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「大日本サムライガール」のレビュー

銅

「大日本サムライガール5」

一見さんお断り、だよ?だよだよ?

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

 断言してしまおう。
「大日本サムライガール5」は一見さんお断りの一冊だ。

 * * *

 これは小説に限ったことではなく、シリーズ物の宿命として、長くなればなるほど新規に読者を開拓しにくくなる傾向がある。本書のように1巻からストーリーが連続している作品は尚更だろう。だが、本シリーズが巧みだったのは、4巻までは毎巻、新キャラクターのアイドルが登場していたことだ。

 前巻を読んでいる人も読んでいない人も、新キャラクターについては「何も知らない」。そして新キャラクターを中心に話が進んでいたので、シリーズに対する知識がなくても楽しむことができた。しかし、5巻からは明らかにストーリーの方向性が変わる。未読の人のために詳細は省くが、メイン格の新キャラクターは登場せず、すでにわたしたちが知っている某キャラクターに大きな変化が訪れるのだ。

 これまでが「広く浅いストーリー」だとしたら、ここからは「狭く深いストーリー」になるといってもいい。言ってしまえば、前巻までで役者がそろい、この巻からは新章が始まった。一見さんお断りといったものの、それは裏を返せば、一見さんではない人=シリーズのファンならばこれまで以上に楽しめるということ。これまでの4巻にわたって張られていた伏線の一部が回収されるあたりは、その真骨頂。これまでは脇役でしかなかった某キャラクターの一面が掘り下げられ、そのことで彼女が一層魅力的に写るのは、実に見事といえるだろう。

 現時点で7冊が出ているシリーズを今、一から読むというのは大変だと思う人も多いだろう。そのことは否定しない。それでも、4巻までは一見さんにも優しい作りになっていることは既述の通り。だから未読の方には、試しに1冊読んでみることを薦めたい。

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2014.06.18

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

「大日本サムライガール4」

やっぱり女の子は関西弁!希ちゃんがナンバーワンや!

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

 エンターテインメント系の小説、とりわけ俗に「ライトノベル」と呼ばれる作品群には、特徴的な口調で話すキャラクターが多い。出典先は失念したものの、作家側もそれには自覚的で、一目見ただけで「あ、これは誰のセリフだな」とわからせるためにやっているそうだ。それがつまりは「キャラが立つ(キャラクターの個性が出ている)」ということにもつながっているのだという。

 至道流星による「大日本サムライガール」シリーズも例外ではなく、メインヒロインの神楽日毬には「うむ」「してくれ」などとアイドルには似つかわしくない古風な言葉遣いが採用されている。それだけではなく、ほかのキャラクター(主に女性)もそれぞれに「自分の口調」を持っており、そのことによってキャラクターの魅力を深めることに成功している。

 ただ、これまでにシリーズ3冊を読んできて、個人的にどこか物足りなさを覚えていたのも事実だった。そして、4巻となる本書で新キャラクターの美少女会計士・槙野栞が登場したとき、全ての違和感の正体がわかった。

 足りなかったのは、そう、関西弁やったんや!

 「名探偵コナン」の服部平次しかり、最近はやりの「ラブライブ!」の
東條希しかり、関西弁というのはキャラを立たせるためのツールとして一般にも周知されている。関西弁をしゃべるキャラクターがどうして魅力的なのかは古来よりさまざまな研究がなされているが、まだ結論が出ているとは言いがたい。が、個人的な意見を言わせてもらうならば……やはり、東京に都を移すまでは京都が日本の中心だったことが関係していることは明らかだろう(適当)。特に女の子がしゃべっている関西弁は大事だ。大事すぎるので二回言うけれど、超大事。だって考えてみてくださいよ(なぜ敬語)。希ちゃんが関西弁をしゃべらなかったら、ただの不思議キャラやないですか!

 だ!か!ら!

 たとえそれがエセ関西弁であろうと! 君がッ! 関西弁をしゃべるまで殴るのをやめないッ!(注:Not DV)

 そんなわけで、「大日本サムライガール」の第4巻で栞ちゃんが出てきたときーーいや正確には「ハッキリ言うておく。うちはオドレが死ぬほど嫌いや」という第一声が241頁に記されているのを目にしたとき、彼女への好感度はそれだけで急上昇した。そして、やはり関西弁をしゃべる女の子は性格がキツくないとあかん。そうやろ?(誰に聞いているのか)その点でも栞ちゃんはハードルを易々とクリアしてますやん! もうウチのハートは栞ちゃんにめろめろやで~。

