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テーマ 今したくてしょうがない「贅沢」

レギュラーセレクター 曜日

本物の贅沢って、イメージの外側にあるものだと思う。だから贅沢は、イメージした瞬間に、単なる欲望に堕ちてしまう。贅沢を感じるためには自らに対するクリティカルな裏切りが必要で、だからきっと、今セレクトしたものを僕がいつか得ることができたとしても、贅沢な気持ちには決してなれやしない。想像力は罪深い。

FUJIFILM デジタルカメラ FinePix X100 F FX-X100富士フイルム

カメラが好き。今、欲しいのはこれ! もうちょっとだけボディの梨子地の色合いがブラックなら即決なんだけどなあ……。単焦点の明るいレンズで手軽な大きさ、だけどすごく高性能……という絞りきった方向性が素敵。ものづくりはかくあるべき。でも、カメラって(たいていのものはそうかな?)、こうやって買う前にあーだこーだ考えているのがいちばん楽しいですよね。

オートカージャパン別冊フェラーリ458イタリアブックネコ・パブリッシング

成り上がりにはフェラーリがよく似合う。裏打ちのない、出自を持たない成功者は、フェラーリという伝説の血脈が必要らしい。ということは、僕も星海社が大成功したらフェラーリを半ば義務として買うべきなのだろうかと思って、まずはこの本を買ってみたんだけど、いいですねえフェラーリ! 写真でこれだけ艶めかしいんだから、実物は本当にすばらしいんだろうなって思います。よし買うか、フェラーリ。

カワサキマッハ―技術者が語る 2サイクル3気筒車の開発史小関和夫

僕は断然、バイク派なので、あこがれのバイクをセレクトしてみた。カワサキ、2サイクル、トリプル。あー、もうこう書いちゃっただけで痺れますね。お金持ちになったら、3台くらいオーナーになってみたい。そして、調子のいいやつをガンガン乗りまわしつつ、調子の悪いやつをコツコツ直す。その繰り返しで毎日が過ぎていく。ああ、なんという贅沢!

ジョジョの奇妙な冒険 1〜7巻(第1・2部)セット荒木飛呂彦

どこかの上等な温泉宿にこもって、ただひたすらに『ジョジョの奇妙な冒険』みたいな大長編シリーズを、なんでもいいから全巻、心ゆくまで読みふけりたい。ああ……この贅沢って、決してできないわけじゃないんだよな。いや、今すぐにもできる。たいていの贅沢って、たんにやるか、やらないか、それだけなのだ。

イリアス〈上〉ホメロス

ふとしたはずみで思い出す夢のひとつだけれど、僕は海外の大学に入学して、歴史を勉強してみたかったんだっけ。もちろん今からでも不可能じゃない。「歴史」だったらどの国の、どの時代でも僕はきっと楽しめる。そんな僕の気持ちの源流のひとつが、この『イリアス』。つまるところ、歴史とは事実という釉薬を塗った夢物語の集大成なのだ。だからこそ、歴史は人の心を捉えて離さない。ただの事実になんて、いったい何の価値がある?

太田克史さん

72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。

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