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テーマ 気分が落ち込んだときにはコイツが必要だ……

過去のレギュラーセレクター

気分が落ち込んだときにやる事といえばただひとつ。童心への回帰。心を空にして指先の感覚にだけ集中する、淡々とした単純作業。かつてコドモ財布で賄いきれず涙を呑んだ諸々の欲望を、いまオトナ財布の猛威でもって貪り尽くすこの愉悦! そんなわけで「バンダイのプラモデル」(CV:青野武)でありますよ。昔は画材屋やDIY専門店を巡り歩いて色々物色しなけりゃならなかった工具も、今では様々なものが「模型用」として模型店に並ぶようになりました。プラモ作りも、もうすっかり大人ホビーの一ジャンルとして認知されたのですねー。

エッチング用ニッパーハセガワ

ぶっちゃけ今時のガンプラなら工具これ一つでパチ組み可能。いやそれどころかパーツをランナーからもぎ取ったって何とでもなったりするのだが、そこはさすがに最後のプライドというか、せめてゲート処理ぐらいは綺麗にやっておきたいわけで。普通のニッパーはゲートを潰し切ってしまうためパーツに白化した跡が残ってしまうのだが、その点、ちゃんと切れ味によって切断する薄刃ニッパーは、高価なだけの効果はあって、わりと切り跡が目立たない。とりあえずは第一の必須アイテムか。

デザインナイフオルファ

パーティングラインや合わせ目処理のカンナ削り、そして削って消しちゃったモールドの再生、デカール切り出し、その他諸々……パチ組みよりさらに一歩踏み込んだ工程に進むなら、俄然この工具の出番が増えてくる。するとついうっかり他のどうでもいい切削作業まで、オルファカッターでなくデザインナイフで代用するようになってしまい、替え刃のコストパフォーマンスを鑑みるなら決して感心した話ではないのだけれど、でもやっぱり慣れなのか思い入れなのか、どうしてもコレでないと上手くいかないのです。

タミヤパテタミヤ

生乾きになってきたときのザラッとした感触がクセになる。とりわけ溶きパテとして使ったときの扱いやすさは個人的にベスト。粘土というより泥に近い、糸を引かない粘り気の性質がとても好き。とりわけ鋳造表現においてはコレでなければ話にならない。書いてて思ったが、「タミヤパテのような女性」って私の恋人の理想像かもしれん。昔はヘラすら使わずに直に指で塗りたくったりしていたが、最近では流石にそれはなくなった。指先がタミヤパテで銀色に光ってるライターなんて、それ仕事してねぇのバレバレだもの! 

エポキシパテタミヤ

ポリパテか、或いはエポキシパテか──永遠のテェマと言っても過言ではない選択肢だが、私の回答はこっち。いや削り心地なんかはポリパテの方が好きなんだけど。エポキシパテは溶剤臭がないってだけで大方の不満を呑み込める。あと保存も利くし。たま〜の贅沢にガンプラ弄る社会人ともなると、一度開封しちゃったポリパテを賞味期限前に使い切るとか、無理っすよ。その点エポキシパテは数年放置したって大丈夫。つうか数年前に買ったヤツが一向に無くならない。そもそも盛大にパテ消費する気合入った造形なんて、近頃はめっきりご無沙汰です。

ドライブラシ専用筆上野文盛堂

正直、あっしのガンプラ道楽なんて下手の横好きっつうか、幼少のみぎりの趣味を大人になってから蒸し返してるだけの道楽でしかないんで、腕前なんてお粗末なもんである。が、そんなヘボの私でも何となくそれっぽく塗り上げられるのがドライブラシ。ぶっちゃけ塗装でしくじった! とか頭抱えても、がっつり艶消してからパサパサとドライブラシ筆を叩きつけていくうちに、何となく何とかなってしまう。いや真剣に極めるともなればもちろん高度な塗装法なんだけど、そんな高望みはしねぇっす。このパサパサやってる時が一番幸せなんだから。

虚淵 玄さん

72年生まれ。小説家、シナリオライター。ゲーム制作会社ニトロプラス所属。ゲームには『鬼哭街』『沙耶の唄』、小説には『Fate/Zero』『白貌の伝道師』などの代表作があり、独特のヒロイズムに貫かれたハードボイルドな作風でファンを魅了している。

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