 ……おほん、失礼。少し興奮しすぎたようだ。
 話の流れを、そして口調を元に戻そう。

 確かに、女の子を魅力的に描く作者の手腕はこれまでのシリーズでもしっかり生かされていた。メインヒロイン・日毬に10代の女の子にはふさわしくない口調を採用して、そのギャップを魅力に転じたことなどいい例だろう。ほかにも「守銭奴アイドル」など、ギャップ萌えの使い方が巧みだった。

 その一方で、栞ちゃんは言ってみれば「関西弁をしゃべる女の子」のステレオタイプだ。もちろん「社会共産党員」というギャップの要素はあるが、キャラクターとしては極めて真っ当なタイプである。そして、作者はそのように奇をてらわない真っ向勝負でも、魅力的な女の子のキャラクターを生み出すことができることを証明してみせたのだ。

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2014.06.18

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

「大日本サムライガール6」

政治 meets アイドル 出会いこそ人生の宝探しだね

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

 右翼を標榜する女子高生・神楽日毬が政治の頂点に上り詰めるためにアイドルになるさまを描いた「大日本サムライガール」シリーズ最大の魅力は「政治」と「アイドル」という一見、相反する要素が共存しているところだ。

 第6巻はそのミスマッチが最大限に生かされた構成になっている。前半は政策について話し合う「政治」パート、後半は主人公たちの日常生活にスポットを当てた「アイドル」パートになっているのだ。

 このように「政治」と「アイドル」がシームレスにつながっているのを目の当たりにすると、この二つの要素が対極の存在ではないことに気付かされる。「政治」には「アイドル」のノウハウが生かせるし、その逆もまた然りなのだ。

 「政治」と「アイドル」の組み合わせというだけで抵抗のある方もいるだろう。だが世の中には、メロンと生ハムのように、似つかわしくないものを食べ合わせると、お互いを高め合うという例もある。

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2014.06.18

「大日本サムライガール」のレビュー

銀

『大日本サムライガール3』

「芸能人は、どうしてファッションデザイナーになりたガールのか?」

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

 本書は、右翼団体「日本大志会」の総帥である高校生・神楽日毬がアイドルとなって政治の頂点を目指す、至道流星による小説シリーズの第3巻である。毎回、芸能界の内情を交えながら、日毬の躍進ぶりを描いているが、本作では日毬が副業としてファッションブランドを立ち上げるさまがつづられている。

 芸能人がファッションデザイナーになりたがるという例は、見渡せばそれこそ山のようにある。アイドルグループのメンバーや読者モデル出身のタレントなどが競うようにファッションブランドを立ち上げ、デザイナーとして脚光を浴びるというのは、今の芸能界では日常茶飯事といってもいいだろう。

 本書では、日毬がデザイナーとしてデビューするまでの日々を通して、芸能人がファッションデザイナーになることのメリットがこれでもかといわんばかりに説明される。一つ、芸能人としての箔がつく、一つ、お金になる、一つ、実際にデザインしなくとも元になるアイデアを出すだけでデザイナー扱いされる……などなど。

 ただ、このシリーズが面白いのは、ヒロインたる日毬の破天荒な行動が、上記に挙げたような「お約束」をことごとく覆してしまうことだ。ちょっとアイデアを出すだけでよかったはずなのに、何事にも手を抜こうとしない日毬は、洋服のデザインに本格的に関わり、結果としてブランドは大成功を収めることになる。ただし、その反面で日毬は体調を崩してしまって……。

 そんな斜め上の方向に物語が転がされるものだから、読者はついつい先が気になってしまう。エンターテインメントの基本といえば、その通り。けれども、芸能界の内情を絡めることで、「実際にあのアイドルはどうなのかな~」というふうに読めるあたりは著者の腕のなせるわざだろう。

 第3巻では、それ以外にも主要人物の今後にちょっとしたサプライズが訪れる。今後がますます楽しみなシリーズになってきた。

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2014.05.20

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

「大日本サムライガール」2巻

壮大なロードーノベル。

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

 学生時代、職場でバイトリーダーを務めていた友人があるときに「すっごくワクワクする仕事なんだよね! ワクワクなワーク!」とか言っていたのをふと思い出した。書き出してみると大しておもしろくないのが残念だ。わたしは、言っている本人が大まじめだったのがおかしくておかしくて、腹を抱えて笑った。あれから数年。E君、あなたはまだバイトリーダーなのでしょうか。それとも社員に昇格したのかな。

 というわけで、本書のテーマはずばり「仕事」である。「労働」とか「勤労」とかいうアレだ。勘違いされがちだが、会社の机で難しそうな顔をしたり、会議をすることだけが「仕事」ではない。本書で描かれる「アイドル」だって立派な職業であり、仕事だ。そのアイドルをサポートする「マネージャー」だって仕事だし、アイドルたちが登場する雑誌のグラビアやテレビ番組だって、誰かの仕事の成果なのである。

