テーマ 不覚にも?「笑ってしまった」作品
レギュラーセレクター 金曜日 森田季節さん
2011.10.28
やっぱり人間、笑って生きるにこしたことはないので、たまには徹底的に笑いましょう。笑いまくれば、ストレスもちょっと解消できると思います。
ラノベ部平坂読
ラノベ作家の中で一番笑ってしまう本を書くのは、平坂読さんに決まりきっていて、これに異を唱える人間とは屋上で殴り合うしかないことになっている。『ラノベ部』は通勤の車内で読んでいて、ずっと声を出して笑いそうになってしまい、とても困りました。『はがない』も車内で読むのは危険なほど面白いですが、今回は『ラノベ部』のほうを推します。『はがない』しか買ってない人は絶対に買え!
あずまんが大王あずまきよひこ
最高のユーモアの後ろには悲しみが隠されているとか、昔どこかで読んだ気がするが、この本もそういう作品です。笑いの背後には、卒業という終わりがずっと見え隠れしている。明らかに後半になるにつれて、ギャグの精度があがるのだが、それはキャラクターたちの息が長く一緒にいることで合いだしているからではないか。ちょうど入試に向けて邁進している時に最終巻が出た時、自分は完全にこの高校生たちとシンクロしていました。センター試験会場で割り箸の占いをしたことは言うまでもない。
ハトのおよめさんハグキ
すぐれたギャグ漫画家は、たいてい新しい笑いのフォーマットを作っていらっしゃいますが、この作品も完全に新しい世界を成し遂げています。一寸先は闇という言葉がありますが、一コマ先は闇。いきなりキャラが死んでたりするから、油断できなさすぎる。なお、ページ数が少ない割に、思いのほか疲れるので、一気にまとめ読みするのはオススメしません。
森田季節さん
84年生まれ。作家。2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』(MF文庫J)でデビュー。他の作品に『ともだち同盟』(角川書店)、『不動カリンは一切動ぜず』(ハヤカワ文庫JA)、『お前のご奉仕はその程度か?』(GA文庫)などがある。今最も注目される新鋭の一人。書き下ろし新作『エトランゼのすべて』は星海社FICTIONSより好評発売中。
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