テーマ 人生を変えた「ゲーム」
ゲストセレクター 2011年10月 小高和剛さん
2011.10.30
僕がこんな仕事をやっているという事は、当然のようにゲームによって人生を変えられ続けた結果なのであって、望む望まないにかかわらず、僕の人生の岐路にはいつもゲームがありました。きっとゲームっていう魔物に魅入られちまってんだと思います。そんな僕の人生を、それぞれの岐路に現れたゲーム達を通して、振り返っていきたいと思います。
ESWATセガ
1990年。ファミコンしか知らなったウブな少年を立派なメガドライバーへと変えた作品です。僕にメガドラの存在を教えてくれたのは、もう亡くなってしまった僕の従兄でした。吹き抜けの家に住む彼は、放電する妙なオブジェを部屋に置いてたりして、当時の僕にとってはオシャレで憧れの存在だったのですが、そんな彼に見せられたこのゲームは「同学年が知らないカッコイイ物」のように思え、その危険な雰囲気に僕は一気に魅了されてしまいました。ちょっとした背伸びの始まり。それが僕にとっての「ESWAT」というゲームなのです。
バイオ・ハザード2カプコン
1998年。大学生になってゲームとは離れていた僕を、再び引き戻してくれた作品です。バイオ1ほどの純粋な恐怖はないものの、ザッピングというゲームならではのシステムによって描かれたドラマ性や、綿密に練りこまれた世界観に、思わず度肝を抜かれてしまいました。思えば初めて“ゲームシナリオ”というものを意識させられたゲームだったのかもしれません。シナリオがゲームプレイのモチベーションを高めてくれるので、怖いけど話にグイグイ引っ張られて先に進んでしまいます。ゲームシナリオの可能性を気付かせてくれた作品でした。
クロス探偵物語ワークジャム
2000年。ゲーム屋でバイトしていた時期に出会った、これ以上ないほど本格ミステリーしているゲームです。謎を解いていく楽しさだけじゃなく、事件の恐ろしさや仰天トリックなども盛り込まれ、なおかつゲームバランスもしっかりしていて…その割にはテーマ曲がなぜかピチカートファイブだったり、いきなりミステリーと関係ないノベルモードになったりと、明らかに当時の他のADVゲームとは一線を画していました。しかし、このゲームと出会えた事で、僕の“いつかやりたい事リスト”に“ADVゲーム制作”という項目が増えたのです。
killer7カプコン
2005年。大学卒業後は映像の仕事をやりながらゲームシナリオの仕事もやったりして…と、あまり焦点の定まらない日々を送っていた訳ですが、そんな時期にこのゲームと出会いました。正直ゲームとしては色々と欠点があると思うのですが、それを含めて“作品”として成立していて、特にその演出力とデザイン力に衝撃を受けました。直後に、ゲーム一本に仕事を絞ろうと思った事に影響がないと言ったら嘘になります。「たかがゲーム」と思っている人にほどやって欲しいゲームです。
ダンガンロンパスパイク
2010年。「人生を変えたゲーム」というお題で、これを選ばない訳にはいきません。とにかく、関わってくれた方々、遊んでくれたプレイヤーには感謝しかありません。そして改めてこれからもよろしくお願いします。ダンガンロンパはまだ終わりません。「ゼロ」そして「2」へと、世界は広がっていきます。今後“サイコポップ”がどのように進化していくのか…もう僕にもわかりませんが、だからこそ楽しみです。とにかく面白いと思ったものをすべてぶち込む精神は忘れずに、僕自身も楽しみながらひたすら前進していきたいと思います!
小高和剛さん
シナリオライター・小説家。(株)スパイク所属。『ダンガンロンパ』のシナリオや世界観などの設定を担当。過去に『名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵』や「探偵神宮寺三郎」シリーズのシナリオにも携わる。『ダンガンロンパ/ゼロ』が星海社FICTIONSより好評発売中。
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