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「まりんこゆみ」のレビュー

銅

「まりんこゆみ」(1)

日本のJKが好きとか…お前それ海兵隊でも同じこと言えんの?

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

 わたしはJKが好きだ。別に銃の型番のことではない。女子高生のことだ。そこはJK=常識的に考えてほしい。
 もちろん、女子高生ならば誰でもよいわけではない。やはり、女子高生は女子高生を女子高生たるものにしてくれる衣服を着用している方が好ましいだろう。平たく言うと、制服がいい。つうか制服じゃないとだめ。私服通学の高校とか本当にやめてほしい。
 その点、本書の主人公のゆみは見事、基準をクリアしている。ちゃんとした制服姿だ。しかも現役高校生だ。いいじゃん、いいじゃん。初登場時にすでに高校を卒業しそうになっているのはマイナスポイントだが、まあ、その後も本人は気にせずに制服を着ているので、わたしたちが気にすることでもないだろう。実際のところ、制服さえ着ていれば年齢とかあんまり気にしないし、俺。
 そう、本書の問題点は別にそこではないのだ。問題なのは冒頭から40ページちょうどのところで(ページ番号がないので自力で数えた)、ゆみが高校の制服を脱いでしまうと、以降一切、高校の制服が登場しない点である……! ゆみは女子高生であることを捨て、海兵隊になってしまうのだ。いや、そりゃまあ、海兵隊の制服だって「制服」といえば制服だろうさ。でも違うんだよ! 俺が求めている制服はそれじゃないんだよ! と泣き叫びたくなる。
 だが、そこでわたしは気が付いた。それは、雲間から差し込んだ一筋の光であり、神がもたらした天啓といえただろう。

 JK=女子高生(Joshi Kosei)

 ならば、

 JK=女子の海兵隊(Joshi no Kaihetai)

 でもいいのではないか、と。

 そう思って読むと、意外に海兵隊に入ってからの描写は学園ものっぽいのである。クールからボケまで一通りキャラはそろっているし、厳しい先生がいる点も学園ものに共通している。そんなふうに思っていたら、いつのまにか最後まで読んでいた。別に女子高生にこだわることがなくても、普通に面白かったということだろう。

 わたしはJKが好きだ。別に銃の型番のことでない(つうかそんな型番の銃はない)。それは女子高生のことであり、まあ、女子の海兵隊のことでもある。個人的には、深いことを考える必要はないと思うよ、あんまりね。

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2014.03.27

「まりんこゆみ」のレビュー

銀

「まりんこゆみ2」

海兵隊って……ああ、武田鉄矢の「贈る言葉」ですか? って、それは「海援隊」やろっ!

レビュアー:オペラに吠えろ。 LordLord

 日本の女子高生が海兵隊になるまでを描いた「まりんこゆみ2」は、過酷なブートキャンプ(新兵訓練)の様子をユーモアたっぷりにリポートしたコミックだ。元海兵隊員が原案を手がけているだけあって、萌え漫画ふうにしてはあるものの、そのリアリティーは保証されている。

 厳しい上官、ミスったときの連帯責任、過酷な訓練……「海兵隊」というと自分とは縁のないものだと思う人が多いだろうが、学生時代の体育会系の部活と似たようなものだといえば、「ああ、あれか」と頷く人も多いだろう。わたしもその一人だ。

 わたしは学生時代、とある球技スポーツをやっていたのだが、不幸というか幸運というか、部は毎年県のベスト16には進めるくらいの強さであり、練習も全国レベルに比べると劣るとはいえ、まあまあ、きつかった。だから「まりんこゆみ」の中で描かれる訓練の意味や、やがてはぐくまれるチームワークの素晴らしさもよく理解できる。まあ、当時はただただ肉体的・精神的にきつかっただけなのは否定しないが。

 本書は「海兵隊」というのが前面に押し出されているため、ターゲットが非常に絞られている印象があるかもしれない。だが、海兵隊は題材にすぎない。わたしのように、自分の青春時代に重ねた「部活もの」として読むことも十分に可能だろう。そうした意味で、本書はもっと幅広い人に読んでもらうことで、その魅力がより深まるはずだ。

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2014.03.27

「まりんこゆみ」のレビュー

銅

まりんこゆみ

Once a Marine, Always a Marine.

