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上京して、九十日間以上が経った。

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上京して、九十日間以上が経った。最初の六十日間は、東京生活に慣れる時間だった。だから三月の三十日間は、作家の時間を取り戻すための時間の予定だった。

携帯をひらいてみると、四月一日になっている。いまだ作家の時間は取り戻せていない。

新聞配達人間としての僕が、僕に巻き付いているからだ。

でもしょうがないのだ。

僕が手放そうとしていないから、巻きついたままなのだ。

新聞配達人間の僕は、いつのまにか僕を締め付けることはなくなり、当たり前のように僕の至る所にゆるやかにまとっているだけだった。

手を離せば、自然と滑り落ちてしまうくらい、ゆるやかにまとわりついているだけだった。

だから僕は手を離すことにした。

新聞配達を「頑張る」ことをやめることにした。

信頼しているのだ。もう、大丈夫、だと。

もう新聞配達は、大丈夫。

だから小説を書こう。

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嘘をついても怒られない日に、本気の決意をする勇気

12月13日のニコニコ生放送「公開企画会議(仮)」にいたるまでの小柳粒男は、どん底に寝そべっていた。

どうすればこの状況から打開できるのか。それは誰の目にも見えていた。

僕にはそれしかなかったのだ。

小説を書く。それしかなかった。

それしか、この状況から動き出せないことは、僕にも分かっていた。

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