ここから本文です。

テーマ 仕事場にずっと置いてある「座右のモノ」

過去のレギュラーセレクター

困りました。机の上はとてつもなく散らかっていてあらゆる物があるのですが、別格の愛着のある何か、というのは案外少ないです。買いようのない物か、実用品ばかりです。とにかく片付ける事のできない人間なので、とにかく適当に机において、そのまま放置されます。1年前の未開封の栄養ドリンクがそのままモニタの前に鎮座しています。積み上げられたHDDの上に胃薬やビタミン剤の瓶も転がっています。目薬、綿棒、数百本のケーブル……。机の上にモニタが大小合わせて9台並んでいます。玲音のお父さんよりひどいです。あと、枯れたサボテン、知らないトカゲの頭蓋の標本、Appleの株券……。

碁石、白石任天堂

2009年に父が急死し、葬儀の後、実家の父の部屋に落ちていた物。碁笥に戻そうかとも思ったが、形見として手元に置かせてもらう事にした。父の入院していた病院は僕のアパートからタクシーなら10分で着く場所だったにも関わらず、最初に来たタクシーに停まってもらえず、ほんの数分差で死に目に会えなかった。その時の事を思い出すと未だにどうにもやりきれない気持ちになる。言わなければならない事があったのだけれど。………というエピソードを読んで『よーし! 碁石を買おう』と思う人はいないですよね。すみません。

羽ぼうきタケダ

ありきたりなものですみません。消しゴムの消しくずをはらったりするやつです。高校を卒業した1990年頃、漫画のアシスタントと文具屋のバイトを掛け持ちしていた時、文具屋の最初の給料で買ったものがこれとナショナルのFancilという鉛筆削りでした。漫画描きの他に美術系の予備校に通いだしたせいもあり、とにかく画材が必要で、文具屋で給料が出るとその場で封を開けて店で画材を買うというマッチポンプ生活でした。羽ぼうきと鉛筆削り、どちらも文具屋の専務さんに『20年もつよ』と言われたのですが、確かにどちらも20年経った今も使えています。

アーロンチェア ポスチャーフィット フル装備ハーマンミラー

座右の……というか座、そのものですが………。僕はこの13年、寝ている時以外のほとんど全ての時間をこのアーロンチェアの上で過ごしてきました。元々姿勢も悪く、筋力もなく、ひどい猫背で、周囲の人間が次々と腰痛やらヘルニアやらで医者に行ったりコルセットをしたりする中、ずっと『次は自分』と思ってきましたが、今のところ、大きな故障は起きていません。全てはこの椅子のおかげだと思っています。初めて家電量販店でアーロンチェアに座った時の衝撃はすごいものでした。15万円近くする椅子を買える身分ではありませんでしたが座って2秒後には購入を決意していました。座業の人は椅子だけは絶対によい物を使うべきです。

ザ・ガードコーワ整腸錠興和株式会社

きっと他のオシャレでカッコイイ回答者の皆さんは座右に、なんか、イタリア製のナントカとか賞状とかトロフィーとか家族の写真とか、まあなんかステキな物を紹介していると思うのですが、僕の仕事場にステキな物はひとつもありません。ほぼゴミです。引っ越しして以来開封していない、何が入ってるのか分からない段ボールの山と、本の山と、タンスにしまうのがめんどくさくて積んでしまった洗濯物と電子機器だけです。なのでヤケクソ気味にコレ!! 以前はビオフェルミン派でしたが。

ACハンディーサイクロンクリーナーTWINBIRD

我が家には掃除機が5台あります。掃除が好きなわけではなく、何というか、これだ!という理想の掃除機に出会えぬままいたずらに買い込んだらこんな事になってしまいました。とにかく家中散らかっているので本体を引きずるタイプは何かにぶつかってダメ。紙パック式は論外、コード式は面倒、でも充電式は力がない。散らかった机の上の埃を吸いたいが散乱した鉛筆とかまで吸っては困る……。で、行き着いたのはこれ。オシャレなエルゴラピードとかも試しましたが、先端が細くて細かい隙間の埃が取れないとダメなのです。

安倍吉俊さん

71年生まれ。漫画家。イラストレーター。東京芸術大学修士課程修了。代表作に『灰羽連盟』『ニアアンダーセブン』『リューシカ・リューシカ』などがある。自他共に認めるデジタルガジェットマニアだが、初期不良を引き当てる特異体質の持ち主でもある。

フォローする

POPとして印刷


本文はここまでです。