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テーマ ベストオブ「少年ジャンプ」

レギュラーセレクター 曜日

日本のマンガ文化、マンガビジネスは世界的にも非常にユニークなものでしょう。もはやマンガは一大産業だと言われたりもします。コンテンツビジネスという言葉が流行ったりもしました。では、「商品としてのマンガ」とは何か? 「商品としてのお話/フィクション/物語」について。

キャラクターはこう創る!(小池一夫の漫画学―スーパーキャラクターを創ろう)小池一夫

「商売になるのはキャラクターだけ!!」我々マンガ家や編集者が現場で繰り返し繰り返し唱えるマントラです。ストーリーでも、絵の巧拙でも、題材でも、設定でもない、キャラクター。キャラクターだけが「商品」となります。究極的には「商業マンガ」とは「キャラクターグッズ」とさえ言えます。「漫画=キャラクター」このもっとも大切な一言を小池一夫先生は後進に伝え続けてくださっています。その教えは、いまや「常識」となり、数多くの作家や編集者を誕生させ、育て、救っています。

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術シド・フィールド

教科書的なハリウッド映画は全て定型で作られています。第1幕、第2幕、第3幕……。映画開始から何分以内に何が起こらなければならないか、ストーリーのあらゆる要素の位置はストップウォッチで刻むように厳密に決まっています。内容がロマンスでもアクションでもミステリーでも、構成はまったく同じです。「観たこともない姿のもの」では商品になりません。ルールも知らないスポーツの試合は面白くありません。口に入れてみるまで甘いか辛いかわからないような料理を注文するお客はいません。物語を商品として語るとはどういうことか?

『大病人』日記伊丹十三

「つまり、自分の個性を無理矢理定型の中にねじこもうとして格闘してみるわけです」 商業娯楽作品には明確な型があります。多くの読者に届きやすくするためには「型との格闘」が必要になります。伊丹十三監督が映画「大病人」のシナリオを書き上げるまでの創作の記録。数ヶ月も続くのたうち回るような苦闘。数日空いた後にいきなり「うまくゆかん!」と書き付けられていてハッとなります。お金を取る側の誠実な苦闘です。やがて商品としての映画が徐々に姿を現してきます。創作の刺激になる金言多数。名著。

ベストセラー小説の書き方ディーン・R. クーンツ

タイトルがイカしています。この本自体が結構なベストセラーなようです、タイトル勝ちです。商品としての小説を書くコツやテクニックが、ガンガンガンという強烈な勢いで紹介されます。実にアメリカン。「スランプ克服法」や「書いたものをどう売るか」まで熱く教えてくれます。商品としての小説と、いわゆる純文学の違いがわかります。また、小説と映画の違いもわかってきます。マンガと小説の違いは?

売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則アル・ライズ ジャック・トラウト

ひとつのマンガ作品を商品として見る場合、その内容が「面白いか、つまらないか」はほとんど重要ではありません。「出来の良し悪し」「絵の上手い下手」「オリジナリティの有る無し」まったく重要ではありません。「新しいジャンルを創造できるか?」その作品が商品としてどれだけの魅力があるかはただこの一点に尽きます。たとえうんと狭いものであったとしても新しいジャンルを作れる作品だけが商品として成立します。新しいジャンルを作り得るか? 大ヒット作とはその作品名がジャンル名になる作品のことです。

田中ユタカさん

66年生まれ。マンガ家。主な作品に『愛人[AI-REN]』、『ミミア姫』、『愛しのかな』、『もと子先生の恋人』。『初夜』などの純愛系作品、多数。“恋愛漫画の哲人”、“永遠の初体験作家”、“愛の作家”と呼ばれる。携帯コミックでも新作を意欲的に発表。

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