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読者レビュー

銅

Fate/Zero

正義の味方のなりそこない

レビュアー:ラム Adept

実はFate/Zeroでホントに一番好きなのはバーサーカーのマスターである、間桐雁夜でした。

もちろん竜之介も好きだけど。ていうかみんな好きだけど。

雁夜は、なんたって男としてダメダメなのだ。

前にも書いたけど、Fate/Zeroは愛の物語だ。
愛する人のために戦う。恋に生きる男、なるほど美しい。

しかしそれは両想いの場合であって、円満夫婦に横槍を入れる雁夜は邪魔にしかならない。
求められていない彼にできることは何もないので、愛する人のために戦いたい彼の想いは叶うことがない。故に愛する人のために戦いたいという自分の欲望のために戦うしかない。
雁夜は決して訪れることのない幸せな「いつか」を夢見るばかりで、摺り合わない現実を決して見ようとしない。
絶望の中の一抹の希望。
独りよがりに、自分の世界に浸った彼だけの幸せ。
そう、幸せな人なのだ。たとえ結末がどうであれ、自分の好きなことをやって満足している。
ならいいじゃない、と思うのだ。
雁夜が報われないことなんて、最初っから分かってる。どう転んでも幸せになんかなれない可哀想な子なのに、雁夜は自分だけの幸福と共にある。

残酷で誠実だとかいうのはきっとこういうことだろう。
視点を変えれば世界は反転する。
想うばかりで誰にも愛されない雁夜を、私も一方的に愛してあげようと思うばかりである。
バカな子ほど可愛い。ホント、そうとしか言えない。

2011.06.01

のぞみ
一方的な思いって、立場や見方を少し変えるだけでもずいぶんと違うものに見えるんですね~。
さやわか
ラムさんは愛情を前に出した書き方をされていて、最近いただいているレビューではさらにその傾向を強めているようです。これはたぶん、もちろん、過去の掲載履歴から考えて書かれているのでしょうな。いいことだと思います! レビュアー騎士団にはなぜか、キャラに対する思い入れみたいなものを書いて送ってくださる方が少ないのですが、僕はそういうもので全然かまわないと思います。むしろ、そういうものの方が熱く胸を打たれることがある。このレビューの「報われない雁夜を、自分も一方的に愛したい」という気持ちとか、すごくいい! 「銅」にいたしましょう!

本文はここまでです。