 第2巻では、この「仕事」というテーマによりスポットが当てられている。理由は簡単。新キャラクターの朝霧千歳が、とにかく「仕事」がしたくてたまらないアイドルだからだ。ただし「仕事」が好きだから「仕事」をしたいのではなく、彼女が「仕事」をしたいのは「お金」のためである。そこにやりがいなどは一切求めず、労働の対価たる「お金」だけを一途に求める姿は清々しいといえよう。そういえば、このシリーズのヒロインたる神楽陽毬も、アイドルという「仕事」はあくまで政治活動のためだと割り切っていた。その意味で、このシリーズでは「仕事」はいつも何かを達成するための手段として描かれてきたといえるだろう。

 だが冷静に考えれば、本書で主に描かれる「アイドル」というのは、生きるために絶対に必要な仕事ではない。だからこそ、アイドルたちは「アイドル」でいる意味を自分たちで探さなくてはいけない。陽毬にとってはそれが政治活動であり、千歳にとってはお金だったのだろう。だが、「アイドルでいる」ために「アイドル」でいる人がいてもいいとわたしは思う。人はきっとそれを「やりがい」と呼ぶのだろうから。

 まだ陽毬たちは「アイドル」にやりがいを感じる境地にまでは至っていない。だからこそ、彼女たちが「アイドルでいる」ために「アイドル」をしている姿をわたしは見てみたいと思う。冒頭で言及した友人のE君は、まさにそんな人だった。働くことが何よりも好きなようにわたしからは見えた。E君のようになりたいわけでは決してないが、何かの「仕事」に打ち込める人はうらやましい。いや、正確には、何か打ち込めるような「仕事」を見つけられたことがうらやましいのかもしれない。

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2014.03.27

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール1

その目的をどこまで夢想できるか

レビュアー:鳩羽 WarriorWarrior

 二点間の最短距離は、素直に考えるとその二点を結ぶ直線だ。けれど道がなかったり障害物があったり、そもそも平面じゃなかったりと、素直にまっすぐ行くことが困難な場合の方が多い。
 その複雑さが世間のおもしろさであり、魅力であり、多様性の現れでもあるのだろうが、その煩わしさにうんざりした経験は誰にでもあるのではないだろうか。
 被選挙権どころか選挙権すら持たない女子高生神楽日鞠は、日本の救済のために自らの身をなげうってでも、独裁者になろうとする極右思想の持ち主だ。
 常識的に考えるならば、年齢を重ねることで知識や経験を蓄え、そこから政治家への道を歩み出すのが普通のルートだろう。しかし、日鞠はそれでは遅いと考えた。一刻も早く、日本国民を救わねば、と。
 また、女性であることは、政治家への門戸は広く開かれているとはいいがたい現状がある。日鞠の年齢、性別、などの本人にとってどうしようもない要因は、目的地までの最短距離を邪魔する障害物として、日鞠にまとわりつく。
 それを一変させたのが、織葉颯斗との出会いと、アイドル活動を政治の手段にするというアイデアだった。
 美貌とプロポーションに恵まれながら、そのことに無自覚な日鞠が、地道にアイドル活動を行って、一気に日の当たる場所まで躍り出る。
 この小説の気持ちよいところは、政治とアイドルという二重の成功物語を読む愉しみだけではなく、世間をさながらボードゲームのような平面にしてしまったところだ。
 お金持ちのぼんで新保守な傾向のある颯斗が持つ父親への反発や、メディアのような形のないものよりもモノを作ることに価値を見いだす颯斗の父親、いかにも芸能プロダクションの裏の顔といったプロダクションの社長など、立ちふさがる存在が分かりやすい主義や思想の擬人化されたもののように配置される。
 続刊でどうなっていくのかは分からないが、彼らが日鞠に影響されて、考え方や立ち位置を変えて右翼になることはないだろう。もっと言うならば、彼らは日鞠が最短距離を行く上での障害ではあっても敵ではなく、倒されて「存在しなくなる」ということはないのだ。日鞠の若さや性別が、政治家という目的には不利になっても、アイドルという手段にこのうえなくマッチしたように、必要なものを使い、不要なものは切り捨て、身軽にまっすぐに突き進んでゆく。目的のために最短距離を行こうとする日鞠のこの清々しさ、迷いのなさが、様々な障害物に手こずらされている私からするととても爽快なのだ。
 このボードを見ていると、どんな主義も立場も疎外されず、一方的に負けたりせず、みんなそれぞれの収めどころを見つけられるのではないかという夢物語のような現実を空想したくなる。
 だが、夢すら持てなくなってしまえば、理想を思い描くこともできないだろう。日鞠の描く理想の日本とはどういう国なのか、それが描かれてくのが楽しみだ。

