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読者レビュー

銅

大日本サムライガール

左派な私から見た右翼の美少女

レビュアー:AZ Adept

 始めに言っておく。私は左派だ。だから、右翼な美少女が活躍するこのシリーズが好きではない。
 神楽日毬は、極右と言って良い程の過激な思想をもつ美少女女子高生だ。拡声器をもって過激な街頭演説なんてこともしている。そんな彼女が、政治の頂点に立つためにアイドル活動をする、というのが大まかなあらすじだ。
 もう、あらすじだけでも面白さがにじみ出ている。もちろん、実際に読んでみればその面白さが本物だと分かるだろう。1巻ラストの演説からの流れは、本当に胸がすく思いがした。
 ストーリー以上に好ましいのは、日鞠の人物像だ。国のことを誰よりも真剣に考え行動する姿は、これこそ日本人の真の姿だと言い切れる。その清廉さは、まさにサムライガールだ。現代に欠けてしまった大切なものを彼女の中に見て、怠惰な自分に活を入れたくなった。
 と、そのようにかっこいい日鞠だが、たまに16歳の女の子らしい可愛らしさも見せてくるから堪らない。初めてのデートにどぎまぎしたり、水着撮影に恥じらったり、マネージャーの颯斗に「一緒にいて欲しいんだ……」なんてうつむきがちに小声でいったり……。そんなギャップを見せられたら、キュンときちゃうに決まってるじゃないか! これで恋愛感情が少しも芽生えない颯斗は、ちょっとおかしいのではないかと。
 『大日本サムライガール』はストーリーもキャラクターも魅力的な、素晴らしい作品だと思う。だが、私は左派だ。残念ながら、右翼な美少女が活躍するなんて作品を誰かに勧めることはないだろう。これほどまでに左派であることを残念に思ったことは、今までにない。

2014.01.29

さくら
日毬ちゃんはまさに右左の垣根を越えてAZさんをも魅了するサムライガールデスネー!ああっ、でも左思想の栞ちゃんも登場しますしからね!推奨するわけではなくキャラクターとしての強烈な個性として生かされているのがよいですわ♪
さやわか
「私は左派だ」から始まるレビューってすごいっすね!アリだと思います!もちろんレビューとして書いてある内容もしっかりしてますぞ。後半の、普通に「日鞠かわいい」的なくだりからのラストの一文まではユーモラスな調子もあり、読んでいて楽しいです。個人的には「左派」であるはずのAZさんが、なぜ「1巻ラストの演説」に胸がすく思いがしたのか、もう少し具体的に聞いてみたかった気もしますが、基本的にはこういう、自分自身と作品を対置させるような書き方というのはレビューとして好ましいものです。「銅」とさせていただきました!

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