星海社文庫それ自体
星海社文庫の洗練された素っ裸が好きです。
レビュアー:yagi_pon
星海社のこだわりが詰まった、星海社文庫についてレビューします。
まず、「小さな愛蔵版」というネーミング。
普通文庫っていうのは、単行本の型落ち的な要素が強くて、どの出版社から出てもだいたい同じ形。そこに、文庫なのに外見から主張するその気概。新しい会社ならではなのかな?
とにかく、その気概に★★★★★
次は、一番見えやすいこだわりであろう、天アンカット+スピン。
この組み合わせは、スピン好きの自分としてはたまりません。スピンが2本ついてるっていうだけでその単行本を買ってしまうくらいですから笑。こりゃ新潮文庫から浮気ものです。
このコンビは高級感あって、すごくいいです。けれども。ちょっとスピンが太い、太ましい。本を読んだ後は、売り場に置いてある本同様、スピンを本の中にきれいに収めたい自分としては、星海社文庫に関して試行錯誤中です。
というわけで、スピンがちょっと使いづらいから★★★☆☆
続いては、背表紙。普段は本棚にしまってあるため、そのとき見えるのはココだけ!という、意外と重要なポイントです。
全体のレイアウトと同様に、白を基調として青のラインは、個人的にも好きな色合い。
しかし、なぜココに遊びが少ない…。さきほど出た新潮文庫は、初めて新潮文庫の本を出した著者のものは、最初の一冊は背表紙が白で、次の本から背表紙に著者別のカラーがついたり(←これは最初からシリーズものを出してる時点で星海社文庫には難しいけど)、他の文庫でも、形に差異がない分、背表紙の著者別カラーをつけてみたり。
新潮文庫の山崎豊子さんや塩野七生さん、講談社文庫の西尾維新さん、みたいなちょっと特別な背表紙やデザインが好きなので、少し残念です。
まとまりはあるけど、個人のカラーが出せないので★★☆☆☆
(初版のみ星海社カラーで、増版分からは独自カラーとかの仕様だったら、泣いて謝ります。)
そして、自分としては表紙カバーをとって素っ裸の状態で読むのが常なので、そこについても。
カバーを外すと、わりと高級感のある印象。世の中で表紙絵入りのライトノベルが名前通り軽く見られてしまうように、表紙がイラストだとポップになりすぎるきらいがある。けれども、カバーをとった瞬間から別の顔。急に洗練された文庫本に早変わりします。
けれどもそれって、愛蔵版とはまたちょっと意味が違う?2度楽しめるっていうのはいいと思うけれども。
まぁでも、自分は洗練派なので、★★★★☆
あとは細かいところをいくつか。
まずカバーの折り返しが長い。書店としてもありがたいみたいですね。読む方としてもそこに挿絵がついていたりすることはうれしいです。出版社としても、著者・イラストレーターの紹介をして、さらに今後の宣伝までできる。Win-Win-Winな工夫ですね。
次は「DIVE INTO THE BOOKREVIEW & INFORMATION!」ということで、かわいいバーコードが、すぐにその本のレビューへ誘ってくれるという仕様。店頭POPだけでなく、書店で手に取ったときに生の感想をすぐ見れるのは良い。けれども、つまらない本だったらバレちゃうわけだから、ある意味いい本作ってます、という自身の裏返しでもあるのかな?すぐレビューがみたいっていうのは、すごくインターネット的な発想。
あとはカバーの触り心地。触っていて気持ちがいいくらいだけど、手はすべらないくらいでちょうどいい。まぁ自分は読むとき外してしまうので意味ないですが笑。
以上、「神は細部に宿る」を体現したようなこだわりは★★★★☆
と、いうわけで、星海社文庫それ自体のレビューでした。こだわりが多い分だけ、書くことも多い。
きっとまだ、見つけられていないこだわりがあると思うので、そういったものを探しながらの読書は、楽しみが増えますね!