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テーマ 再版希望

レギュラーセレクター 曜日

「再販」希望といったところで、ヤフーオークションやAmazonのマーケットプレイスが花盛りの今ではその意義がちょっと薄くなってしまった。およそあらゆるモノは、今やいつでもオン・セールなのだ(ちょっとしたプレミアはついてしまうけれど……)。だから、僕たちが真に「再版」を希望しているのは、モノではなくて、“あのころ”の僕たちの記憶や情熱そのものなのかもしれない、ちょっと切ない話だけれど。

空の境界 限定愛蔵版奈須きのこ

僕が今までにつくった本のなかで、最も「再販希望」が多いであろうものが、これ。講談社ノベルスからの商業デビューにあたって、それまで同人として活躍してきた奈須きのこさんと彼のファンのために編集者としてできるプレゼントは? と考えに考えてつくったのが、この『空の境界 限定愛蔵版』。入手困難であったがゆえの発売直後の阿鼻叫喚はまだ僕の記憶のなかで生々しく残っている……。

風の歌を聴け(文庫版)村上春樹

とはいっても、現在流通している『風の歌を聴け』じゃなくって、以前流通していたバージョンの『風の歌を聴け』がほしいんだよね。講談社文庫は時代時代に合わせて版面を変更していて、現在のものはそれまでの文庫の版面に比べて、ちょっと字組がゆるく、文字が大きくなっている。でも、やっぱり読みたいのは“あのころ”の版面なんだ。思い出はいつも活字に詰まってる。村上春樹の全作品、“あのころ”の講談社文庫の版面で再版希望!

太田克史さん

72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。

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