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テーマ 俺が死ぬまでには必ず完結してほしい!「完結」熱烈希望作品

レギュラーセレクター 曜日

心から愛する作品だからこそ、自分が生きているうちに無事完結してもらってその「終わり」を知りたい……だけど、かといって素直には「終わって」ほしくない。ファン心理とは実に微妙なものなのだ。

『キングダム』1巻原 泰久

今、僕がもっとも注目している漫画、『キングダム』。日本人にはなじみの薄い、古代中国の春秋戦国時代末期が舞台となっていて、まずその複雑にして難解きわまる時代設定の企画を『ヤングジャンプ』というメジャー雑誌で通した作家さん、そして編集者&編集部が凄い。素晴らしい仕事をしているなあと思う……んだけど、20巻を超えても、とんと終わりが見えない!(「天下の大将軍」を目指す若き主人公がようやく「仮の千人長」になったところなんですよー)でも、いいさ、この面白さが続く限り、最終巻まで付き合うぜ!

斜め屋敷の犯罪島田荘司

僕は以前、島田荘司さんから直々にあの名探偵・御手洗潔の過去の歴史についてうかがったことがあって(編集者の役得!)、そのときからずっと、いかに天才・島田荘司であっても、これは島田さんが120歳くらいまで元気に生きて書いて書いて書きまくらなければ「御手洗潔」という天才のエピソードを書ききれないのでは? とひそかに不安に思っているわけです。そのくらい、御手洗潔という天才の底は抜けている。だけど……だけどもう一人の天才・島田荘司なら……島田荘司ならきっと何とかしてくれる……。してくれる!

十角館の殺人(講談社ノベルス)綾辻行人

こちらはようやく待望の完結が見えてきた(……ですよね?)、綾辻行人さんの本格ミステリシリーズ、「館」シリーズ。名実ともに日本ミステリシーンを代表するこのシリーズに出会ったからこそ、僕は編集者・宇山日出臣に出会うことができた。この講談社ノベルス版は宇山さんが担当した本で、装丁は不世出の装丁家・辰巳四郎が手がけた彼の代表作のひとつ。まさに人生のカーブを切らせた本。綾辻さん、本当にありがとうございます!

ゴルゴ13文庫版1巻さいとうたかを

日本漫画史上、もっとも謎かつ無敵の男といえば、デューク東郷ことゴルゴ13。これから腰を据えて『ゴルゴ13』を読むならば、ぜひ文庫版で。文庫版の解説には脚本家や担当編集者がクレジットされていて、それを眺めながら読むのが本当に楽しい。たとえば、「担当編集者・長崎尚志」の回に注目。彼こそは後に浦沢直樹とタッグを組み、『20世紀少年』『PLUTO』『BILLY BAT』などの傑作を生み出した漫画原作者、「長崎尚志」なのです! 彼が担当した回は、ゴルゴそのものの世界なのに、なぜか濃密に“長崎節”が漂ってくる。さすがです。

太田克史さん

72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。

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