レビュアー:Panzerkeil AdeptAdept

 ノーテンキな日本人の女の子が、アメリゴ(アメリカ)合衆国を旅行中に「私は合衆国大統領になる!」と言ったら、意気投合していた在郷軍人のジーサン連中に「じゃあ永住権を取るには軍隊に入隊するのが1番だ!」とおだてられて、海兵隊に志願するというお話。
 一見すると、いかにも馬鹿マンガ風ですが、馬鹿マンガのテイストは残しつつも、リアルな要素もぶち込んで、合衆国海兵隊を理解できる(たぶん)というユニークな作品です。
 合衆国海兵隊は沖縄にも拠点があり、普天間基地問題等でしばしば話題になりますが、日本人の理解はいまひとつ、という気がします。それは日本の歴史において、陸海空に続く第四の軍隊、海兵隊が存在しなかったという事もあるのではないでしょうか。
 海兵隊の歴史は、作中でも紹介されていますが、軍艦がまだ帆船だった頃にまで遡ります、当時は軍艦同士が接舷して切り込むという戦闘が普通にあったので、陸戦部隊を軍艦に乗せたのがそもそもの始まりです。
 言わば海軍と陸軍の混血ですが、国際法上は海軍と見なされ、自由に海上を移動して世界中に素早く展開できる便利な存在として現在に至っています。
 陸軍では無いが戦車やヘリを持ち、海軍では無いけど軍艦があり、空軍ではないのに戦闘機や爆撃機を保有している何でも屋。
 その迅速な行動力は、東日本大震災の救助活動においても遺憾なく発揮されました。
 かつて、第二次世界大戦で、硫黄島をはじめとする多くの島嶼での戦闘において日本軍を血で血を洗う激しい戦闘を繰り広げたのもこの合衆国海兵隊でした。
 戦争は不幸な事ではありますが、ガチの殴り合いで理解出来る事もあります。
 どちらかと言えば、過剰なまでに日本のマスコミにネガティブな扱いをされていますが、相手の真の姿を知ることは重要でしょう。このマンガはその役に立ちそうです、たぶん。
 ところで、ゆみが合衆国大統領になれるかと言えば、とても厳密な規定があって無理じゃないかという気もしますね。
 昔、あずまんが大王のちよちゃんが大統領になれるか調べたのですが、アメリカ生まれでないアーノルド・シュワルツェネッガーがカルフォルニア州知事にはなれても、大統領にはなれないのと一緒です。それでも、元外国人でも知事にはなれるというのが凄いけど。
 まあ、アメリカではなくアメリゴだという理屈も成り立ちますが。
 そもそも、日本人の女の子がなぜ外国の軍隊に?と思う人も多いと思いますが、徴兵制の無くなった合衆国において、軍隊に志願するのはアメリカ人になりたい外国人と、高等教育のチャンス(奨学金が貰えます)を得たい低所得者層が多くを占めるという現実を考えたら、さほど不自然ではありません。
 もはや、合衆国の平均的な市民にとって、軍隊は平均的な日本人以上に遠い存在になっています。
 まりんこゆみの存在にリアリティがあるというリアルが凄い事ですね。

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2013.07.08

「まりんこゆみ」のレビュー

銅

まりんこゆみ

よくわかる!海兵隊

レビュアー:etoile NoviceNovice

「まりんこゆみ」というタイトルのとおり、高校を卒業したゆみという女の子が、アメリカンドリームを勝ち取るべく勢いで海兵隊に入隊するストーリーだ。

海兵隊としての生活やトレーニングなどのワンシーンを4ページマンガとして切り取っている。

私のこの作品の好きなところは、出てくるキャラクターを女の子に置き換えることで
女子高での賑やかな青春部活マンガを見るような気持ちで読めることだ。

もし、登場するキャラクターが女の子ではなく隆々とした筋肉の男性だったら…
体力検査のシーンだけで1週、ビジュアルとしては非常にマニアックな回となるだろう。

他作品ではあるが星海社の「マージナル・オペレーション」4巻の作中でも登場するほど
野上先生のマンガはミリタリーを知識がない人でもよくわかり楽しめる作品となっているのだ。

ゆみという何も知らない日本人の女の子がヒロインとして1人いてくれることで、
海兵隊の日常を面白可笑しく紹介してくれる。

ちょっと変わった個性豊かな女の子たちが、時に厳しく、時にマイペースに奮闘するよく姿…といえばよくあるマンガの設定だが
そこに海兵隊の日常という非日常的を題材にしていていることで、
毎週更新日に最前線のページをクリックしてしまう興味をそそられる作品となっているのだ。

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2013.06.22

「まりんこゆみ」のレビュー

銅

まりんこゆみ

進学か就職か入隊か?

レビュアー:ticheese WarriorWarrior

 人の夢に貴賤はない。けれど日本人女子高生がアメリゴ(アメリカ)大統領になるのは無謀だろう。そんな常識は知らんとばかりに、進学も就職も決まっていない18歳南雲弓はアメリゴの地を踏み、親切な地元の退役軍人に勧められて海兵隊に入隊する。これは専門知識を学び経歴を得る為の進学であるし、経験を積み金銭を稼ぐ為の就職でもある。読者には無謀な夢を堅実に歩む弓の第三の選択肢を、一話4ページという濃密な漫画で体験してほしい。夢を叶える為に本当に必要なものを実感できるはずだ。

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2013.05.29


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