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カテゴリ: 渋谷/道玄坂で新聞を配る小説家・小柳粒男 二十四歳の地図

上京三ヶ月

Niconama/stay night

北海道にいた頃からニコニコ生放送を視聴者として観る機会は多かった。ユーザー生の歌ってみた系からゲーム実況。ラジオ状態にして流しっぱにしている放送から、積極的にコメントを打ちこみたくなる放送。公式放送のタイムシフト予約の数は毎日毎週のようにどんどん増えていった。

改めて振り返ってみると、そこそこのニコ厨ぶりだったと思う。

 

だからニコニコ生放送に関してのリテラシーはあるつもりだった。いわゆる自称中級者である。

少なくとも映像ありの生放送という舞台で、どういうふうに画面の中の人物が映ってしまうのか、どういうふうに見えてしまうのか、を感じ取ることはできるつもりだった。

 

巻末ページに相当するラスト数分の登場であれ、画面の中に映り、多くの視聴者の目とコメントの前に己を晒すことになるのだ。

某佐藤友哉ぐらい口達者であり人間力の高い人であるならば、この舞台にあがることは何ら問題ないが、小柳粒男ではそうもいかない。

さらに放送という舞台と相性が悪いことに、僕は何かしらの話を振られるまでは延々押し黙っていることに一切の苦痛を覚えないタイプだ。せいぜい頑張って何かしようとしても、したり顔で相槌を打つぐらいである。

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何度でも何十回でも何百回でも

一月序盤のこの時期は完全に、配達専用機械の養成期間だった。頭に何度も「小説」の単語は浮かんでいたが、書くということに意識はさほど向いていなかったと思う。

そもそもこの時期は布団を購入したり、洗濯用のカゴを購入したりする意識すら、まだなかった。毛布一枚で床に寝っ転がればどこでも眠ってしまう体質や、ユニクロの袋を洗濯物カゴとして使ってしまえる素養が問題だったのかもしれない。

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若くもないけど真理に到達したな

上京五日目、去年の12月25日の早朝二時過ぎのことだ。

僕は、真新しい半ヘルメットをかぶり、借り物の手袋をはめ、配達用の前カゴがついたスーパーカブにまたがっていた。

エヴァやガンダムの専属パイロットじゃないんだから、有り得へんぐらいの失敗なんて腐るほどするはずだ、と想い続け、転んでしまったときの言い訳にしようとしていた。

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「二十四歳の地図」のある世界へ

12月24日はサンタさん的存在の干渉などによって仕事が決まるというビッグなイベントが渋谷の午前であったけど、僕の12月24日のメインなイベントは、中野の午後で待っていた。

12月23日のことだ。「二十四歳の地図」の担当編集者である山中先生こと、山中武さん(@seikaisha_ymnk)から連絡があったのは。

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