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2014.03.27

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール

左派な私から見た右翼の美少女

レビュアー:AZ AdeptAdept

 始めに言っておく。私は左派だ。だから、右翼な美少女が活躍するこのシリーズが好きではない。
 神楽日毬は、極右と言って良い程の過激な思想をもつ美少女女子高生だ。拡声器をもって過激な街頭演説なんてこともしている。そんな彼女が、政治の頂点に立つためにアイドル活動をする、というのが大まかなあらすじだ。
 もう、あらすじだけでも面白さがにじみ出ている。もちろん、実際に読んでみればその面白さが本物だと分かるだろう。1巻ラストの演説からの流れは、本当に胸がすく思いがした。
 ストーリー以上に好ましいのは、日鞠の人物像だ。国のことを誰よりも真剣に考え行動する姿は、これこそ日本人の真の姿だと言い切れる。その清廉さは、まさにサムライガールだ。現代に欠けてしまった大切なものを彼女の中に見て、怠惰な自分に活を入れたくなった。
 と、そのようにかっこいい日鞠だが、たまに16歳の女の子らしい可愛らしさも見せてくるから堪らない。初めてのデートにどぎまぎしたり、水着撮影に恥じらったり、マネージャーの颯斗に「一緒にいて欲しいんだ……」なんてうつむきがちに小声でいったり……。そんなギャップを見せられたら、キュンときちゃうに決まってるじゃないか! これで恋愛感情が少しも芽生えない颯斗は、ちょっとおかしいのではないかと。
 『大日本サムライガール』はストーリーもキャラクターも魅力的な、素晴らしい作品だと思う。だが、私は左派だ。残念ながら、右翼な美少女が活躍するなんて作品を誰かに勧めることはないだろう。これほどまでに左派であることを残念に思ったことは、今までにない。

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2014.01.29

「大日本サムライガール」のレビュー

銀

大日本サムライガール

家族の前でだけ見せる顔

レビュアー:ticheese WarriorWarrior

 『大日本サムライガール』はライトノベルでは珍しく、登場人物の家族とその関係がしっかりと描かれている。
 織葉颯斗は仕事一筋な父親と折り合いが悪い。面と向かうと普段の論理的な思考ができずに感情的になってしまう。
 朝霧千歳は家族思い。事務所でのドジっ娘属性も家族の前では鳴りを潜め、一人前に家業を心配し足の悪い兄を守ろうと必死になる。
 神楽凪紗は日毬に長女の威信を貫き通す。本当は自信のない自分を奮い立たせ、妹の不始末を挽回する。
 個性的な彼彼女らが、家族の前でだけはどこにでもいる普通の兄で妹で姉になる。この変化が登場人物たちの深みになり、そこにいるのは血肉の通った人間だと気づかせてくれた。
 ただ一人、神楽日毬だけは誰の前でも強い自分を保ち続ける。日本を救うんだという決意から。日毬が安心してただの女の子になれた時、『大日本サムライガール』は終わるのかもしれない。願わくば、それが日毬の理想が遂げられた結果であってほしい。

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2013.07.08

「大日本サムライガール」のレビュー

銀

大日本サムライガール

起業家片桐杏奈

レビュアー:USB農民 AdeptAdept

 おそらくおっぱいを揉ませたら彼女の右に出る者はアイドル界にいないのではないだろうか。そう思わせる魔性の技を、片桐杏奈はもっている。
 というのが、杏奈というキャラクターに対する私の所感だったが、そのイメージは五巻の物語において覆された。
 トップアイドルとしての現状を維持するのではなく、自分の目標のために起業の道に進む選択をした杏奈。おっぱい賑やかし要員として、ヒロインのかわいさアピールに貢献していた彼女は、実は自分の人生について芯の通った考えを持った人格者だった。物語における役割の変化が、彼女のイメージにギャップを生んでいる。
 杏奈は、彼女自身も口にしているが、日毬の大目標に邁進する意志の強さに影響されたのだろう。日毬というメインヒロインが、他のキャラクターに影響を与えて変化させていくのがこの作品の構図となっているが、私としては、杏奈もまた、誰かに影響を与えるような存在になるのではないかと思った。杏奈の行動と決断からは、日毬のようにいつか必ず目標を叶えようという強固な意志が感じられたからだ。フィクションのキャラクターだとわかっていても、なんというか、素直にすごいと思えた。

