ここから本文です。

テーマ 生き様に惚れる歴史上の「偉人」たち

レギュラーセレクター 曜日

わたしにはもう、現実を生きるみんなが偉人です。絵空事を描くのが好きなので、現実にいながら脳みそが少し遠くに出かけるときがあり、そうしてお腹がすいて眠くなって一日を終えてしまう時、特にそう思います(それを人は駄目人間と言う)。唯一有る肉体をつかって表現することを半分くらい諦めて生きているので、それをして、真っ向から生きる人が、大好きだし大切にしたい、それで、浅はかなわたしはいつかそんな人を描きたいとか、思います。

合葬杉浦日向子

初めて手に取ったのは、真っ青のワイド版だったのですが、文庫版の静かに黒い絵の表紙も素敵。どちらも漫画本篇のコマのひとつです。漫画のコマとは思えないくらい、絵になっています。この漫画には、教科書にのるような、名のある誰かが出てくるわけではなく、幕末の彰義隊の若者たちのお話です。歴史上の偉人はいつだって彼らの様な存在ではないかな、と歴史オンチのわたしですが、考えます。是非、若い方に、読んでもらえたらいいなと思う漫画です。どんな感想をもつのかな…。間違いなく、心から愛してやまない漫画です。

アマデウスミロス・フォアマン

天才と秀才。その距離はいつも縮まりません。若く才能あふれるモーツァルトと、その真価を見抜く事の出来る…出来ただけの、宮廷音楽家のサリエリ。今回、これを書くにあたってもう一度観かえしてみようか…と思いDVDを購入しました。全て観終わった後で、無性にモーツァルトが聴きたくなり、久々にクラシックを延々と。これは、ものがたりの中のお話ですが、それでも思わずには居られません。果たしてこの場合歴史上の偉人とはどちらを指して言うのでしょう。やっぱりそれは、紛うこと無き、モーツァルトなのです。

壬生義士伝浅田次郎

おもさげながんす…。って言うのが、流行った(わたしの中で)きっかけです。先にふたつ挙げていますが、それを見てもどうもわたしは、ただ一個人としての人間が好きです。偉人といわれて思いつくのは、いつも大切な人のために頑張る誰かです。新撰組や幕末を良く知る方ではありません。でも、この壬生義士伝の主人公であるところの彼の正義は、わたしにも、とても共感がもてたのです。文庫を上下巻読んだ後、ドラマと映画も観てしまいました。個人的には、中井貴一さん演ずる吉村貫一郎があまりにハマっており、何度観ても……泣くっ!

ワルシャワ・ゲットー日記

タイトル通り、ナチス占領下におけるワルシャワでの、ユダヤ人教師による日記です。こういった類いの日記を読むにつけて、いつも思うのが「良く残ってくれたなあ」ということです。日記ですよ。日記! その時代を生きた人の書き記したもの。ただの紙とインクがこんなにも意味があり、ずっしりと重い事は他にないです。日記は、どんなものであっても立派な読み物だと思います。人生って一番、物語です。

もっと知りたい葛飾北斎

何年か前に、北斎展へ行きました。北斎の絵を直接に見るのはこれが初めてでしたが、教科書で見た見た、というやつが何点も並んでいました。北斎の描くモチーフはどれもお茶目で風景ひとつでも心がわくわくするような絵に感じられてわたしは大好きです。中でも「画狂老人卍」筆とある絵。これは老いた北斎がなお描き続けていた際の号なんだとか。…って、えええ〜そりゃ北斎さん(75)、大人げねえMAX!!!と、名画の前で、わたしマジツッコミです。尊敬しています。こういう大人。

釣巻 和さん

87年生まれ。漫画家。代表作に『童話迷宮』『くおんの森』『水面座高校文化祭』などがある。2010年11月に坂本真綾の満月朗読館・第三夜『ベッドタイム・ストーリー』(著・乙一)にイラストを寄せ、その繊細な絵筆によって多くの視聴者を魅了した。

フォローする

POPとして印刷


本文はここまでです。