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テーマ なぜこれが売れないのか分からない!

レギュラーセレクター 曜日

なんだよこの質問は! 答えづらいったらありゃしないぜ……。売れるものには往々にして理由がないことがあるけれど、売れないものには必ず理由があるからね。しかしまあ、とにかく答えてみた。

Invincibleマイケル・ジャクソン

一発目の『クリスマス・テロル』があまりにも自虐的すぎたので次はまじめに。マイケル・ジャクソンの存命中最後のフルアルバム、『Invincible』。このアルバムはさっぱり売れなかった。少なくとも、マイケルが期待していたほどには――。(後にソニーとのあいだで訴訟問題になったくらいなのだ)その理由はいろいろあると思うし、実際、いくらでも思いつく。ただ、もう一度このアルバムを聴いてみて欲しい。こんなにも切実な音楽は、そう滅多にはないと思うんだ。

イリヤッド東周斎雅楽

僕が畏敬してやまない編集者にして漫画原作者、長崎尚志さんの僕的最高傑作。単行本は全15巻を数える長期シリーズだし、決して「売れない作品」というわけではないけれど、この『イリヤッド』はもっと売れていいと思う。てなことを熱っぽく長崎さんにお伝えしたら、「『イリヤッド』が僕の最高傑作だと言ってくれたのは太田くんで二人目だよ」という答えが返ってきました。しかし、少年の日の夢、ロマンがこれほど詰まりに詰まりきった漫画作品を僕は滅多に知らないのです。えーい、いいや、これ以上メジャーにならなくて! 『イリヤッド』は俺だけの神作品だ!!

太田克史さん

72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。

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