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テーマ 夏の終わりに聴きたい音楽

レギュラーセレクター 曜日

どもども、森田です。今回からしばらくの間、お話をさせていただきます。ただ、アマゾンでものを買う習慣が絶無に近いアナログ人間ですので、ほとんどが本やCDといった商品ばかりになるかと思います。ご了承のほどを。

フェイクファースピッツ

いつ聞いてもいいのですが、夏の終わりごろに聞くのが一番しみるスピッツの超名盤。「冷たい頬」「楓」などは言わずもがな、「フェイクファー」「仲良し」も、じんわりと染みます。あと、なぜか「謝々!」もじっくりと聞いていると、泣きたくなる。失恋した覚えもないのに、勝手に失恋が頭に浮かんできます。徹底して切ない気分にさせられること間違いなし。心をリフレッシュしたいなら、一時間弱の時間をとって、手書き歌詞カードをじっくりと読みながら聞くのがオススメです。ほんとに、気分をリセットできるのです。

旅路ニ季節ガ燃エ落チルeastern youth

このアルバムには枯れ木が似合います(いい意味で)。そういえば、枯れ木ってよく燃えるんですよね。思いっきり燃え上がって、最後は燃え落ちる。そんな無常観を、このアルバムは私に教えてくれました。諦めることも生きる勇気の一つだ、それも立派な覚悟である、そんな気持ちになりながら聞いております。高校生の頃は熱情的に聞いていたアルバムですが、歳によって聞き方も変化するものですね。ちょっと、タイトルが私の名前的に、不吉なのが玉に瑕ですが……。季節が燃え落ちるって……。

サニーデイ・サービスサニーデイ・サービス

このアルバムを聞いても元気はあまりもらえません。ジャケットも灰色だし。写真の牛もすごくやる気なさそうだし。でも、栄養ドリンク的な元気って結局偽物というか、長く続かない気がするんですよね。このアルバムは、普段どおりの力で、それでも一歩一歩前に進もうという勇気をくれます。無茶苦茶な暑さの夏が終わって徐々に涼しくなってくる頃に、もう一度我が身を振り返る時に聞いてみるといいかと思います。『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』が禅的なアルバムとしたら、『サニーデイ・サービス』は念仏的なアルバムです。

森田季節さん

84年生まれ。作家。2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』(MF文庫J)でデビュー。他の作品に『ともだち同盟』(角川書店)、『不動カリンは一切動ぜず』(ハヤカワ文庫JA)、『お前のご奉仕はその程度か?』(GA文庫)などがある。今最も注目される新鋭の一人。書き下ろし新作『エトランゼのすべて』は星海社FICTIONSより好評発売中。

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