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「面接ではウソをつけ」のレビュー

銀

面接ではウソをつけ

うそからでた、まことの話

レビュアー:鳩羽 WarriorWarrior

 相手の立場になって考える。
 これまで幾度となく言われてきたことなのに、なかなかできなくて、だから余計に言われることになる。
 さほど親しくもないひとに、いきなりプライベートな話を持ちかける。きっと重いと思われるか、引かれるかするだろう。
 家族や親友に、悩みを打ち明けられずに悶々とする。これだと、なぜ相談してくれないのかともどかしい思いをさせてしまうかもしれない。
 好きな人にはありのままの自分を知ってほしい。
「自分は一人でいるのが好きで、喋るのが下手で、わがままで、ちょっとしたことにすぐかっとなり、なんの取り柄もないし身なりを整えることも面倒な性格です。つき合ってください」
 こんなアピールにイエスと言う人はまずいないだろう。

 『面接ではウソをつけ』という衝撃的なタイトルだが、この本はとことん相手の立場を考えることの大切さを教えてくれる本だ。
 面接官も普通の人である。入りたいと思っている会社の会社員であり、通常業務の時間を割いて、似たり寄ったりの面接を相手をこなしているのだ。
 相手が知りたがっていることに答え、相手が求めている人間像を演じる。逆に言うと、相手が知りたくもないことには答えず、相手が求めていない人間像は隠すというだけのことだ。
 百パーセント明るい人間もいなければ、百パーセント暗い人間というのもいない。誰だって好きなことに熱中している時は快活になっているだろうし、興味のあることには一つ二つ意見くらいある。
 その自分のよい部分、理想的なイメージを目に見える表面に持ってくること。
 それがこの本でいうところの「ウソ」なのだ。

 最終章のタイトルは「『新しい自分』をインストールする」
 なんと怪しげなタイトルだろう。
 けれど誰だって、好きなモデル風のメイクや、アイドルの誰々風のファッションなどなど、こっそりやってみたことくらいあるはずだ。
 性格は変えられない! と諦めるのではなく、内面もちょっと装ってみること。
 最初はよそゆきの服のようにぎこちなくても、いつかそれがしっくりと馴染んでくる。
 そのとき、自分が理想としていたイメージは、そのまま自分のものとなっているだろう。面接は、長い人生のそのきっかけにすぎないのだ。
 本当の自分は、いつでもウソで変えられる。

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2014.04.22

「面接ではウソをつけ」のレビュー

銅

面接ではウソをつけ

面接以外でもウソをつける

レビュアー:キノケン NoviceNovice

この本を、はたして「就活本」としてジャンル分けしてしまっても良いのだろうか。

冒頭文で著者は「弱者のための本」と銘打っているが、これは「弱者」ではなくても読むに値する名著であるように思う。
著者の「ダメ営業マン時代」での経験に基づく、仕事における価値観や人間観。
そこから導かれる自分の立ち振る舞いに関する提言は就活にとどまらず、今後職場でも、職場以外の人間関係でも有用なスキルになるのではないかと思う。
自分の人間関係や、対人スキルに自信のない人々は多くいると思う。そのような人々にこそ、この本を手に取り、自らの力で自らの人生を切り開く手段を手に入れてほしい。
この本を読んで、『「新しい自分」をインストール』することができたなら、自分自身の人生が、今よりも少し開けたものになるかもしれない。

ジセダイで『面接ではウソをつけ』を読む

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2012.03.09

「面接ではウソをつけ」のレビュー

銅

面接ではウソをつけ

「面接ではウソをつけ」という物語

レビュアー:大和 NoviceNovice

“星海社新書の目的は、戦うことを選んだ次世代の仲間たちに「武器としての教養」をくばることです”という文章が星海社新書のレーベル紹介文に載っていて、その考え方自体は諸手を上げて賛同する。のだけど、しかし困ったことに、星海社新書を次々と読んでたら、なんだか食傷気味になってきた。

 現代においてはあらゆるコンテンツは消費されるスピードが早く、終身雇用は崩壊しはじめ、もはや以前までに共有されていた人生のロールモデルは通用せず、(少なくともそういった危機感が世の中には確実に芽生えていて、)そういう流動性の高い社会に対応するには、あらゆる状況で通用するような汎用性のある意思決定の技術、態度、思考法、といったものが重要になってくるので皆さん習得しましょう――というのが、星海社新書が掲げている話なのだと思う。

 だがそういう話になると、どうにも「慣例に流されず自分の頭で考えましょう」「物事の本質に目を向けましょう」といった、態度や心構えに辿りつく話になってしまう。無論それぞれ違う題材やテクニックによって調理されているのだけど、最終的には同じようなテーマやメッセージに辿りついてしまうため、一見して全然違う料理だけど実は全部卵料理なんです!ジャジャーン!みたいな感じがしてしまい、もう卵飽きたよ、という気分になっている。無論、読書体験や読み方は人それぞれなので、それは単に僕の読書スタイルが噛み合ってないという話でしかない。だが正直なところ、段々と食指が動かなくなっている。うーん、困った。

