ここから本文です。

テーマ おらが里「自慢」

レギュラーセレクター 曜日

多分右翼でも左翼でもないし、そもそも翼なんて異能的なものは生えていないけれども、地元とか地域とか狭いエリアが好きです。これまでに住んだ街に関する本を紹介いたします。

四畳半神話大系森見登美彦

「この作品はノンフィクションです、実在の京都とかなり関係があります」とでも書かないとまずい小説だと思います。アマゾンのリンク先が太田出版の単行本なのは、私が発売から割と早い時期にこっちのほうで入手したからです。私の京都の下宿は六畳ありました。すっごく水漏れしてたし、信じられないほど虫が飛び回ってたし、カギが錆びてて入居初日に閉じこめられて出られなくなったけど、六畳ありました。つまり、京都で学生が現実に行なっている生活は、もはやフィクションとしてしか認識されてないということです。剣と魔法の世界です。

街道をゆく 18 越前の諸道司馬遼太郎

平泉寺白山神社は間違いなく福井県で一番美しい場所です。自然と人工が完璧な比率で配置されております。色っぽい苔がどこまでも続いている風景は雨の日だと、余計に映えます。あそこに行けば嫌でも何か創作したくなると思うのですが、なぜか具体的に描写してくれてる本って少ないんですよね。この本で下調べして、向かって下さい。なんだかんだで、この本の頃とは福井もけっこう変わったなと思います。

兵庫の街道いまむかし橘川真一

私は神戸出身なので、神戸と兵庫を愛しています。なんだかんだで、歴史が古いので、地元のことを調べると意外なほど小説のネタがどさどさ出てくるので、商売としてもありがたいです。この本の「いま」がそもそもかなり「むかし」になっているのですが、古き良き街道の雰囲気が味わえるのでいいです。ちなみに地元は「ヤングの社交場」とか書かれてた。古語かよ。どうでもいいですけど、「ヤングの社交場」の反対って「アダルトの社交場」になるのか。すごくヘンタイ的ですね。

森田季節さん

84年生まれ。作家。2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』(MF文庫J)でデビュー。他の作品に『ともだち同盟』(角川書店)、『不動カリンは一切動ぜず』(ハヤカワ文庫JA)、『お前のご奉仕はその程度か?』(GA文庫)などがある。今最も注目される新鋭の一人。書き下ろし新作『エトランゼのすべて』は星海社FICTIONSより好評発売中。

フォローする

POPとして印刷


本文はここまでです。