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読者レビュー

銅

Fate/Zero 1 第四次聖杯戦争秘話

布教用

レビュアー:ticheese Warrior

00年代にPCゲーム界を席巻し、ゲームにアニメ、コミック、映画と広がりみせた作品『Fate/stay night』。
二次元を嗜好する人ならすでに名前ぐらいなら知っているであろう作品の前日譚が文庫化しました。
―そう聞きオタクで活字好きの身は勢いよく飛びつきました。さあ買ってみるとはずれかな?と思うも、読んでみると当たりかな?という印象でした。
はずれ?かと思ったのはライトノベルによく見られるキャラクターを描いた挿し絵が皆無だったこと―なぜせっかくのオールカラーの挿し絵なのに背景のみ?とは『Fate』を知る人なら誰でも思ったはずです。
当たり?と思ったのはネットで漁っていた情報以上に魅力的に描(書)かれた人物像と著者の筆力。つまりオタクとしてははずれかもしれないが、活字好きとしては当たりかもという・・・
あとがき含めて最後まで読み終えたあと気づいたのはこの文庫がFateファン、さらに広げて二次元好きを対象とするよりもさらに広い層を文章だけで狙える魅力を持っていることでした。(これはあとがきにも書いてあるんですがね)
人によっては挿し絵なしの方が想像が膨らんで良い場合もありますし、さらに知りたければ今の世の中いくらでも情報収集できますものね。―この文庫はあくまでたくさんの人に『Fate』(もしくは星海社文庫)を知ってもらう為の布教用です。そして布教は私には大成功されました(笑)
・・・ちなみに当たり?と「?」をつけたのは6巻に分けているため盛り上がる所まで1巻では到達していない所です。先は長いですね。

2011.02.10

のぞみ
タイトルで「んんっ!?」って釘づけになりました! 面白いですね!
さやわか
うむ! このレビュー、なかなか面白いです。なんていうか『Fate』という作品に対する強い愛情があるんだけど、それを自覚しつつ、この本をもっと広い視野で見たいという意志が感じられる。
のぞみ
ヲタクさん、活字好きさん、両方の面からの意見が、良いな~と思いました!
さやわか
そうそう! 『Fate』みたいな強い力を持った作品って、好きになってしまうとなかなか客観的に考えることができないものだと思うのですよ。もうあれだ! 俺なんか『Fate/stay night』の遠坂凜シナリオをクリアした時などは、しばらくボーッとして、思わず「あー、ゲーム終わっちゃったな……。でもまあ、明日学校に行けば遠坂には会えるからいいか……」とか完全にヤバい世界に入ってしまったほどなのだからな!!
のぞみ
え……っ。
さやわか
…………。
のぞみ
…………。
さやわか
…………いや、それはともかく、姫が言うようにこのレビューは、オタク的な観点とそうじゃない読者の観点の両方をつなぐようなところがあるがゆえに、作品の面白さだけでなく、「当たり/はずれ」みたいな端的な判断をしようとすることとか、挿絵に人物の絵が描かれているかどうかみたいな、「オタクの価値観ってそういう感覚なのかな」という部分が面白く伝わるように書かれている。つまりオタク的な愛情のあり方を外部に伝える力がある。だからこのレビューはレビュアー騎士団のジャッジ基準では「愛情」を満たしているので「銅」ということになるわけです! そしてこれを「銀」にするには、「なぜそのような愛情を持ったのか」を説明する「論理性」を盛り込めばいい、というわけですな。これこそが、レビュアー騎士団のジャッジ方法の基本です。一応、説明してみました。

本文はここまでです。