ツイ4 星海社編集部『第2回 ツイ4新人賞座談会』

『第2回 ツイ4新人賞座談会』

第2回ツイ4座談会、公開!

ツイ4新人賞座談会 第1回について

『最前線』編集長 太田克史と『ツイ4』編集長 岡村邦寛より

岡村 まず先月(6月)に発表した「ツイ4新人賞座談会」第1回ですが、公開後からこちらの想定を超えるたくさんのご意見・ご感想をいただきました。我々編集部の不備に関するお叱りや的確なご批判を受け、深く反省しております。

太田 僕たちの考えるこの企画の意義についての説明不足と、品位にかける発言があったことにつきましては率直にお詫びいたします。そこでまず、そもそもなぜ僕たちがこういった、投稿者の方々の了承を得た上で投稿作品の内容をすべてWEBで公開し、選考する4コママンガの新人賞を開設したのか、遅ればせながらその経緯について、第2回の座談会を始める前に少しお話をさせてください。

まず我々『ツイ4』編集部は、そう遠くない将来、今ある「マンガ雑誌」の存在が前提となっている日本のマンガのありようは大きく変わっていくのではないかと考えています。そんななか、マンガづくりに向き合う人間は、それぞれの立場で新しい時代のマンガのありようを模索していくべきだと思っています。

そのような状況認識を踏まえた上で、まず「マンガ雑誌」の「雑誌連載」という重力圏からの脱出を試みたのがTwitterというメディアを利用したこの『ツイ4』という新しい連載形態でした。出版社が主導するかたちで、「雑誌連載」以外のマンガの掲載システムをつくったことには大きな意味があると思っています。

そして、その成果を踏まえて出てきた次の命題が、「マンガ雑誌が万が一このまま元気を失っていったとき、編集者はどこで新人を探すのか」という問いでした。あくまで仮定の話ですが、もし仮にそうなってしまったとき、たとえばpixivやブログなどの自前のメディア以外のみで才能を発掘していくのか。それだけではあまりに寂しすぎると考えたからこその、「投稿者の方々の了承を得た上で投稿作品の内容をすべてWEBで公開し、選考する4コママンガの新人賞」としての「ツイ4新人賞座談会」企画のスタートでした。

岡村 プロ野球でたとえてみると、我々編集者が「これぞ!」と見込んだマンガ家さんにお声をかけに行くのが「スカウト」だとしたら、「ツイ4新人賞」は「トライアウト」=「入団テスト」の場であると考えております。『ツイ4』でデビューし、連載する適性が「有る」か「無い」かを編集者が判断し、その理由をコメントして発表するのが「ツイ4新人賞座談会」の本来の企画内容です。ですので、投稿者の「育成」の本番は、基本的にはその「トライアウト」に合格して、球団所属になったあと、つまり担当編集者がついてからの話になります。

太田 「ツイ4新人賞」は「ツイ4新人賞座談会」で投稿作の内容をすべてWEBで公開することをご了承いただいた方々のみが投稿できるシステムになっています。ですので、我々は投稿者の皆さんとは全員、合意の上で選考を行っております。この点においても事前の説明が不足していたと反省しております。

また、我々のコメントは投稿作に対する嘘偽りのない意見ですが、その我々のコメントの仕方が「雑だ」「品がない」「指摘がなってない」といった「ツイ4新人賞座談会」をご覧になった方々からいただいたご意見に対しては真摯に受け止め、申し訳なく思っております。座談会を全部通して読んでいただけたら、投稿者の皆さんにとって何らかの「気づき」が残るような読み物を目指していましたが、我々編集部がまだまだ実力不足だったことも認めます。しかし、いいと思うものにはいいと言い、だめなものにはだめと言う姿勢を崩すつもりはございません。それが、才能に向き合う編集部としての最低限の誠意と責任の表れであると考えるからです。

岡村 念のため、座談会をWEBで公開する我々の考えについてもご説明いたします。

太田 そうですね。先ほどお話しいたしましたとおり、考えたくないことですが、「マンガ雑誌」というシステムがもしこのまま元気を失っていくことがあれば、いずれはどのマンガ編集部もこういう新人選考スタイルになると信じているからこその取り組みです。それに、たとえば、現状の「マンガ雑誌」の新人選考スタイルでは新人がデビューするまでの過程は関係者しか「体験する」ことはできません。デビューした後にその秘話が語られることがあるかもしれないけれど、デビュー作となる作品について実際にどんなやりとりが繰り広げられてデビューしたのかについてはごくごく一部の人間しか知り得ないわけです。でもこういうかたちでWEBで選考の過程をできるかぎりオープンにしておけば、ファンの人たちはいずれ「俺は○○がデビューする前から応援してる」って言えるわけですよね。それはとてもすてきなことだと思うんです。音楽のバンドにたとえるならば、メジャーになる前のインディーズ時代の始まりからバンドを知って応援することができるということですから。

岡村 逆に言うと、これはあまり実現してほしくはないのですが、我々編集者が投稿者の才能を見抜けなかった場合もしっかり記録として残ります。たとえば「ツイ4新人賞座談会」では酷評された投稿者が、他社さんでデビューして大ヒットする……という可能性もあるわけです。その場合は編集者側の「負け」ですよね。ですからそういう意味では投稿者と編集者の立場は対等で、座談会は「真剣勝負の場」だと考えております。

太田 僕たち「ツイ4新人賞」の編集者は全員、実名を明らかにして「ツイ4新人賞座談会」の選考に臨んでいます。それは座談会で下した編集者としての判断にすべての責任を負うという気概の表れです。

ですので、そういった我々の編集者としての気持ちと、投稿者との間で明確な信頼関係が築けてさえいれば、「ツイ4新人賞座談会」は問題なく続けていけると我々は判断しています。ありがたいことに今回の第2回座談会には、前回の第1回に投稿していただいた方の中から何人か再投稿してくださっている方がいらっしゃいます。これはたいへんに誇らしく、嬉しいことです。また、第1回の座談会で担当編集者をつけさせていただいた2名の投稿者も、まずは短期連載を目指して一緒に頑張っていただいています。彼らにはまずは10本、これぞと思う4コマを仕上げていただき、実際に『ツイ4』にてその4コマを短期連載し、読者の反響次第で長期連載につなげていく予定です。ご期待ください。

岡村 『ツイ4』は4コママンガの1本1本がリアルタイムで読者から評価され、RT数やfav数などの具体的な数値により人気が可視化される過酷な連載媒体です。だからこそ、「結果が誰にでも見える」という状況にある程度耐性を持っている人、読者からの厳しい意見を受け止められる人、結果を分析して、そこから自分なりの仮説を立てて作品に反映していける人でないと『ツイ4』での連載はできないと思います。ですので『ツイ4』で連載する、デビューするための「トライアウト」の公開場である「ツイ4新人賞座談会」では、今後もオブラートにつつんだようなコメントは致しません。第1回での反省を踏まえた上で、率直な感想を可能な限り端的に述べさせていただきます。

太田 平たく言うと、「ツイ4新人賞」は道場で、投稿者はいわば道場破りなんです。門を叩いた人間には、我々は誠意を以て、全力で立ち向かいます。そして同時に、挑戦者に全力で倒されることも心から望んでいるのです。我こそと思う投稿者の方は今後もぜひ、門を叩いていただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。