この作中に登場するゲームサークル「アンディーメンテ」は、なんと実在するんや。更に言うと、その運営主ジスカルドこと主人公は、泉和良その人なんや! 別にこの「エレGY」が、完全な私小説という訳ではないけどな。何処かで見たことのある物語の中には、俺達が虚構でしか眺めたことのない、彼らネットクリエイターのリアルな苦悩が満載なんや。
凄く生々しいねん。凄く痛々しいねん。
それでいて、物語を最後まで貫いているのは、2人の「純愛」なんや。
今までに読んだことあるような内容の筈やのに。どこかこの「エレGY」でないと体感できないような、そんな読後感が、じわーっと広がって来る。
他の作品群とは一線を画すぐらいに、それはもう新鮮な感覚や。
でも皆さん、フレッシュなんはストーリーだけやないで。登場人物もや。
主人公のジスカルドは、さっき述べた通りやな。作者の生き写しで、ネガティヴ思考ばっかりやけど、それでも何処か惚れ惚れするような奴やで。
問題はコイツや、エレGYや。
腕にはリストカットの痕。言動は破天荒で、とにかく不思議ちゃん。言葉は汚くなるけれど、「メンヘラ」と呼ぶのが1番しっくりくる。この娘の台詞、メールの文面、その全てに思わず拍子抜けしてしまう。これぞ将にエキセントリック。でも僕達読者はどうやっても、エレGYの魅力からは逃げられへんねん。変な奴やねん! ネジを何本か落としてもうてるような娘やねん! せやのに憎めへん、嫌えへん、思わず愛したくなる。是非とも、皆さんには彼女と出会ってほしい、一度ドン引きしてほしい、その上で好きになってほしい。そう思うんや。
これで終わりやと思ったらあかんで。ラストにもう一つ新鮮なもの、それは文体や。
前にも言ったけど、「エレGY」のストーリー展開自体はよくあるんや。それでも読者を惹き付けるフックの役割を、この文体が担ってんねん。軽快で、かつ独特なテンポ。秀逸なセンスが光る、今まで見たこともないような表現。
「似たような話を知ってるで!」と思ってた筈なのに、ハッと気が付けば、いつの間にやら読み進めてました。……なぁーんてことになっちゃうんや!
何と言っても、俺がその一人やしね。いやぁ、驚いたよ。こんな小説ありかよって、本当に「危険な新人」やないかって。
僕の思い描いていた小説像を、見事にそのフレッシュさで打ち砕いていったんや。もう、どんだけ俺の人生のカーブを切ったら気が済むんやと。
さて、ここまで長々と「エレGY」の紹介をしてきました。読んでみる気になったか?
もしなってへんかったら、俺の文章が下手なせいや、申し訳ない。普段喋ってる関西弁なら、より熱弁を振るえる気がしたんや、許してーな。
ほな、「エレGY」をよろしくな。是非読んでくれ、感想を語り合おう!
世界保健デー? いやまぁ、それも大事やけどな? もっと大切なことがあるやろ。
せやな! 「エレGY」の発売日やな!
まさか「買う予定はない」なんて言わへんよな?
……はぁ。ほんま呆れてまうで。
しゃあないなぁ。「エレGY」を知らん星海社ファンの皆さんが、思わーず買いたくなるように、これから紹介したるわ。
まずポイントその1や!
「エレGY」は、星海社文庫として発売される運命にあった!
……別にこんなん過言じゃないんやで。
星海社の掲げる理想の出版を知ってるか?
もちろん「人生のカーブを切らせる」出版のことやな。
でも太田克史さんは、以前にもこの言葉を使ってたことがあるんや。舞台は講談社BOX。小柳粒男、泉和良(エレGYの作者)、針谷卓史の3人を、「危険な新人」としてデビューさせるに伴い、彼が寄せた文章の一節を読んでみよう。
彼らのデビュー作には、読んだあなたの人生のカーブを激しく切らせる可能性があります。
ちなみに「人生のカーブを激しく切らせる」の部分には、ご丁寧にボールドまで施してあった。要するに「エレGY」は、星海社の作品となるに相応しい! ……ってことやな。
じゃあ「エレGY」が大好きなこの俺は、実際どのように、人生のカーブを切らされたんやろか。そこでポイントその2や!
