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読者レビュー

銅

日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?

労働について本気出して考えてみた

レビュアー:ヴィリジアン・ヴィガン Warrior

 日本において労働をとりまく環境は、こうなるべくしてなったことが理解できた。
 なぜ過労死するまで働いてしまうのか。
 なぜブラック企業がなくならないのか。
 今ある労働問題をどのように解決してゆけばいいのか。だいたいのことはこの本に書いてあった。
 読み通して絶望感を味わった後で、私が言えることは、
「クソみたいな会社なら辞めればいいんじゃね?」
くらいしか思いつかない。
 会社での労働問題を解決するために相談に行っても「カウンセラー」次第で、法律を使おうが「争う気概」があろうが、争ったあとちゃんとその会社で仕事できんのかという問題がある。
 精神的なストレスに関しては個人差があって、どこまでが「ゆとりwwww」で一笑にされるのかが分からない。
 日本の労働組合はほとんど飾りで、またほとんどの会社に無い。
 労働者側がひたすら尽くさなくてはならない環境を「尽くす化」とでも言おうか。
 この状況で「武器を手に立ち上がれ」と言われてもハードルの高さに萎えてしまいそうだ。

 私が老人になったらきっと孫から「ねぇねぇ、おじいちゃん、過労死ってなに?」と、戦争体験みたく尋ねられることだろう。
 過労死がどういうことなのか、わからない時代が来てほしいなと思う。でも「低福祉+低賃金+高命令」のままだと、少子化で孫以前の問題なのかもしれない。
 この本を手に取る人はきっと過酷な労働にさらされている人だろう。現状をどうにか打開したい人だろう。
 大丈夫、戦い方はきちんと書いてある。
 自分がどのように働きたいかを本気で考えさせられる一冊。

2013.07.08

ゆうき
日本人は働きすぎだとよく言われます。それは日本人の性格もありますが、そうさせてしまう“逆らえない環境”というのも原因の1つなのではないでしょうか。色々考えてはみるものの、私にはまだよく分からない…しかし!ここには戦い方が記されている!私もこの本を手に取り本気を出して考えてみよう!
さやわか
本を読んで感じた率直な気持ちが書いてあって、これはこれでいいと思います。言葉を飾ってる感を減らしているのもいいですね。本から考えさせられた、ということがよく伝わるように思います。ということで「銅」にしました。「銀」でないのはなぜかというと、中盤までの部分と結末のつながりがどうもわかりにくいように感じたからです。中盤を読むと、どうも労働問題を解決するのはなかなか難しそうに思えますよね。「日本の労働組合はほとんど飾りで、またほとんどの会社に無い」など、事態の深刻さを感じさせる言葉が並んでいます。ところが結末部では、「過労死ってなに?」と、戦争体験のように尋ねられることだろう、という、ちょっと楽観的な未来が書いてある。「武器を手に立ち上がれ」というメッセージは響かないとしながらも、「戦い方はきちんと書いてある」としている。どっちが本心なのだろうか。おそらく後者の未来を信じたいということなのだろうと思うのですが、そこがちょっと伝わりきらないように思いました。ともあれ、「銅」といたしました!

本文はここまでです。