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読者レビュー

銅

Fate/Zero 2 英霊参集

妄想乙もとい妄想素材乙

レビュアー:ticheese Warrior

レビューが掲載されたのをいいことに前回のレビューを踏まえて、『Fate』をよく知らなくても本を手に取る人が多くいる―という前提で書かせていただきます。なのでいまさらって言わないでくださいね(苦笑)

『Fate』がここまで多くのファンを獲得し、複数のメディア展開がなされてきた魅力の一つに「妄想を掻き立てる力」―そんな所があると思います。
本を一冊を読む。それには多大なエネルギーが必要なものです。そのエネルギーには作品のおもしろさだけではなく、物語に対する「同調」や「憧憬」のような読者の人格から引き出されるものも含まれています。今回は「憧憬」さらにそこから来る「妄想」について語ります。

キャラクター自体もさることながら、何でも願いを叶えてくれる『聖杯』、己のパーソナルに応じて呼び出される『英霊』。この2つは特に読者(あるいはプレイヤー)を魅了する設定です。
前者はドラゴンボールを始め、仮面ライダー龍騎、最近では魔法少女まどか☆マギカ(著者つながりでもあります)など多くの作品で登場する設定で、全人類規模で妄想力を刺激します。かなり小さくすれば「宝くじ当たったら何に使う?」なんかがそうですね。
後者は誰でも「自分だけのなにか」にはあこがれを持つもの。それが自分を「主」と読んでくれればなおさらです。「自分だったらどんな英霊が召喚されるだろうか?」あるいはかわいい女の子英霊(かっこいい漢英霊でも可)に主(本音はご主人様で)と呼ばれたい―みたいな自分を世界観に入り込ませて脳内で物語を構築できる魅力。それが『設定の妙/妄想させ力』です。

本文も長くなりましたが、作品が売れるには消費者(読者)の妄想力を刺激し、その妄想が二次創作になり、それをみた人が原作のファンになるみたいなループを起こさせる『設定の妙/妄想させ力』が高いことが現在のネット環境が整備された環境では必要であり、Fateはその力が非常に高い作品だという語りでした。

ちなみに、なぜ『Zero 2』のレビューでこんな大元の話をするかというと、2巻で私もライダーやランサーのような英霊が欲しくさせられたからです。ただし高所とNTRは勘弁(苦笑)

2011.03.01

のぞみ
うーんと、考えないと、少し理解しづらいところがありました。
さやわか
うむ、このレビューは確かに理解しづらい部分があるのです。そして「レビュー」というのは他人に読ませるために書くものなので、そのレビューを「読んだ人が理解できるかどうか」というのは、わりと重要なことです。かといって、ここはご注意いただきたいですが、ticheeseさんは姫や僕が理解できるようにと思ってレビューを書く必要も、ないのです。ただ、一つだけ言えるのは、ほんとうの論理性を備えたレビューであれば、この「星海社レビュアー騎士団」を知らない人、『Fate』という作品を知らない人でも読めるような文章だってことであり、それはつまり読むハードルの低さにつながっているかもしれないということです。僕は「論理性」というのはそういうものだと思いますぞ。
のぞみ
でもticheeseさんの考える素敵な作品がどんなものか、どんな風に感じるのか、そういった事は読み取る事ができ、面白い!と思いました。
さやわか
そうですな。しかし、わかりにくい。細かく言うと、最初の段落はそれこそ初めて読んだ人には何のことかわからないので、書かなくてもいいかなと思います。それはともかく、この文章の核は三段落目です。まず「聖杯」について説明するけど、しかし『ドラゴンボール』『仮面ライダー龍騎』『魔法少女まどか☆マギカ』という作品名が前に出ちゃって、説明が混乱している。
のぞみ
もう少し、私の頭レベルをあげておきます。申し訳ないです。
さやわか
いやいや、謝る必要はないのですぞ。なぜかというとここでむしろ大事なのは比較のための作品名を並べることではなくて、むしろ「何でも願いを叶えてくれる」という部分なのですよね。それはたしかに書いてあるけど、しかし他の作品の話のほうがずっと場所を取っている。親切心ゆえに「著者つながり」というオマケ知識も書いてある。そのせいで、かえって一体何のためにこれらの作品名が並べられたのかわかりにくいのです。ここがもし「願いを何でも叶えてくれるものっていう設定、燃えますよね。だからこの作品の聖杯もやっぱり燃えるんです。こういう設定を持った作品にはほかにこんなのがあります」みたいな手順をきちんと追って書いてあるだけで全然違うのですよ。
のぞみ
「論理性」をもって書くというのは、難しそうです……。
さやわか
別に長く書いたり、難しく書く必要はなくて、ただ書きたい内容に応じて、順番をはしょらずに、丁寧に書くだけでよいのです。もう一つの「英霊」についての説明はちょっと惜しくて、「英霊」というのが具体的に何らかのキャラクターを指しているんだ、ということに読者が気づけば読める。でも、どっちにしても知らない人にはticheeseさんの愛情は強く伝わるけどわかりにくい。ということで「銅」! なのです――。

本文はここまでです。