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テーマ たった今、Amazonで「予約中」

過去のレギュラーセレクター

僕は基本的にAmazonで予約までして買おう=発売日に手に入れようというものは、あまり多くない(少なくとも「いま」予約中というものはない)ので、過去にAmazonで予約して買い、これからも新作が出るたびに(たぶん予約して)買うだろうと思われるDVD、『モヤモヤさまぁ〜ず2』を集中して挙げた。この数年で最も好きなテレビ番組であり、テレビで観たものを、わざわざもういちどDVDで買おうなんて思う、珍しい作品だ。

モヤモヤさまぁ〜ず2 VOL.1 伝説のお正月SP“北特集編”

『モヤモヤさまぁ〜ず2』は、「さまぁ〜ず」×「大江アナ」が普通の街を歩いて、「モヤモヤ」したものを発見する、という構成の番組であるが、実はそこで発見するものは「そこにある(どこにでもある)幸せ」である。なにげない場所にも、ちょっとした時間にも「幸せ」は広がっている。近くの商店街にも、すぐそこの裏道にも「幸せ」が待っている。こういった、日常を温かくするだけの番組が支持されて、DVDがものすごく売り上げていることを聞くと、救いを感じる。ありがたい。「幸せな日常」を感じる番組。平和でよろしいです。

モヤモヤさまぁ〜ず2 DVD-BOX VOL.2&VOL.3

昭和から平成になり、20世紀から21世紀になり、東京は変わっていった。裏道がなくなり、小さな駄菓子屋が潰れ、商店街はシャッターを下ろした。様々なものが合理的に整理され、暮らしやすくなったように思われたが、そこで失ったものは数多く存在する。彼らは番組の中でそれらを「モヤモヤ」したものと呼び、ネタにして笑いを生み出すが、同時に、街が失ってしまったものを懐かしむような目で見つめ、僕らはその感覚を共に体験する。現代に生きる僕らのノスタルジア。こんな都市を、こんな街を、誰が求めていたのだろうか。

モヤモヤさまぁ〜ず2 DVD-BOX VOL.4&VOL.5

「さまぁ〜ず」は以前から好きな人たちだ。彼らの笑いのベースは「日常」にあって、「特別」なものはなにもない。そして、誰も傷つけない。誰も不幸にしない。テレビのお笑いは「虐め」に近い番組が多く、楽しめなかったりするのだが、そんな中、彼らの「日常の幸せ」の笑いは、とても貴重だ。番組中、モヤモヤした店を発見したとき、入っていくのは三村さんの役だが、そのときの彼の人間力、コミュニケーション力が素晴らしい。大竹さんは、三村さんという友人を持って、ほんとうによかったねえ、と思う。余計なお世話だろうけど。

モヤモヤさまぁ〜ず2 VOL.6 ゴールデン常磐線SP&シンガポール

そして、男子の誰もが頭に描く「日本の女性」、大江さん。もう、あらゆる日本代表の女性は、彼女でよいんじゃないかと思う。日本の観光映像から、ミス・ユニバースまで、彼女に任せればよいんじゃないかと思う。同じ女子アナでも、滝川クリステルというのは、例えて言うなら受付嬢だ。そこにいてもらって意味がある。あのニュース番組=輝く場所に彼女がいることに意味があった。だけど、大江さんは、彼女の存在が周囲を輝かせる。美味しいお茶。床の間の花。ほんとうにステキ。つまらない男と結婚しないことを祈るばかりだ。

モヤモヤさまぁ〜ず2 DVD-BOX VOL.7&VOL.8

この番組は、「さまぁ〜ず」×「大江アナ」に加えて「街の人々」が交わったときの、化学反応が見どころである。何十年も同じ街で商売をやっている人たちは、誰もが只者ではない。まるで現代に置いてけぼりになってしまったような、商店や喫茶店を営む人々。フランチャイズのコンビニやカフェで働くアルバイトからは発することのない言葉たち。そして、その空気。『モヤモヤさまぁ〜ず2』は僕らに問いかける。どのような社会を、僕らは求めているのだろう。どのような社会に、僕らはしたいのだろう。そして、「幸せ」はどこにあるのだろう。

飯野賢治さん

70年生まれ。クリエイター。95年、ゲーム制作会社ワープを率い『Dの食卓』を発表、ゲーム界の風雲児となる。その後、『エネミー・ゼロ』『風のリグレット』などを発表。現在に続くクリエイターオリエンテッドなゲーム製作者の先駆けとなった。

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