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2011年07月

心に刻まれた名言というものは、本来は口外せずに、そっと胸にしまっておくのが最も美しいのです。それを紹介というかたちで人に伝えた瞬間、大事なものが壊れてしまうでしょう。それを書けというのだから星海社さんは酷です。その残酷な依頼を僕が何故引き受けたのかというと、それはセックス・ピストルズ再結成時のジョン・ライドン氏の台詞です。つまり、僕はお金が欲しいのです。つまり、これは新刊『ドッペルゲンガーの恋人』の宣伝なのです。僕の夢はマネーが持つ不思議な魔力で可愛い恋人を作って幸福な結婚生活を送ることです。それでは、僕の人生に刻まれたとっておきの名言と、それに関連するアイテムをご紹介します。僕の幸福のために。

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言葉というのは本当に難しいもので、僕は日ごろ頻繁に「言葉がきつい」「ドS」と言われる。その件については深く反省するしかない。翻って自分がどれだけ役に立つ言葉を生み出せたのかと考えると、これまた全く以て自信がなく、今後の発展に期待していただくほかない。そんなわけで、影響を受けた言葉を振り返りつつ、今後の糧としたい。

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「ひとを批判したいような気持が起きた場合にはだな」と、父は言うのである「この世の中の人がみんなおまえと同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思いだしてみるのだ」(華麗なるギャツビー/フィツジェラルド)

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作中の「名言」は心に刻まれ、時にはその作品のすべてすら、たった一言に紡ぎ出されます。編集者にとって帯の文章やカバーの裏(表4)の文章−―リード文を考えることは一生の課題ともいえるものですが、それ故に名言の抽出というのは編集者としての力量が問われる気がして怖くもあり、楽しくもあり……。

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名言は迷言でもありわたしの人生の方向を正してくれたり迷わせてくれたり罪な奴です。もし、心っていうハコがあったとしたら、たくさんの手垢と文字と、あと付箋と苔と雑草やなんかがびっしりとついてると思う。名言はかならずそのハコに油性ペンで書いてあって、雨が降っても草が生えても、ずっと書いてあるんだと思う!時間が経つと、ちょっとだけ見えにくくなるけど、忘れなかったらいつでも確かめることができるのです。

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誰しも自分なりの名言集のアーカイブを魂に蔵しているものです。それは我々にとってものすごく大切なものです。人は常に無意識のうちにそこを検索し、ヒットしたフレーズを心にコピペして自分を叱咤し、慰め、励まし、ものを考え、そうやって人生の場面場面に対処しています。我々ひとりひとりの思考と感情は、その名言集からの引用と関連付けで作り上げられています。魂の中の名言集とは、そのまま、その人の人格なのです。「名言集」、豊かなものを持ちたいものです。


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