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読者レビュー

鉄

資本主義卒業試験 著:山田玲司

資本主義は悪なのか?

レビュアー:ジョッキ生 Knight

ここに出てくる登場人物はそれぞれに苦しんでいる。夢を追い、成功を収め、しかし幸せにはなれないと言い、そしてそれは資本主義の所為だと結論付けている。

成功→成功→成功→
このループは確かに際限が無く、失敗による転落の可能性を考えればその心に余裕は無くなり、結果不幸になりやすいというのも理解できる。

じゃあ程々でいいじゃないかというと企業に所属している限りそれは望めず、ノルマという重責に押しつぶされて最後には死を選ぶことすらある。

何故こうなってしまうのか?そこには人が持つ嫉妬の感情が大きな力を持つ気がする。

人より上に立ちたい、人より金持ちになりたい、人より人より人より・・・。他者に認識されることによってしか自分を確立できない人にとって、羨望の眼差しとは最上の存在意義になりえる。

その結果、資本主義の歯車に組み込まれ、抜け出せない煉獄へと落ちていくのだろう。

さて、ここで問いかけたい?資本主義は悪なのか?

答えは簡単だ。NOである。じゃあ何かといえば人がただただ愚かなだけなのである。

成功しなければならないと思うのも人、嫉妬するのも人、死を選ぶのも人。結局自分の意思で進んでいることに変わりはない。であるならばその結果をシステムの所為にするのは責任回避と同じだ。

嫌なら止めればいい。でもそれだと他人に迷惑が掛かるからというならばそれは他人だと割り切ればいい。それも嫌だというなら模索するしかない。今のままで幸せになれる方法を。

つまり、思考するということこそが資本主義を卒業することへの第一歩なのである。自分を見つめ直さない限り状況が如何に変わろうと結果は一緒。また不幸になるだけである。

後悔しない今を生きるためにやらなければいけないことは山ほどある。歩みを止めてはいけない。思考停止は死と同義である。

2012.01.30

のぞみ
お耳の痛いお話ですわ(>_<) でも逃げては通れない事ですものね! いろいろ考えることの多い問題ですわ……。
さやわか
姫が、レビューの内容に影響されて、まじめに考えられていますが……。
のぞみ
とても複雑なお話を凄く解りやすくまとめて下さっていると思いますわ。
さやわか
うむ。たしかにそうなのですが、姫がまさに「いろいろ考えねば」と思われたように、このレビューは我々が考えねばならない問題についてたしかに書いています。しかし、それが本のレビューの体裁でなされているかというと、ちょっと疑問が残ります。『資本主義卒業試験』という本を読めば、もちろんジョッキ生さんがこの本を読んだ結果としてこのレビューを書かれているのだということがわかりますが、逆に言うと今からこの本を読む人にとっては、これは本についての話ではなく、単にジョッキ生さんの主張に見えてしまう。僕には「本に心を動かされたのだな」と、よくわかるのですよ! でもそれは僕がレビューをジャッジしようという、積極的な気持ちでこれを読んでいるからのような気がします。ということで、もったいないですが、ここは「鉄」にさせてください!

本文はここまでです。