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テーマ 一生に一度は行ってみたい国と地域の「ガイドブック」

レギュラーセレクター 曜日

星海社を始める前の話になるけれど、実は僕には一年くらいかけて「世界編集者武者修行」の旅に出るという計画があった(実現はまだあきらめていないぜ!)。要は、「アラスカNo.1の語り部に会いに行く」みたいな冒険出張を真剣にやりたかったのだ。あのころの僕は、世界各地のガイドブックを一気に15万円分くらい買った。そんなわけで、僕は世界のガイドブックにはちょっとばかりうるさいのだ。

ローマ帝国

僕が死ぬまでにタイムワープ技術が開発されなければ行こうと思っても行けない国なんだけれど、それでもやっぱり「在りし日のローマ帝国」に行ってみたい! だって世界初の「世界の都(カプト・ムンディ)」なわけだし、その辺をぶらぶら散歩しているだけで超・楽しそうじゃないですか。この本には古代ローマのリアルな地図にそって、それぞれの名所にまつわる豊富なイラストとエピソードがちりばめられていて、まさに一流の「ガイドブック」になっている。これでいつタイムワープしても大丈夫だ!

カンボジア

最初に行った外国、それがカンボジアだった。アンコールワット(と、アンドレ・マルローの『王道』で名高いバンテアイ・スレイ寺院)を見たかったのだ。このウォン・カーウァイの『花様年華』では、主人公のトニー・レオンがラストシーンでアンコールワットの遺跡を訪れている。あのラストシーンが僕はたまらなく好きだ。夕暮れのアンコールワットは永遠を感じさせる。もう一度、行ってみたい。

ハワイ

ハワイのことを悪く言う人と、僕は生まれて一度も出会ったことがない(というと大げさだけど、せいぜいが「日本人が多すぎる」ていどの悪口しか聞いたことがない)。みんなもきっとそうなんじゃないだろうか。ハワイ、本当にいいとこなんだろうな……。「ガイドブック」としては高河ゆんさんが10年末のコミケでつくった同人誌のハワイ本を推したいんだけど、Amazonでの取り扱いはないので、こちらをリコメンド。

銀河鉄道

“あのころ”、メーテルと一緒に銀河鉄道に乗りたいと思わなかった少年が一人だっていただろうか? 僕なんて、乗れるものなら今すぐにだって乗りたい。そして銀河の星々を駆けめぐってみたい。隣の座席にメーテルがいてさえくれれば、大アンドロメダで○○になることも辞さない覚悟が僕にはある。だいたい、もっと人類は超絶にがんばるべきだ。宇宙を自由に旅できないくらいしょぼい科学レベルの21世紀だなんて、“あのころ”、想像だにしていなかったんだぜー。

ドバイ

昨年、僕の行きつけの早稲田のカレー屋さん「メーヤウ」でばったり会った東浩紀さんからドバイの良さについて二時間ほど熱弁を振るわれて、今、かなり現実的に行く気になっている国。東さんによれば、人間の欲望が健康的にギラギラしている様がとても魅力的らしい。ドバイは30年前まではただ砂漠しかないような国だったそうで、歴史の蓄積のない「未来」しかない国って、歴史が好きな僕は一度も行ったことがないので、逆にとても興味をそそられているのです。

太田克史さん

72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。

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