テーマ いつもバッグに入れて持ち歩いている「ギア」
過去のレギュラーセレクター 飯野賢治さん
2011.03.14
僕は「バッグを持ち歩かない」。なるべく手ぶらでいたいのだ。だから、仕事のときも基本的に、ノートとペンとケータイのみ、持って移動する。必要があれば、それに書類が入った封筒が加わるだけだ。であるから、「いつもバッグに入れて持ち歩いている」というものは存在しないので、「いつも持ち歩いている」もの(最初に挙げる2つ)と、「いつもバッグに入れている」もの(後の3つ)に分けた。細かい話ですまん。
V-CORNパイロット
マイ・フェイバリット・ペン。というか、僕はこのペンしか持っていない。常に10本以上ストックしている。書き味は抜群。線の太さ、黒の濃さ、滑り具合が僕の好み。線が途切れることはない。耐久性も言うことなし。それが、たった1本105円。無くしてもショックは小さくて済むし、気軽に人にあげることができる。普及促進的な意味も含め、いままで何本、人にあげてきたのだろう。そして一度使えば、みんなV-CORNが常用ペンとなる。パイロット社が生んだ、最高の水性ボールペン。僕にとって理想のペンがこれだ。
ロディアブロックRHODIA
外出するとき、僕が持ち歩く2つの内の1つがロディアのブロック。もう1つが、上に挙げたV-CORNのペン。ロディアの紙は、書き心地がよい。淡い紫の5mm方眼がよい。さっと切り取れるミシン加工がよい。ホチキスの芯が出ない折り返しの加工がよい。そして、あのオレンジカバーの表紙。撥水性があり、耐久性も高い。若い頃に出会って好きになり、様々なノートに移り歩き、そしてこの数年はまたロディアに戻ってきた。機能がデザインを作った好例。美しく、使いやすい。使いやすくした結果、美しくなった。ノートの代表格。
ペイントマーカー銀 細字三菱鉛筆
ここから3つは、いつもバッグに入れているものである。ペイントマーカーの銀の細字タイプが好きだ。書いていて気持ちがよい。もちろん、ノートなどにメモを取るときに使うわけではない。基本的には、落書きとか、注意書きとか、印を書くときに使う。油性の太いマッキーを使う人も多いと思うが、僕はその代わりにペイントマーカーの銀。それだけで、ちょっとハッピーな感じになる。楽しくなる。ただ字を書くだけでなく、その周りに、マークやイラストを描きたくなる。そんな、日常を、少し楽しい気持ちにさせてくれる良い道具。
EDIROL R-09HRRoland
ハンディのポータブル・レコーダー。24bit/96kHzという高音質で手軽にリニアPCM録音できるマシン。なにかを録音するという目的に関係なく、いつもバッグに入れている。電車の車輪が枕木を叩く音、オフィス街の喧噪、川沿いの道の虫の声。ふと良い風景に出会ったとき、写真を撮りたくなるように、ふと良い音に出会ったときにバッグから取り出して録音する。自分の耳と脳でノイズとして捨てていた音も、録音して改めて聞くことで再発見できる。音はとても面白い。録音したものを目を瞑って再生すれば、その場面が蘇る。
duetApogee
24bit/96kHz、2in/2outの、FireWireオーディオインターフェイス。わかりやすくいえば、Macから音を出したり、Macに音を取り込んだりするときに使うもの。僕がライブやDJをやるときに使うのは、いつもこれ。音質は好みがあるだろうけれど、なにが良いって、そのデザイン。アップル純正ではないかと思ってしまうくらい、アップル社のラップトップとよく似合う、シンプルで美しいデザイン。触ったとき、ヒヤっとする感じがよいんだよね。上面の丸いノブも、クリックしてチャンネルを変えるなど、とてもよくできています。
飯野賢治さん
70年生まれ。クリエイター。95年、ゲーム制作会社ワープを率い『Dの食卓』を発表、ゲーム界の風雲児となる。その後、『エネミー・ゼロ』『風のリグレット』などを発表。現在に続くクリエイターオリエンテッドなゲーム製作者の先駆けとなった。
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