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「フリーランスの教科書」のレビュー

鉄

「フリーランスの教科書」

ほら、いただろ? 英語ができないのに留学しようとか思っていたやつ

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

 学生だったころ、留学を考えたことがあった。別に本当に留学したかったわけではない。留学ってなんか楽しそうだし、英語の勉強にもなるし、やっておけば就職にも有利に働くと思い、ちょっと調べていたのだ。

 だが、わたしは受け入れ先になりそうな大学のホームページを見るなり、そっとブラウザを閉じることになる。

「やべえ。入学案内とかを英語で説明されても、わけがわかんねえ……」

 留学を考えている人は入学案内を読めるくらいの語学力を身につけていましょうね、というのが、この話の教訓。

 そして、フリーランスになりたいと思って、本書「フリーランスの教科書」を手に取った人には、同様の教訓をこの本から学んでほしいと思う。

「フリーになったら、この本に書かれていることを全てやるくらいの覚悟が必要なんだよ!」

 この本は、フリーランスの人がやらなくてはいけない「契約」「税金」「保険」などをまとめたものである。出版されたのは2012年12月。出版直後ならばともかく、現在ないしは未来は、税制などの変更があるだろうから、この本に書かれていることを鵜呑みするのは危険だ。ただし、フリーランスとしてやらなくてはいけないことの大枠は変わっていないだろうから、フリーランスになろうとしている人は読むべきだろう。

 そして大半の人は、いかに会社に所属するということが恵まれたことかというのを痛感するに違いない。「フリーランス」「フリーライター」なんていうと、「自由」「かっこいい」というイメージが先行しがちだが、実情は「個人事業主」以外の何ものでもない。そうした現実を、本書は余すところなく教えてくれている。

 そういうわけで、本書の内容をかなり皮肉交じりにまとめると、「何となく会社が嫌なので『フリーランスになりたい』って言っているやつが読んだら、きっと諦めるであろう一冊」ということになるだろうか。なので、本書を読んだ上でフリーランスになると選択した人は、それ相応の覚悟があるということになると思う。わたしとしては、そういう分水嶺的な使い方を推奨してみたい。

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2014.05.20


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