 そして本書も正しく星海社新書のコンセプトを貫いているのだが、これが思いのほか、読んでいて「楽しい」本だったので驚いた。本書は就職活動、とりわけ面接に焦点をあてた本だ。著者は面接と営業は似ていると語り、営業マンとしての経験をベースに、面接を突破するにはどうするべきかを説いていく。しかしマニュアル的に攻略法を語っていく本ではない。

 「この本は弱者のための本です」という言葉を著者は繰り返すのだが、それはまさに著者自身も「弱者」であった経験から来ている。著者はかつて7年もの間、成績が悪くてクビ寸前の営業マンとして過ごしていた。しかし自身の営業方法が間違っていたことに気づき、アプローチを変えてみたところ、4年連続でトップの営業マンとして活躍することになる。

 その経験が本書では生かされている。著者はまず営業マンとしての困難――間違いや勘違いを提示し、それがある「気付き」をきっかけに改善し、成功へと辿りついたプロセスを語る。それはまるで読者が著者の「気付き」を追体験していくかのようだ。そうした「気付き」の体験が次々とテンポよく語られていく様は実に痛快で小気味良い。つまるところ、僕にとって本書は、かつて営業マンとして挫折と成功を味わった男が就職活動や面接の世界に挑んで行く物語であり、エンタテインメントなのである。

 恐らくそれは面白さを追求した結果ではなく、やはり著者の営業マンとしての経験が導いてみせたのだろう。著者が営業・面接のコツとして何度も語るのは「相手の立場で考える」ということだ。本書そのものにおいても著者は相手=読者の立場になるということを徹底し、自身の経験やメッセージを読者が分かりやすく理解できるように、そうした体験談のリズムを用いている。まるで著者が得た極意を惜しみなく凝縮したかのような一冊だ。だから本書は必ずしも面接を控えた人々だけを射程に捉えたものではなく、万人が読める/読むことで何かを得られる本になっているし、僕も自信をもって薦めることができる。

 新書として、エンタメとして、本書の門戸は大きく開かれている。こんな風に、楽しい読書体験を与えてくれる本を、星海社新書はたくさん作ってほしい。

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2011.12.20

「面接ではウソをつけ」のレビュー

銅

面接ではウソをつけ

振り返りと反省をしてこれからにいかそう

レビュアー:yagi_pon NoviceNovice

一年前に出会いたかった、そんな本です。一年前の私は、ちょうど就職活動を始めていた時期でした。

自分がやっていたことを思い出すと、自己分析をして自分のいいところをどうにかひねり出していた記憶しかありません。
そしてどうにかしてひねり出した自分のいいところを、どうにかしてエントリーシートを読んでいる人や面接官に伝える、そのことで頭がいっぱいだったように思います。今思い返してみれば押し売りに近い・・・。

筆者は、面接と営業は驚くほど似ていると言います。
面接は自分を売る営業なのだと。

もし本当に1万人に1人の逸材であれば押し売りしてもいいのでしょうが、残念ながら私はそうではありません。そこそこの大学にいるそこそこの学生でした。押し売りがうまくいかないわけですね。私も売れない営業マンだった筆者と同様に、自分の言いたいことを伝えきって満足していたこともありました。自分ばかり満足して、相手はポカンだったでしょうね。

自分のいいところを精いっぱい伝えることが完全に間違った方法だとは今でも思ってはいませんが、採用される確率の低い方法だったことは確かです。押し売りから物を買おうとは、私自信思わないですし。営業が相手の欲しいものをヒアリングしてものを売るように、私ももっと相手が欲するところを意識して自分を売り込まなければならなかったのでしょう。

自分の良いところをわかって採用してくれるところがきっとある、なんて思っていた自分にこの本を投げつけてやりたいですね。

この本はタイトルからして面接ではウソをつけ、とは言っていますが、自分をすごく見せるようなウソならなんでもついていいと言っているわけではありません。そのウソをつく前に、事前にしっかりと調査と準備をしたうえで、必要なウソをつかなければ効果はありません。

まぁそんな私でもなんとか職にありつくことはできました。これから仕事が始まれば、初めて会う人と話すことはたくさんあるでしょう。そうしたときに平然とウソをつけるように、調査と準備を万全にしていけるように、そんなふうに思いました。

これから生きていけば、仕事をしていけば、初めて会う人と話す機会はたくさんあるでしょう。面接も営業もたいした違いはありません。初めて会った人と話すだけ。面接の方法は営業に応用できるし、営業の方法は面接に応用できます。必要なキャラクターを察して演じるということでは合コンにだって応用できるでしょう。
これから就活をする人にはもちろん、様々に応用できるという点を考慮すれば、それまでの面接等の経験を振り返り反省しつつ読める人にこそオススメの本です。

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2011.12.20


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