 この作品に登場するヒロインは他にも多数いるし、これから新キャラクターが増える可能性もある。彼女たちもまた、日毬や杏奈のように、不退転の決意を見せるのか、それとも別の形で意志の強さを見せるのか。今後の物語でどう描かれていくのか非常に楽しみだ。

 しかし杏奈には、起業後も引き続き、おっぱい賑やかし要員として活躍してほしい。それはそれで、キャラクターの魅力を引き立てる大事な要素なのだから。

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2013.07.08

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール2

兄弟の優劣

レビュアー:カクラ・メロンソーダ AdeptAdept

弟や妹を持つ人が一度は経験するトラウマのひとつは、弟(妹)に負けるという経験ではないでしょうか。2巻までは妹の努力と資質を純粋に見つめていた姉は、心の底で負い目を持っていたことをひっそりと、弱々しく明かしてくれます。道場の師範でありながら、月給10万円ほどで家庭を支えていた姉をぎゅっと抱き締めたくなる3巻です。






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2013.06.22

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール2

隠れたテーマ

レビュアー:カクラ・メロンソーダ AdeptAdept

二巻のヒロインは貧乳でドジっ娘です。ドジっ娘と言えばおっとりした巨乳っ娘を誰でも想像すると思うのですが、ここがこの作品の計算高い所でした。貧乳というデメリットの裏には、限りない家族への愛が詰まった心の存在があります。そんなテーマが隠れていたことが、物語の終盤でやっと明かされます。「ドジっ娘は巨乳っ娘の特権ではない」それは、本作の隠れたテーマであると言えるのではないでしょうか。そして、真のヒロインである日毬は、二巻の序盤で大きな変化を迎えます。多くの人間にメディアで支持されたとき、人はどんな気分になるのでしょうか?私は特別な信念もなく過ごしていますが、仕事や生活の中で、始めに抱いた目標が正しかったのか迷うことはよくあります。道に迷った時、「こうありたい」そう思わせてくれるキャラクターがここにはいます。

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2013.06.22

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール2

過去の私の物語の前に、このヒロインを見てくれ

レビュアー:カクラ・メロンソーダ AdeptAdept

今巻でもヒロインの日毬はブレることなく右翼です。まず私がこのシリーズを読むに当たり、興味を惹かれた「美少女と右翼」という言葉。二巻では余り出てきません。新たなヒロインを軸にした物語だからです。国粋主義に染まるに至った経緯は、主に家柄と教育という話は一巻でも出てきましたが、ここを二巻で掘り下げないのは、おそらく作者の至道流星さんの計画通りなんでしょう。三巻では語られるの?語られないの?!はよ






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2013.06.22

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール3

妹と同じ年齢で頑張っているので、応援したいと思いました

レビュアー:カクラ・メロンソーダ AdeptAdept

物語は、ヒロインの芸能活動としてのひとつの山場を迎えます。一巻では颯人を守るため。二巻では千歳を助けるため。三巻では自分を支える多くの人の期待に応えるため。こうして読むと、おそらく4巻では、「誰かのため」という視点ではない物語が来ることを想像します。ただ、芸能界での地位を固めてしまう展開はやや急すぎて、作品として少しだけもったいな い気もします。ピンチを救う最強の「なのである口調」と、オーディションで颯人に意見を求められた時の、彼女の回答に対し、心で突っ込む颯人に笑ってしまう3巻です。

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2013.06.22

「大日本サムライガール」のレビュー

銀

大日本サムライガール

「やりたいことがないといけない」という風潮が気にくわない

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

「何か、自分の人生でどうしてもやりたいことがある人は手を挙げてー」
 そう尋ねられたとき、何の躊躇いも手を挙げられる人をわたしは尊敬する。社会の荒波を二十数年、ふにゃふにゃむにゃむにゃと生き長らえてきたわたしは常に「やりたいことをやる」のではなく、「やりたくないことをやらない」ようにしてきたからだ。もちろん、日々の暮らしの中での「やりたいこと」はある。今日はラーメンを食べたいとか早く寝たいとか女の子とデートしたいとかエトセトラ。けれども、自分の人生を賭してまでやりたいことがあるかといえば、うーん、残念なことに、ないのである。そんなわたしだからなのか、「大日本サムライガール」の語り手である織葉颯斗には似たものを感じずにはいられない。

