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読者レビュー

銅

君を守るためにぼくは夢をみる

明日への希望

レビュアー:ジョッキ生 Knight

児童文学に詰まっている純粋な想いっていいですね。大人が読んでも勇気をもらえます。

この作品は主人公朔が7年という時間に置いていかれ、7年後の世界に7年前に自分だけが取り残されるというファンタジーめいた話です。でもそこで起こる周りからの迫害は嫌にリアルでそこまで追い詰めなくてもと作者に言いたくなるくらい苛烈を極めます。読んでるこっちの心が痛むくらい本当に悲惨です。

でもだからこそ輝く朔という少年の純粋さがあって、彼がその絶望的な現状を乗り越えるために頑張るのは7年前に約束をした彼女砂緒ちゃんのためというこのピュアさが眩しいほどの光を放ちます。というか感動します。一人の女のために困難に立ち向かう男が格好悪いわけがない。たとえそれが小学生だとしてももう男前としか言いようが無い。

朔が頑張ってるなら僕も頑張ろうかな。そんな気持ちになってしまう。それはきっと純粋さが限りない力を持っているからに違いない。その力に後押しされるように前向きに歩いていく強さを僕は手に入れられた気がした。

僕も頑張るから朔も頑張れ。これを読んでるとそんな気持ちになってしまうのです。

2012.04.02

のぞみ
前向きな気持ちになれたこと。私も、そのことを知って、ほっこりと暖かい気持ちになりましたわ。
さやわか
個人的には「朔が頑張ってるなら僕も頑張ろうかな。そんな気持ちになってしまう」「僕も頑張るから朔も頑張れ。これを読んでるとそんな気持ちになってしまうのです」という文章が対句的になっているところが面白かったですな。そこがもうちょっと意識して書かれているともっといいレビューになるように思います。つまり「朔が頑張ってるなら僕も頑張ろうかな」という、作品から力をもらいつつ、作品内の朔に対しても「僕も頑張るから朔も頑張れ」と、気持ちを還元させたいと思う。そういう形で作品との間に気持ちの交換みたいなものが生まれているというお話をはっきり書くといいのでは。そうでないと、読み方によっては似たような文章が二つあるなあ、しかも逆のことが書いてある、どっちが正しいの? と思われてしまうかもしれません。ともあれ、これはたしかに暖かい気持ちになってしまうレビューでした。書き手の素直な感動がストレートに出ているのがいい。「銅」にしましょう!

本文はここまでです。