鮮度に酔いしれろ!
そう、この作品は、何もかもがフレッシュなんや。簡単に粗筋を説明するで。
無料ゲームの作り手として、貧乏な生活をしていた主人公は、ネットで自傷癖のある少女、エレGYに出会う。主人公は彼女と恋に落ちながら、ネットにおけるゲーム作家としての自分と、落ちぶれたリアルの自分とを比較し、そのギャップに葛藤を抱え始める。
うーん、ぶっちゃけて言うと、ありふれてるやん? 外面と内面の、ネットとリアルの相違点を描いた作品は、他にもよく見かけるっちゃ見かけるやん?
でもこの作品は一味違うねん。「在り来たりな筋書き」と評してそれで終わりとちゃうねん。
この作中に登場するゲームサークル「アンディーメンテ」は、なんと実在するんや。更に言うと、その運営主ジスカルドこと主人公は、泉和良その人なんや! 別にこの「エレGY」が、完全な私小説という訳ではないけどな。何処かで見たことのある物語の中には、俺達が虚構でしか眺めたことのない、彼らネットクリエイターのリアルな苦悩が満載なんや。
凄く生々しいねん。凄く痛々しいねん。
それでいて、物語を最後まで貫いているのは、2人の「純愛」なんや。
今までに読んだことあるような内容の筈やのに。どこかこの「エレGY」でないと体感できないような、そんな読後感が、じわーっと広がって来る。
他の作品群とは一線を画すぐらいに、それはもう新鮮な感覚や。
でも皆さん、フレッシュなんはストーリーだけやないで。登場人物もや。
主人公のジスカルドは、さっき述べた通りやな。作者の生き写しで、ネガティヴ思考ばっかりやけど、それでも何処か惚れ惚れするような奴やで。
問題はコイツや、エレGYや。
腕にはリストカットの痕。言動は破天荒で、とにかく不思議ちゃん。言葉は汚くなるけれど、「メンヘラ」と呼ぶのが1番しっくりくる。この娘の台詞、メールの文面、その全てに思わず拍子抜けしてしまう。これぞ将にエキセントリック。でも僕達読者はどうやっても、エレGYの魅力からは逃げられへんねん。変な奴やねん! ネジを何本か落としてもうてるような娘やねん! せやのに憎めへん、嫌えへん、思わず愛したくなる。是非とも、皆さんには彼女と出会ってほしい、一度ドン引きしてほしい、その上で好きになってほしい。そう思うんや。
これで終わりやと思ったらあかんで。ラストにもう一つ新鮮なもの、それは文体や。
前にも言ったけど、「エレGY」のストーリー展開自体はよくあるんや。それでも読者を惹き付けるフックの役割を、この文体が担ってんねん。軽快で、かつ独特なテンポ。秀逸なセンスが光る、今まで見たこともないような表現。
「似たような話を知ってるで!」と思ってた筈なのに、ハッと気が付けば、いつの間にやら読み進めてました。……なぁーんてことになっちゃうんや!
何と言っても、俺がその一人やしね。いやぁ、驚いたよ。こんな小説ありかよって、本当に「危険な新人」やないかって。
僕の思い描いていた小説像を、見事にそのフレッシュさで打ち砕いていったんや。もう、どんだけ俺の人生のカーブを切ったら気が済むんやと。
さて、ここまで長々と「エレGY」の紹介をしてきました。読んでみる気になったか?
もしなってへんかったら、俺の文章が下手なせいや、申し訳ない。普段喋ってる関西弁なら、より熱弁を振るえる気がしたんや、許してーな。
ほな、「エレGY」をよろしくな。是非読んでくれ、感想を語り合おう!