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テーマ ベストオブ「少年ジャンプ」

レギュラーセレクター 曜日

我が国でいちばん読まれている漫画雑誌こと『週刊少年ジャンプ』ですが、佐藤はあまりいい読者ではありません。1度も買ったことがなく(まわりに買っている人が必ずいるから)、毎週欠かさず読んだ期間もあまり長くはありません。それでもお気に入りの連載が単行本化されたら買いましたし、「決定的な作品が、決定的なことを起こした週」は、嗅覚鋭く読んでいました。今回は「ベスト」というより、思い出深い5作品を挙げます。

アラビアン魔神冒険譚ランプ・ランプ小畑健

今や説明不要となった、あの小畑健さんの作品です。内容はすっかり抜け落ちてしまったのですが、おチビ佐藤は本作が無性に好きで、とても楽しく読んでいました。「漫画雑誌に面白いものが載っているから、継続して読んでみよう」と思った最初の作品です……あっ、今思い出した。『ファイアスノーの風』かも! どちらにせよ、当時からマイナーと世間が判断するタイプの作品が好きだったようですね。

COOL許斐剛

今や説明不要となった、あの許斐剛さんの作品です。やはり内容はすっかり抜け落ちてしまったのですが、主人公の造形がたまらなく好きでした。主人公のCOOLは作中ずっと喋らず(だってクールだから)、あらかじめ言葉を吹きこんだラジカセを使って会話するんですよ。この設定が忘れられず、自分の小説で使ったことがあります。でも小説なので、直に喋ろうとラジカセに喋らせようと、あまり違いがなかったという……。

幽遊白書冨樫義博

『ジャンプ』で最もハマった漫画の1つ。本作を連載していたときの冨樫さんが20代だったというのが未だに信じられません。「作品」と「作者」を繋げる以上に、「作品」と「作者の年齢」を繋げるのはアホのすることですが、それにしたって、ちょっとない事態だと思います。詠嘆。その言葉しかありません。

ドラゴンボール鳥山明

『ワンピース』というライバルが出てくるまでは、『ジャンプ』史上最大の漫画として君臨していた名作です。ナメック星編のクライマックス、悟空が超サイヤ人になった週の『ジャンプ』を、佐藤は近所の歯医者の待合室で、ほとんど驚愕しながら読みました。だって、その週の『ジャンプ』の表紙、悟空が金髪になってるんだぜ! ってことを今書いても、あまり共感されないんだろうなあ。

銀牙 流れ星銀高橋よしひろ

「大量の犬が熊と戦う」というだけの、シンプルで骨太な作品。なぜか我が家に全巻そろっていまして、夢中になって読みました。佐藤は数年前どういうわけか、50人のおばあちゃんと熊が戦う話を書いたのですが、プロットを作る際、熊のパワーを、「赤カブト(ラスボスの熊)とノロイ(『ガンバの冒険』に出てくる白イタチ)を悪魔合体させたくらい」にしようと考えていました。アニメ版のOP曲がものすごくカッコ良くて、おチビ佐藤のテーマソングでした。

佐藤友哉さん

1980年生まれ。作家。『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』でメフィスト賞を受賞し、「戦慄の19歳」としてデビュー。2005年、『1000の小説とバックベアード』で第20回三島由紀夫賞を受賞。本年『デンデラ』が映画化され、6月より公開される。愛称は「ユヤタン」。

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