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カテゴリ: 渋谷/道玄坂で新聞を配る小説家・小柳粒男 二十四歳の地図

東京

ノンフィクションな渋谷という街

 

「渋谷の配達所だけど、大丈夫?」

 

12月21日の面接で暗に断れたあと、

「空いている配達所を探してあげる」

そういってくれた新聞配達のおじさんが、見つけてくれた街の名が、渋谷だった。

 

12月22日の19時ぐらい。中野のマックの二階でポメラを使って執筆できるかどうかの実験中だった。

 

携帯を右耳に押し当てている僕の右手には、はっきりと汗がにじんでいた。

改めてどこの配達所なら空いているのか、反芻する。

「渋谷」だ。そう、428の渋谷である。カオスヘッドの渋谷である。

し、ぶ、や、だと?

 

嬉しさよりも、動揺のほうが遥かに大きかった。

大丈夫なわけがなかった。

 

渋谷という単語を聞いた一瞬あと、僕の中で迷いと不安と手汗が生まれた。

迷いと不安と手汗をそのままに「大丈夫です」と返事をしていた。

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再会は東京で

連休中の午後のことだ。夕刊が休みだったので黙々とパソコンを打鍵していると、携帯が突然着信した。

携帯画面には懐かしい名前が表示されていた。

 

「いま、渋谷にいるから飯でも食いにいかない?」

北海道で大学に通っていた頃の、数少ない友達からだった。

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