 もちろん、颯斗自身はいいとこの坊ちゃんで大企業に就職してそれなのに訳のわからない理由でさっさと辞めて芸能プロダクションを立ち上げて日毬をサポートする上にちゃっかりデートもしてしまうという、まあ、夜道で後ろから襲われても「まあ、仕方ないよね」と思える人物なのだが、そんな彼にも一点だけ共感できることがある。大企業の御曹司である彼の行動の原動力は「父親の言う通りにしたくない」という反抗心なのである。だから、就職時に父親の威光が関係していた職場も辞めてしまうし、それをきっかけに父親の軽蔑する芸能界に足を踏み入れることにもなる。それらしい理由をつけて日毬とちゃっかりデートしやがったあたりは職権濫用といわれても言い返せないだろうが、「やりたいことをやっている」ように見える彼が、実は「父親に従うという『やりたくないこと』をやらないようにするためにはどうしたらいいのか」というのを第一に考えているというのは、本作のポイントにもなっている。

 なぜなら、主人公たる神楽日毬は、颯斗とは正反対に「やりたいこと」を最優先する人間だからだ。ここに颯斗が日毬を気に掛ける理由がある。もちろん彼女が16歳の現役美少女高校生ということも少しは関係しているだろうが、何よりも颯斗は「自分にない『やりたいこと』」を持っている日毬に惹かれるのである。そして、日毬に欠けていた「目標を達成するための手段」を示す。それが「アイドルになる」というのは少々現実離れしているように思えるが、「アイドル」の本来の意味である「偶像・崇拝されるもの」という観点からすれば、最初の段階から颯斗は自分にないものを持っていた日毬を崇拝していたのだから、日毬がトップアイドルになることは颯斗にとって当たり前のことなのである。

 第1巻の段階では日毬がアイドルになっていく過程ばかりがフィーチャーされているが、わたしとしては颯斗の「自分探しの物語」として読むこともオススメしたい。颯斗は日毬を中心とした騒動に巻き込まれてしまったことで、徐々に「自分のやりたいこと」を自覚していくことになる。物語の冒頭で、颯斗は26歳。30代という一つの節目が見えてきている中、自分の「やりたいこと」が見つからずに悩んでいる同世代も多いだろう。颯斗と同世代の人にこの物語をもっと読んでもらうことで「自分探しの物語」の一面にスポットが当たることを願いたい。

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2013.06.22

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール

大日本シンデレラガール

レビュアー:ラム、ユキムラ

 シンデレラは おどれない
 ガラスの靴では おどれない
 童話の国ではおどれても おとぎの国ではおどれても
 現実世界じゃおどれない
 ガラスの靴では おどれない

 儚い靴は くだけちる
 履かない靴は くちはてる
 シンデレラは おどれない
 ガラスの靴では おどれない



 魔法使いは現れた
 灰かぶりは アイドルへ
 ガラスの靴より遙か速く 走れる靴を与えてくれた
 立場変われど 想いは変わらず
 二人で共に 突っ走る
 0時じゃとけない ホントの魔法

 その靴が 足に馴染んだ頃
 泰然自若の信念は
 結実すると 信じてる

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2013.06.22

「大日本サムライガール」のレビュー

銀

大日本サムライガール

芳春に艶花咲く

レビュアー:ラム、ユキムラ

 神楽日鞠は右翼思想の強い、女子高生だ。
 日本を救うために、何とか会という政治活動をしている。
 とはいえ女子高生にできることは少ない。
 そもそも政治家とは、有名であることが大事らしい。
 されど、彼女は未だ16歳。立候補どころか、投票する側にもなっていない。というのに、「日本には自分の成長を待っている時間すらない」と彼女は憂う。
 ならばアイドルになることが独裁者への最短ルートだと、主人公に説得されて。そうして、彼女は手段としてのアイドルを決意するのだ。


 女の子全てそうかもしれないが、アイドルは華であり花だ。
 美人の例えにも、立てば芍薬 坐れば牡丹 歩く姿は百合の花、というのがある。


 芍薬の別名は花の宰相
 牡丹は花の王様と呼ばれる
 百合――特に白百合は、純潔の象徴である


 まさにひまりんのための言葉ではないかっ!
 花の王様とは、すなわちアイドルの頂点。花の宰相とは、アイドルであり政治家。
 ――そして、百合。
 神楽日毬は、常に正しくあろうとしている。其の生き様はもはや、純潔を通り越して高潔だ。研ぎ澄まされた美しさ。朝の空気のような、或いは日本刀のような。 
 その信念から、「日本万歳」と小さくつぶやいてグラビア撮影に向かう姿は、滑稽でありながら可愛いくもある。
 妙齢を救国に捧げたフランスの聖女、ジャンヌ・ダルクの旗印も白百合だった。
 だが、正しさや高潔さというものが報われるとは限らない。
 現にひまりんは公安警察に目をつけられている。
 願わくば――かの聖女のように 手折られること無きように。
 花守の責任は重大だ。

