テーマ たった今、Amazonで「予約中」
過去のレギュラーセレクター 乙一さん
2011.04.12
この原稿を書いているのは2011年1月30日です。HPにこれが掲載されている頃には、ここに挙げた商品のほとんどが発売されているのではないでしょうか。そもそも僕はAmazonで予約したことなんて、ほとんどないんですよ。一回だけ、ドラクエIXを予約したくらいです。じゃあ、ここに挙げているいくつかの商品はいったい何なんだ、という話ですよね。実は、しかたないので、この文章を書くためについさっきAmazonで予約してきたんですよ! 男らしくぽちってやりましたよ! 家に届くのがたのしみです。ところでみんな、Amazonの段ボール箱ってどうしてるんですかね。大量にたまってしまうんですが、処分にこまるんですよね。いっそのこと肉まんの具にして食べられたらいいのに。
ぼくのエリトーマス・アルフレッドソン
スウェーデンの吸血鬼映画です。いじめられっ子の少年が吸血鬼の少女と出会って交流するという内容なのですが、とにかく美しいんですよ。見終わった後、心がぎゅーっと締め付けられるような気持ちになるんですよ。この映画の、あまりにも深い余韻のせいで、三日間くらい僕はため息ばかりついてすごしました。食事ものどを通らず、この映画のことばかりかんがえて、仕事も手につかない日々でした。最近、僕の著作があんまり出てないなあ、と感じられたら、それは僕が仕事をさぼっているのではなく、この映画のせいなんです。そういえば、この映画がハリウッドリメイクされて、昨年、公開されたそうですよ。そちらもたのしみです。
キック・アスマシュー・ヴォーン
映画公開時、上映している映画館がすくなかったので、DVDが発売されてから観ようとおもっていたんです。しかし伊集院光さんがラジオで取り上げて以来、僕の周囲の人たちが全員この映画を観に行って、Twitterでもこの映画の話題ばかり見かけるようになったんです。こりゃあいかんと、おもいますよね。みんなの話題に乗り遅れるのがいやですよね。だから、あわてて僕も観に行きましたよね。家内もこれを観たがっていたんですが、ちょうど出産前後で身動きできなかったんです。身重の家内を家にのこして一人だけ『キック・アス』を観に行く僕のことを、もちろん恨めしげな顔をして家内はにらんでいましたよね。ヒット・ガールというキャラクターが登場するのですが、それを演じている女の子が、『ぼくのエリ』のハリウッドリメイク版でヒロインの吸血鬼を演じているそうです!
ゾンビランドルーベン・フライシャー
みなさんビル・マーレイという役者は好きですか? 『ゴーストバスターズ』や『ロスト・イン・トランスレーション』に出演してる例の人ですよ。僕はあの人が大好きなんです。『3人のゴースト』とか超いいですよ。あの低いテンションと、年老いた犬みたいな目が素敵です。いつも何かを言いたいような表情が最高です。そんなビル・マーレイが、この『ゾンビランド』でもちょっとだけ出演しているのです。しかも本人役で。とんでもないことになるんです。ちなみにこの映画、ゾンビ映画というジャンルを意識した小ネタが満載です。ルールにしばられてしか動けないゾンビ、そして、いつかルールを踏み越えて成長できる人間。つまりそういう人間賛歌です。
逆転検事2カプコン
『逆転裁判』というゲームがありまして、普段あまりゲームをしないような、うちの家内でも熱中してしまうという、万人をとりこにする傑作なんです。裁判のゲーム、なんて聞くと「なにそれ?」とおもわれるかもしれませんが、いわゆる探偵もののミステリ小説みたいなものですよ。そんな『逆転裁判』に登場する検事のキャラクター御剣怜侍を主役にしたスピンオフ作品の続編がこれなんです。コンスタントにシリーズが発売されていてすごいです。そういえば何年か前にカプコンの人とお会いしたとき、御剣さんの人気がすごいって言ってたなあ。『逆転裁判』と『レイトン教授』がコラボするんですよね。そちらも楽しみです。『逆転裁判』といえば、知人の作家数名とトルコ旅行に行ったときのことをおもいだしますよ。松原真琴先生に借りてトルコの空港で遊んでいたんです。途中で先にすすめなくて投げだそうとしたけど。
ニンテンドー3DS任天堂
ここにセレクトしていますが、予約できませんでした。気づいたときにはもう、予約が殺到して打ち切られていました。手に入れられるのはいつのことだろう。この文章がHPに掲載されているときはもう遊べているのだろうか。僕は3Dが好きなんですよ。人生を棒にふるくらいの好きさではないんですけど、まだ3Dのカメラが市販されていない時期に3Dの自主製作映画とかつくって遊んでたんです。その自主製作映画、『立体東京』という名前なんですが、もうすぐDVD発売される予定です。赤青メガネをかけるタイプのアナログな3Dなんですけどね。元のファイルをレンダリングしなおして、ニンテンドー3DSでも再生できるようにできないものかとかんがえています。ともかく、はやいところ供給がおいついてこのマシンを手に入れたいものです。
乙一さん
78年生まれ。小説家。96年、栗本薫らの推挙を受けた『夏と花火と私の死体』で鮮烈なデビューを飾り、03年の『GOTHリストカット事件』で本格ミステリ大賞を受賞、人気を不動のものとする。
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