テーマ 死ぬまでにチャレンジしてみたい三つのこと
レギュラーセレクター 水曜日 太田克史さん
2011.11.09
「死ぬまでにチャレンジしてみたい」ことなんて、たいていは死ぬまでチャレンジしないことだと思う。それでも、そんなことをふと考えてみる時間じたいは、わりと悪くない感じですよね?
Left Aloneマル・ウォルドロン
死ぬまでにはピアノを美しく弾いてみたい。僕が弾くなら性格的に、ジャズピアノだと思う。北方謙三さんの「ブラディ・ドール」シリーズに出てくるピアニストみたいなやつがいいなあ。全国のアップライトのピアノがある場末のバーを回って、マル・ウォルドロンの「Left Alone」を弾くのだ(ベタかなあ)。で、最後、愛する女を守るために死地へと旅立つ(ベタだなあ)。そして胸には一輪の薔薇が……(ベタすぎる!)。これで完璧だ!
冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行ジム・ロジャーズ
バイクに乗って世界一周。これはあらゆるバイク乗りの夢だと思う。その夢を実現したのが、現代を代表する投資家、ジム・ロジャーズ。とにかくべらぼうに面白い紀行文であり、人間社会を描いたドキュメントであり、現代という現在進行形の歴史を描いた史書でもある一冊。僕もいつかバイクに乗って、世界中のおもしろい物語を集めて回りたい……。「ばあさん、このシベリアの村で、いちばんの語り部を教えてくれ……」
地球の歩き方 ブラジル
なぜか「リオのカーニバル」に一度は行ってみたいのだ。理由はまだない。いつのまにかふとそう思うようになって、かれこれ十数年が経つ。死ぬまで、なんて言っていると本当に行けなくなってしまう気がするから、まだガンガン体が動くであろう10年代のうちには訪れてみたい。地球の裏側の国、ブラジル。
太田克史さん
72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。
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