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2013.06.11

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール

一つの夢に16歳の全てを傾けること

レビュアー:カクラ・メロンソーダ AdeptAdept

私は日毬ちゃんのように「日本を変えたい」というような大きな目標は
ありません。

街中に立って、しかも友達も仲間もいない中で一人で演説するなんて
勇気のない人間にはできないと思います。

服を買ったり、帰りに買い食いしたり、彼氏と遊んだりしたい年頃に
学校生活以外の全てを政治活動を捧げるている理由は、
ボランティアで働く施設の子供たちの辛い環境が目に見えているから
だということが、読んでいる中にサッと出てきます。

私も、世界が平和であってほしい、日本が平和であってほしい、
貧しい世の中をなくしたいと思うことはありますし、誰でも
思うことかもしれません。
そう思っても何もできないまま、一日寝たら細かいことは忘れます。

日毬ちゃんは、本気で日本を憂い、救いたいと願い、政治活動を
支援してくれる主人公を心からしたい、涙を流します。

こんなに一途にひとつの事に人生をかけられたなら、
自分もなにかを変えられるんじゃないか。
と思う、素直でまっすぐで、それでいて節のような
日毬ちゃんを応援せずにはいられなくなる本です。

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2013.06.11

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

世界征服/大日本サムライガール/至道流星

至道流星は勝利し続ける。

レビュアー:Thunderbolt侍 InitiateInitiate

あらゆるエンタテインメントには「快感原則」の充足が求められる。

主人公が最終的に勝利することで読者は大きな満足感を得ることができる。そのため、物語終盤直前に主人公らをあえてマイナス状態に落とし、読者にストレスを与えるという手法が定番となった。ここからプラスに引き上げることで、振れ幅を大きくし、快感の度合いを引き上げるというテクニックだ。

だがしかし「世界征服」「大日本サムライガール」の至道流星は、その常道を歩まない。水ノ瀬凛は一度の敗北・挫折も味わうことなく世界征服へと歩を進めるし、神楽日毬、織葉颯斗もそれぞれの大志・野望を最短距離で成し遂げようとしている。一時の敗北すら描かれないし、予期できなかった苦戦も存在しない。敵や障害は瞬く間に駆逐される。まさに「覇道」(「世界征服」オビより)を描く作家なのである。

そしてこの際、従来の“マイナスからプラスに至る振れ幅”を越える圧倒的な勝利を描くのが至道流だ。「倒産寸前の零細企業を救った(やったね!)」では終わらないスケールの大きさこそが至道流星作品の面白さ。そのケタ違いな大勝利にはちょっと唖然とさせられる。まあ、主人公の最終目標が「世界征服」あるいは「日本独裁」なのだからチマチマした成功を描いている場合ではないのだが……。

もちろん、ただの大ボラではない。筆者が得意とする経済・政治というツールを駆使することで「ケタ違いな大勝利」にしっかりとしたリアリティを付与している点も評価したい。水ノ瀬凛が頭脳を、神楽日毬が美貌という武器を最大限駆使したように、本業が経営者であるというバックボーンを活かした説得力のある内容に仕上がっている。

2009年8月にデビューした至道流星が、これまでに上梓した作品の冊数はすでに20冊を越えた。この精力的な活動は彼の描く物語の登場人物たちにも負けていない。圧倒的な勝利を描き続け、積み上げ続ける、至道流星の覇道からも目が離せそうにない。

まずは「大日本サムライガール」の圧倒的大勝利に期待している。

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2013.06.11

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

大日本サムライガール1

右翼の神楽日鞠さん(女子高生)素直

レビュアー:カクラ・メロンソーダ AdeptAdept

今の時代、女子高生で将来政治家を夢見る人は0ではないと思います。
でも「将来」ではなく「今のまま女子高生として政治家になる」ことを考えている
女の子は多分0なんではないでしょうか。

主人公の颯斗に言われるまま、アイドル活動を通して世間へ認知されることが
政治活動に繋がると信じて突き進む日鞠の姿は、例えばインターハイを目指し
ひたすら練習に励む女子高生と何も変わらないです。
水着姿のグラビア撮影に羞恥しながら、力なく空を見上げて言います。
「日本、万歳・・・」と。

ひとつ惜しいのは、クライマックスの日鞠の街頭演説での言葉が、
主人公が概要を説明する形になっているところです。
ここは日鞠のはっきりとした言葉を描くことでこそ、読者の心に響く
とこなので勿体なかったです。

