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テーマ この作品の「テクニック」に惚れた

レギュラーセレクター 曜日

新本格ミステリを聖書のように読む佐藤としては、かつて「やられた!」と叫んだいくつもの作品を紹介したいのですが、タイトルを挙げるのとネタバレはイコールなので教えることはできません。「『◯◯』というミステリはすごい。テクニックもトリックも最強。吃驚するよ」と紹介した瞬間、「つまり、一筋縄ではいかないってことか。叙述トリックかな? 文章に気をつけて読んでみよう」などと読者に先入観をあたえ、たとえ推測が当たっていようといなかろうと、まっさらな状態と比べれば驚きは減少します。映画でも漫画でも同様。なので今回はゲームの、それも物語や技術ではなく、システムに惚れこんだ作品を挙げます。

アクトレイザーエニックス(現スクウェア・エニックス)

90年発売。スーパーファミコンが発売された直後にリリースされたこともあり、買うしかありませんでした。本作はシミュレーションパートとアクションパートに分かれているのですが、その分離具合たるや水と油。まったく別のゲームをやっている心地になり、まだソフトが少なかったスーファミ初期の時代に、大変重宝しました。ちまちまと町を発展させ、ある程度のレベルに達したら急にアクションゲームになるため、何かもう集中できない(笑)。とはいえ佐藤は本作を愛しており、心のベスト10にいつだって君臨しています。

ロマンシング・サガ(商品はリメイク版)スクウェア・エニックス

92年発売。発表当時、「フリーシナリオ」なる驚愕のシステムが話題となりました。当時小学生だったおチビ佐藤は、「えええ! じゃあじゃあいきなりラスボスんとこ行けるの? ラスボスとすぐに戦えるの?」と、なぜかラスボスのことばかり気にしていましたが(笑)、実際にプレイしてみますと、極めて広大なマップにぽつんと置き去りにされ、何をやっても干渉してこない世界に途方に暮れたのを覚えています。ああ俺もう、キャプテン・ホークより年上になったんだなぁ。

メタルギアソリッドコナミ

98年発売。本作に前日譚があることも、小島秀夫というクリエイターの存在も知らない当時の佐藤が、地元の電気屋に置かれた体験版を何気なくプレイした日を、今も鮮明に覚えています。まあ実際のところは、「ステルスゲーム」という、戦うのではなく隠れてやり過ごすゲームシステムを理解しておらず、最初のステージで突進して死にまくっていたのですけど(笑)。『メタルギア』シリーズはほとんどプレイしましたが、本作が最も好きです。

佐藤友哉さん

1980年生まれ。作家。『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』でメフィスト賞を受賞し、「戦慄の19歳」としてデビュー。2005年、『1000の小説とバックベアード』で第20回三島由紀夫賞を受賞。本年『デンデラ』が映画化され、6月より公開される。愛称は「ユヤタン」。

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