Fate/Zero 2 英霊参集
妄想乙もとい妄想素材乙
レビュアー:ticheese
レビューが掲載されたのをいいことに前回のレビューを踏まえて、『Fate』をよく知らなくても本を手に取る人が多くいる―という前提で書かせていただきます。なのでいまさらって言わないでくださいね(苦笑)
『Fate』がここまで多くのファンを獲得し、複数のメディア展開がなされてきた魅力の一つに「妄想を掻き立てる力」―そんな所があると思います。
本を一冊を読む。それには多大なエネルギーが必要なものです。そのエネルギーには作品のおもしろさだけではなく、物語に対する「同調」や「憧憬」のような読者の人格から引き出されるものも含まれています。今回は「憧憬」さらにそこから来る「妄想」について語ります。
キャラクター自体もさることながら、何でも願いを叶えてくれる『聖杯』、己のパーソナルに応じて呼び出される『英霊』。この2つは特に読者(あるいはプレイヤー)を魅了する設定です。
前者はドラゴンボールを始め、仮面ライダー龍騎、最近では魔法少女まどか☆マギカ(著者つながりでもあります)など多くの作品で登場する設定で、全人類規模で妄想力を刺激します。かなり小さくすれば「宝くじ当たったら何に使う?」なんかがそうですね。
後者は誰でも「自分だけのなにか」にはあこがれを持つもの。それが自分を「主」と読んでくれればなおさらです。「自分だったらどんな英霊が召喚されるだろうか?」あるいはかわいい女の子英霊(かっこいい漢英霊でも可)に主(本音はご主人様で)と呼ばれたい―みたいな自分を世界観に入り込ませて脳内で物語を構築できる魅力。それが『設定の妙/妄想させ力』です。
本文も長くなりましたが、作品が売れるには消費者(読者)の妄想力を刺激し、その妄想が二次創作になり、それをみた人が原作のファンになるみたいなループを起こさせる『設定の妙/妄想させ力』が高いことが現在のネット環境が整備された環境では必要であり、Fateはその力が非常に高い作品だという語りでした。
ちなみに、なぜ『Zero 2』のレビューでこんな大元の話をするかというと、2巻で私もライダーやランサーのような英霊が欲しくさせられたからです。ただし高所とNTRは勘弁(苦笑)