ただ、まるで嵐のように過ぎ去る、マスコミを巻き込んでの
最後の数ページは、2巻をすぐ読まずにはいられなくなる展開です。

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2013.06.11

「大日本サムライガール」のレビュー

銅

至道流星『大日本サムライガール』

立ち姿こそ花宰相

レビュアー:ラム、ユキムラ

「戦争でもっとも重要なことは戦後処理だ」みたいなことを言ったのは、誰だか忘れたけれど、意外と合ってる気もする。
 それは、戦時下に身を置かなかったからこその楽観かもだけど。
 北方領土や尖閣諸島、竹島などの所有問題。あるいは米軍基地など。
 戦後半世紀以上経ってなお、戦火を引きずるように戦禍の如き問題はまだたくさんあって。
 こういった社会的な問題に関心を向けない人はそれでも多い。政治家の問題発言に眉を顰める程度。
 自分には関係ないこと、って思ってるのかな?
 まぁ、「じゃあアナタは常日頃からそういった堅苦しいことばかり考えてんの?」とか訊かれても、困るワケだけどさ。

 とにかく、私の周囲を取り巻く世界はそんなだから。
 だからこそ、余計に彼女が目立ったのかもしれない。
 新緑のてっぺんに大輪の花を咲かせるシャクヤクのように、映えて見えたのかもしれない。

 彼女の名前は神楽日毬。
 女子高生。自称・唯一の右翼。
 右翼なんて良い意味ではあまり使われないけれど、彼女はそんなマイナスイメージには囚われない。去りし過ちに起因して未来や今を気遣う人々からの排除攻撃やネガキャンだってはねのける。なんたって、日本の総理大臣になるために彼女が選んだワンステップは、アイドルを目指すことなのだから。
 1巻表紙のまっすぐにこちらを見据えている立ち姿は、まるで心まで曇り無きよう。
 彼女の生き様に、主人公とおんなじように私たちはワクワクしながら振り回されて。気づけばもう、右も左もどうでもいい。
 ただ、彼女の軌跡を追い続けたくなるだけ。

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2013.05.29

「大日本サムライガール」のレビュー

銀

大日本サムライガール

神楽日毬のとりせつ

レビュアー:ticheese WarriorWarrior

 大日本サムライガールの『神楽日毬』は、いささか以上に風変わりなヒロインでした。
 道行く人々が目を合わせないようにする美少女、公安に目を付けられる美少女、真性の右翼であり日本の独裁者になろうとする美少女……。はっきり言って、私は最初に読んでみてどん引きしていたのです。
 いくら美少女だからといって、これではいくらなんでも怖過ぎる。もし現実にいたら、私だって近づきたいとは思えません。
 しかし読み進める内に、そんな彼女を好ましく思えるようになるのだから面白いのです。面白いと思うのは、彼女を好ましく思えるようになったのが、彼女自身の魅力がきっかけではないからです。
 日毬が芸能界にデビューを果たし、仕事を共にする芸能関係者の大人たちこそ、この近付き難いヒロインを親しみやすく解してくれた功労者。彼らはまず神楽日毬の容姿に着目し、他の幾多のモデルやアイドルにはない個性に確信します。――『この娘は使える!』
 彼らは日毬の思想や奇行など気にしたりしません。右翼であろうが独裁者を目指そうがおかまいなし。自分たちの必要としている面しか見ない。それは主人公であり、日毬を芸能界に引っ張り込んだ張本人である織葉颯斗ですら、例外ではありません。颯斗が見ているのは、自分にはない明確な目標を持つ日毬の強い意志。もし日毬の目標が世界征服でも人類殲滅でも、あるいは応援したかもしれません。
 私は彼らに神楽日毬との丁度良い距離感を教えてくれました。
 好きな所だけ楽しめばいい、です。
 そうと分かると、日毬の強烈な個性の影に隠れた普遍的な魅力が見えてきます。拡声器を持ち凛々しく演説する姿、肌を晒すのを恥じらう水着姿、苦手な杏奈に怖れ戦く姿、挿絵でだけでもどれ一つとして同じ顔をしていないんです。怖過ぎる美少女が、魅力的な美少女に変わるには十分でした。
 偏見を廃し、相手の良い所を見つける。かといって触れるべきではない所からはきちんと距離をとる。読む内に正しい大人の対応を教えてくれて、その教訓がヒロインを輝かせてくれる。さらに言うなら、主人公颯斗と日毬が1巻で敵対する相手が、大人げない圧力をかけてくる権力者であることも、読者にこの作品の有り様を強く印象づけている要素であるかもしれません。
 読み終わる頃には、神楽日毬は私のお気に入りのヒロインになっていました。

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2013.05.29


本文はここまでです。