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読者レビュー

鉄

さやわかの星海社レビュアー騎士団

レビューに明日を手繰り寄せられるのか

レビュアー:横浜県 Adept

最初は斯様な企画に意味があるのかと疑問だった。最早誰でも文章を書けるような時代になった。オンラインの商店へ入れば、あらゆる物に、あらゆる人間が評価を下す事が出来る。かつては文体を持ち得た有識者の手によってしか成され得なかったレビューを、今や素人がいくつも書き殴ってしまっている。かく言う私もその一人ではあるけれど、そんなレビューの有用性もまた安易に格付けされる現状は、はっきり異常であると考えている。
その中で敢えて「優れたレビューの書き手」なる者を発掘する事に、どんな意義があるというのか。しかし次にさやわか団長の文章を読んでみると、私はどうもこのコーナーに惹かれずにはいられなくなった。このコーナーが「よいレビューとは何か」という疑問を読者と共に模索するものだと位置づけられている、そう感じたからだ。真に洗練されたレビューとは如何なるものなのか、その答えは私が欲していた将にそれだった。
これは私も参加をしなければ。即座にそう思い立った時刻は、締め切り前日の午後五時。はてさてどうすべきか。早速ルールを確認する。どうやら応募された原稿は、「愛情」「論理性」「発展性」の三項目によって評価が下されるらしい。
私は少し引っ掛かった。と同時に頼もしくも思った。要するに私は勘違いをしていたのだ。「優れたレビュー」とは何かを、ただひたすらに探し回るコーナーであると。どうやら違うらしい。このレビュアー騎士団は、既にある程度の方向性を持った上で、「レビュー」という存在そのものをレビューの対象としているのではないか。その方向性が正しい事を、帰納法的に証明するための舞台なのではないか。
先に挙げた三つの要素を順に眺めてみる。

「愛情」
何かを評価する時、確かに私達は対象に敬意を払う必要がある。そして何らかの愛着を持ち、少しずつ対象に顔を近付けて行く。
「論理性」
冒頭で述べたように、誰でも文章を発信できるこの時代には、論理性を伴わず、説得力の無い文章は相手にされまい。
「発展性」
対象を褒める乃至は貶すだけであれば、ただの感想、独り言に過ぎなくなる。今後を見通すための有用な方策が述べられている必要がある。

詰まる所、レビュアー騎士団はまず「レビュー」に「愛情」を持った上でその概要を浮き彫りにする。第二に私達読者が参加する事で多くのレビューを精査し、これら三要素が「レビュー」に必要であるとの「論理性」を持った根拠を形作っていく。そして最後に「レビュー」が持つ「発展性」を導き出して与える。この働きこそがレビュアー騎士団の存在意義なのではないか。
しかしやはり、完全にゴールが見えている訳ではないだろう。さやわか団長が呼び掛ける通り、私達が「一緒に考えて」いかなければならない。私達がレビューをいくつも送り続ける事により、少しずつ「レビュー」の「発展性」を覗かせていかなければならない。例えこの文章が如く甘ったれたものであったとしても。
私はもう既に、クリック一つでこの稚拙なレビューを投稿し得る状態にある。緊張する。胸が高鳴る。されど迷わない。私はレビュアー騎士団のための、そして「レビュー」のための踏み台になる覚悟を厭わない。
そして私以外の投稿者が、一体どのような文体で、どのような文章を書いたのか。それらのレビューにより、このコーナーと「レビュー」は発展を遂げられるのか。
楽しみで楽しみで堪らない。

2011.02.10

さやわか
さて、『さやわかの星海社レビュアー騎士団』第一場、最後のレビューはこちら! 『さやわかの星海社レビュアー騎士団』自体をレビューする、というものですな。
のぞみ
あついです! 私には、少し難しい箇所もあったけれど、すごく集中して一気に読んだです。
さやわか
ちなみに、『さやわかの星海社レビュアー騎士団』自体についてレビューを書いてくれた方は他に、どどめ色の何かさん、どんよくさんというお二方がいました。で、代表として横浜県さんを掲載したのですが、たしかに熱い文章です。
のぞみ
あつい気持ちがビシビシ来る感じが好きです!
さやわか
うむ! 書かれている内容も面白いし、文章もしっかりしています! ……なのですが、しかし今回はこの内容に触れることなく「鉄」にさせてもらいました。申し訳ない! そうした理由はたくさんありますが、ほとんどすべての理由に関係しているのが、これが『さやわかのレビュアー騎士団』の中にあって、それ自体についてレビューする、つまり「メタレビュー」の様相を呈しているからであります。むろん、それがダメだというわけではないです。というか、僕はルールを作った時点でそういう投稿もあるに違いないと思っていました。なぜかというと、こういう投稿コンテンツとかコミュニティってば「メタ」をやるとすごく盛り上がるのですな。つまり「我々はどうあるべきか」「我々とは何か」をみんなで語る。これ、かなり盛り上がるんです。みんなそれを語りたい。
のぞみ
なら、いいのではないですか……??
さやわか
でも、それって内部にいる人にとって面白くても、外の人にとってはわかりにくいのです。「レビューとはいかにあるべきか?」「このコーナーはどうすべきか?」とはもちろん、追求すべき課題です。しかし想像してみてください。『さやわかの星海社レビュアー騎士団』ってどんなページかな? どんなレビューがあるのかな? と思って読者が見に来たら、『さやわかの星海社レビュアー騎士団』とはどんなものか? という議論が書いてある。その不思議な状態は、レビューというものや、このコーナーが目指さねばならないものからむしろ離れてしまうと思います。つまり、このコーナーに「メタ」なものを掲載するハードルはなかなか高いのですよ。むろん、今後も送っていただいて構いません。全く歓迎しますが、でも、それよりも僕は、そこまで「レビューすること自体」について考えているならば、その考えを踏まえて、さまざまな作品についてのレビューを書いてみることの方をずっとオススメします。メタ視点を持っているからこそ、このルールに則って頂点を極めるか、さもなくば思いも寄らない手段で裏をかき、驚かせる。批評的な視座、メタ視点というのはそうやって効果を発揮するもので、そうなると僕も「鉄」ではなくてそれに言及せざるを得なくなるはずなんです。横浜県さんには、ポテンシャルとしてそのくらいのものを書く力があると思います。言い換えれば「メタとしてベタすぎるもの」はなかなか評価の対象にならないのですね。さてさて、というわけで長くなりましたが、そろそろ第一場は終わりです。次回の更新までにたくさん投稿してくれることをお待ちしてますよ!
のぞみ
次回の投稿締め切りは2011年2月20日です!
さやわか
皆さんの投稿だけが頼りです! どんな内容でも、いいレビューなら全部載せちゃいます! お待ちしてますよ! では、第一場はこれにて幕である! どどん!

本文はここまでです。