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テーマ 「遺作」になった傑作――!

過去のレギュラーセレクター

抗えない死。今生きている作り手にとって、そこに転がっている作品がそのまま遺作になる可能性があります。そう考えると常に新しい作品を作り続けることは、目の前にある作品を「遺作」にしないための行為にも思えます。反対に、「これさえ作れたら死んでもいい」という考えもあるし、作りかけで命果てることもある。それにしても「遺作」ってどうしてこう「ツギハギ手術」のイメージが強いのでしょう?

ADEPRESSIVE CANNOT GOTO THECEREMONYimoutoid

MP3新世代のテクノ・エレクトロニカのアーティストとして期待されつつ急逝したimoutoid。遺作といっても物質として盤が存在するわけでもなく、その創作の全てはネット上にアップされた音源です。特に「ADEPRESSIVE CANNOT GOTO THECEREMONY」の3曲は、才能がみなぎりまくっています。リンクは彼が所属していたMaltine Recordsのコンピレーション盤。音盤など必要としないレーベルがあえてCD形式でリリースした皮肉のきいた1枚です。

Ja,Zoohide with Spread Beaver

X JAPAN解散後、飛び抜けて精力的活動を続けていたhideの遺作。hide with Spread Beaver名義では、最初で最後となる唯一のアルバム。2枚のソロの試行錯誤を経てhideのスタイルが完全に確立され、よりポップさに磨きのかかった無敵な3曲「ever free」「ROCKET DIVE」「PINK SPIDER」を収録。未完成だった曲に関しては残された断片からメンバーが再構築。泣きながら作ったとしか思えません。

(シック)ネスSlipknot

西島がメタルにはまったのはつい最近。2008年のLOUD PARKに行ったことが決定的でした。Slipknotのリーダー的存在でありベーシストのポールは昨年急逝。LOUD PARKでパフォーマンスが僕にとっては最初で最後のライブ体験。9人のメンバーがステージ上をかけまわる様は、エンタテインメント性が高く、まさに狂気のシルクドゥソレイユ状態。ポールの死後、喪失感のもとリリースされたライブDVDが本作。あの腐臭漂うサーカスのような演奏が観れないなんて残念です。

Made in HeavenQUEEN

フレディ・マーキュリー亡き後に制作されたラストアルバム。往年のヒットナンバーのような印象に残る曲は少ない気がしますが、「いっつぁびゅてぃふるでぇぇーい」の澄み切った静寂がまさに天国を感じさせ、何度聴いても鳥肌が……。ゲイでエイズ死という圧倒的な孤独。「メイド・イン・ヘヴン」というタイトルが泣けて泣けて仕方ないです。

MICHAELMichael Jackson

キング・オブ・ポップMJの死後発売された、残された音源から再構成された遺作。僕の中で「遺作」とは復元手術のイメージが強いみたい。賛否両論あるようですがこのフランケンシュタイン的ツギハギ感こそ、マイケルの本質であるように思えて仕方ありません。ジャケも良いですね。よりサイボーグ的な第2弾、3弾もありそうな気が……。ポー!

西島大介さん

74年生まれ。漫画家。イラストレータ。映像作家。2004年に『凹村戦争』で漫画家として衝撃的なデビューを果たす。現在は月刊IKKIにて『ディエンビエンフー』を連載中。他、講談社BOXでさやわかと共に「西島大介のひらめき☆マンガ学校」を開校し、未来の漫画家を輩出している。

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