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テーマ 夏の終わりに聴きたい音楽

レギュラーセレクター 曜日

夏の終わり、っていつのことだろう。僕は“終わり”さえ認めなければ、夏は、いつまでも続いていくと思いたい。10月にも、11月にも、それこそ、12月にだって“夏”はその熱を失わないままじっと残っている。

スターダスト・ランデヴー 井上陽水・安全地帯 LIVE at 神宮スタジアム井上陽水 安全地帯

井上陽水、好きなんです。彼独特の言語感覚と発声に基づいた歌をネイティヴに楽しむことができるのって、日本に生まれた人間が持っている、得がたい特権だと思います。このDVDは陽水があの「80年代」を代表するバンドのひとつ、安全地帯(彼らはもともと陽水のバックバンドだった)と神宮スタジアムで共演したライブDVD。つまり、言わば師弟共演ともいうべきステージです。両者の異様なテンションの高さが魅力です。ラストソングの『夏の終りのハーモニー』、ぜひ聴いてみてください。

Live at Montereyジミ・ヘンドリックス

熱くなければ夏じゃない。熱くなければロックじゃない。そして、もっとも“熱さ”を感じるロックと言えば、炎に包まれたギターに象徴されるこの一枚。音が響いているあいだ、“天才”しか感じることができない。僕はジミがめちゃくちゃ好きで、高校時代からずっと聴いているんだけど……だけどそういえば、ジミが好き! っていう女性とは一度も出会ったことがない。僕が今まで孤独な夏しか過ごしていないのはそのせいだったのか……(泣)。

風の歌を聴け村上春樹

「音楽じゃないじゃん!」って突っ込みはNO THANK YOU!! 村上春樹のデビュー作であるこの一冊を片手に聴く音楽は、そのどれもが「夏の終わりに聴きたい音楽」になってしまうのです。いや、これはマジな話なので、ぜひあなたも試してみてください。

太田克史さん

72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。

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