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テーマ 俺が死ぬまでには必ず完結してほしい!「完結」熱烈希望作品

過去のレギュラーセレクター

物語と同じ時間を生きるというのは、思えば茨の道ではあるまいか。かつてスティーヴン・キングに「ダーク・タワー」シリーズの完結を願って獄中からファンレターを送った死刑囚がいたと聞くが、彼は果たして最終巻を読めたのだろうか? 現在進行形の物語は生き物であるが故に、転びもすれば怪我もする。書き手が死んじゃうかもしれないし、読み手が死んじゃうかもしれない。結局、安堵して読めるのは古典だけなのだ。現在を生きる物語とは、明日をも知れぬ戦友同士と思って、今日という日を大切に付き合っていくしかないのだろう。

E.G.コンバット秋山瑞人

まぁこういう時のお約束として、E.G.コンバットの続刊希望を唱えるのはもはや儀式のようなものであろう。実際に刊行される望みがあるかどうかなど、この際、大した問題ではない。秋山瑞人ファンにとって、「E.G.コンバット4巻はまだですか?」と声に出す行為は、日々の挨拶であり、信心の表明であり、神のおわすことを確かめ、生きる糧を得ることの感謝の証なのである。私にとって秋山瑞人のカムバックはキリストの再臨よりも確かなことだ。数多の同胞と共に、その日の到来を待ち続けよう。

範馬刃牙板垣恵介

まぁ誰だって勇次郎との最終決戦は生きている間にこの目で見届けたいと思うでしょう。「地上最強の生物」という謳い文句が我々の世代に与えたインパクトってやっぱり絶大なわけで。こんな親父との決闘を運命づけられている刃牙くんは漫画史上もっとも肖りたくない主人公でありましょう。もうどうやったら勝てるのか、何されたら負けるのか、てんで想像つかないもの! いつの日か刃牙の最終回が「チャンピオン」に掲載される日は、日本漫画界を揺るがす大事件として末永く記憶に刻まれるに違いない。いや、本当に終わったらね!

ワイルダネス伊藤明弘

ハードボイルド冒険活劇漫画という人々の祈りが具現化したかのような漫画。これを見ずして活劇を語るなかれと吼えたいが、作者療養のため休載が続いて気がつけば季節も一巡り。続刊希望っつーかこの場を借りて伊藤明弘氏の健康が一日も早く回復することを祈願するばかりである。読者はみな末永く極上の活劇漫画を読み続けたいと切望しておりますから、どうか万全の体調を取り戻すまで、じっくりと養生した上で再発進に臨んでいただきたい。ジオブリーダーズ共々いくらでも待ちます。

龍盤七朝 ケルベロス古橋秀之

完結希望もへったくれもまだ一巻しか出てないわけだが。その一巻を読み終えれば「……どうなっちゃうのさ? この物語!」と誰もが茫然自失のていに陥ること必至の恐るべき本である。気長に待つけれども、このシリーズは続けて欲しいなぁ。武侠モノってジャンルとしてもうちょっと日本に根付いてもいいんじゃないかと思う。一神教的な文化背景を持ち合わせていない我々にとっては、いわゆる西洋風ファンタジーの世界観よりも、より風土に見合った価値観で感情移入がしやすいと思うのだけれども。

魔法少女まどか☆マギカ

いや、もう仕事は終わってるし、完結することは分かりきっているのだが、「死ぬまでに必ず完結してほしい」という意味で、これが終わる前には死にたくねぇなぁと切に思うわけですよ。でもほら、人生何が起こるか分からないじゃない。明日にも車に轢かれたり核戦争が起こったりしても不思議はないじゃない。でもね、私にとって「まどか」は今までで一番深く関与することになったアニメ作品なので、やはり最終回のオンエアをこの目で見届けたいわけですよ。なので神様、こんな私だけれども、どうか四月までは生かしといてください……。

虚淵 玄さん

72年生まれ。小説家、シナリオライター。ゲーム制作会社ニトロプラス所属。ゲームには『鬼哭街』『沙耶の唄』、小説には『Fate/Zero』『白貌の伝道師』などの代表作があり、独特のヒロイズムに貫かれたハードボイルドな作風でファンを魅了している。

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